漫画/ハリソンさんはカノ紳士 Mr.Harrison is THE GENTLEMAN ― フランス通過編 ―(前半)

18世紀欧州が舞台の歴史ロマン。アヴィニヨンの薬屋小町クレールとハリソン&マルセル主従との運命の出会い。

波乱の親睦会(13/13) 君自身が書けばいい

2008年10月12日 19時50分32秒 | 第10話/波乱の親睦会

他者の創作物や創作態度に不満を持つ事は、
決して悪い事ではないのです。それが自分の中で湧き上がる創作欲求への
気付きに繋がるのなら― 。
ヒュームさんのおっしゃる事はもっともで、
ハリソンさん、他人に望みを託すより自分で書いてしまえばいいんです。
作家は書いている内に、知らず知らずに哲学者になって行くものですからね…。


 私、哲学っていうと昔のCMで野坂昭如さんだかが歌ってた、
♪ ソッソッソックラテスかプラトンか~ニッニッニーチェかサルトルか~
みーんな悩んで大きくなった~ ♪
って歌しか思い浮かばないわ。

ママン、俺それ分かんね!
いつ頃の話っすか?

 いつだったかしら?10代後半から20代前半頃までのどこか?
お酒のCMだったのかしらね~?
「グラスの底に顔があってもいいじゃないか!」っていうのもあったわね。

哲学とも取れない事はないが、
それは…故岡本太郎氏がデザインした消費者プレゼント品のキャッチフレーズじゃ!
北野武氏が後にギャグにしてからかっておった…。

あの人、「芸術は爆発だ!」とかも、
CMで確か自分でデザインしたのか、
ヘンな模様のピアノ弾きながら言っていましたよね?
あれもあの人なりの芸術に対しての哲学なのかしら?

どっちにしてもアラフォー世代以上じゃないと分らない話題なんじゃ…?

あら、ごめんなさい。

次の話でハリソンさんとランズバーグ夫人との仲が
深まるのかしら?

でも、作者のこったから「令嬢テレジア」みたいなエロ・シーンは絶対ないね!


 
↑ パンダ君のゆー通り、絶対ないです。
ページ数の都合により、第11話が今年最後の話へと変更になりました。
ハリソンさんが「トリストラム・シャンディ」の正体について、
ランズバーグ夫人に衝撃の告白を ― 。
&ウォルポールさんの嫉妬が炎上!

〈第11話は11月1日が開始予定です〉

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悪魔と裏切者 ルソーとヒューム / 山崎正一さん・串田孫一さん共著
/河出書房新社

今話に登場しているヒュームさんのモデルになった、
実在の英国の哲学者デイヴィッド・ヒュームVSフランスの超有名な思想家ジャン・ジャック・ルソーのバトル
の詳細が書かれています。ウォルポールさんのモデルになった人も出ています。
また後でこの事件については描くかもしれないので、もし良かったら予習しておいて下さい。

ヒュームさんとルソーさん、それぞれ大切にしている物が
違っていて話がかみ合わないみたいで、読んでてどちらも気の毒だわ。

でも…何か女子中高生の仲良しグループ内での突然のケンカに似てるみたいだよ…。



波乱の親睦会(12/13) 反・整理整頓派

2008年10月11日 14時50分47秒 | 第10話/波乱の親睦会

整理整頓ができているからっていいとは限りませんよ!全く。
作者なんてさー、
整理整頓した後に限って、探し物があると見つからなかったりするんですからねッ!

 それから作者、思考はもちろんの事、机の上と引き出し中の整理整頓も必要な理数系の仕事に現在従事しています。
世間からは頭脳明晰で根気強いと褒め称えられられ、
特にお嬢様やオバ様方からはクールと羨ましがられますが、
そういう世界に馴染んで行くほど絵がヘタクソになって行くのを感じています。

 作者の考える所の上手い絵とは、感性の赴くままに描き、
見る人がほっこりと癒される絵なのでした。
正確に写し取って感心される絵じゃねぇッ!

 極端な話、木管楽器の連結キーが正確に描けてNHK交響楽団員に褒められる絵よりも、
穴しか開いてない、構え方も左右逆でフルート吹いている天使の絵の方が
作者にとっては賞賛の的なんだいってのッ!


ゴスヲタオヤジのヤツ、仮にハリソンがシャンディだとしても、
絶対胸ぐら掴んだりはできないと分っていてやってんだな。
全く意地ワリィヤツだぜ。

先々週のヒュームさんとルソーさんのいきさつからすると、
もしハリソンさんがシャンディさんだとしたら、
ウォルポールさんから全欧や、米・その他植民地にも噂が広まってしまう可能性がある
って事よね。

そうなるとハリソンも平穏には暮らせなくなるかもしれんな。
ウォルポール殿の冗談文のために、ルソー氏の平和がかき乱され狂気が高まったように。

ウォルポールさん、でもお金持ちの人達の集まる世界では、
頭が良くて楽しくてお洒落でカッコイイ人って思われているみたいよね。
ハリソンさんの甥っ子のジョージさんも憧れて尊敬しているっていう事だし。

フランス貴族のババァ・娘と親子ドンブリしていたみたいだしな。
こういうヤツが大スキな女もいるんだよな。
元祖ゴスロリ服着てるポートレイトに萌えるヤツも多分いるんだろうぜ!

でも、前にすっごく流行ったジェイン・オースティン物の海外ドラマや映画では、
こういうタイプの人ってたいてい最後は罰を受ける物なのよ。

こういう御仁が真に恐れている事は何なのだろうか、
― それこそが罰という事じゃな…恐らく。



ランズバーグ夫人が再び登場。
彼女はハリソンさんの味方なんでしょうか、
それとも萌友のウォルポールさんとグルなんでしょうか?
明日は第10話最終回。




波乱の親睦会(11/13) 英国でも哲学小説はすでに出てるでしょ?

2008年10月05日 12時29分41秒 | 第10話/波乱の親睦会

「トリストラム・シャンディ」では小説の冒頭で、ジョン・ロックさん(1632-1704)が
「人間悟性論」または「人間知性論」と日本では呼ばれている書物の中で説く、
「観念連合」の作用によって主人公の不幸な一生が確定してしまったというエピソードがあったり、
全編いたる所での内容の言及、構成に影響を及ぼしているらしいという事が読み取れると言われています。

 「トリストラム・シャンディ」にある例題があまりに分りやすいので、
ロックさんの「人間知性論」抄訳も「世界の名著第32巻」で以前に一応全部読んでみましたが、
抽象的で難しかったという印象意外、現在は頭の中にはほとんど何も残っていません…。
ヒュームさんの「人性論」抄訳も同時収録されていましたので読みましたが、
作者にとってはやっぱりとっても難しい内容なのでした。

 …ただヒュームさんの因果や原因と結果についての考え方は、作者の生活にも良い影響を与えていて、
作者、「ある事があった後」、「ある物を見た後」は悪い事が起きると自分の経験の積み重ねから信じ込んでいました。
その個人的経験の積み重ねから信じ込んでいるだけなのだと、ヒュームさんの考えを知って気付いた事により、
悪い事が起こらなくなったというよりも、「何か」と関連付けて悪い事が起こったと思う事をやめた事によって、
無用の心配に怯える時間が無くなり、怯える事で悪い事をかえって引き寄せてしまうという事が無くなったのでした。


 ヒューム殿、モデルになった歴史上の実在の人物は、
「英語で書かれた書物の中で、ここの所30年で書かれた書物の中では最高。」
と言っているらしいのじゃ。

じゃあ、他の国の言葉で書かれた本も合わせては何番なのかしらね?

占いで何色の服を着たらいい事があるとかラッキー・アイテムとかいうのも、
関係ないといったら関係ないもんね~。

占いを信じる事で内容が意識から無意識に入り込んで固定されて、
いつの間にか勝手にシナリオつーかプログラミングつーかまで出来上がってしまっていて、
いい事も悪い事も自分で引き寄せてしまってる事
ってあるよな。

TVドラマのベタ展開も、ドラマを見て来た経験の積み重ねによって、
こうなると思い込んでいる事を表現している
だけなのかもね。
何かが落ちたりすると、今ここにはいない離れた場所にいる親しい人に不幸が訪れたとかね…。

マンガとか映画とかもね。
そん中で、主人公が女を口説いたように自分もしたら上手く行くとか思って真似して玉砕したとかね。

私も、こういう時は彼氏やダンナがドラマみたいに答えてくれると思い込んでて失望した事が山ほどあったわ…。

戦争物や格闘物や難病物や主人公がどうしょうもない悪人で、死亡フラグが出ていながら、
該当人物が生き残って、しかも感動ファイナルな話
って誰か書けるのかな?



何度か書いていますが、ウォルポールさん、
ハリソンさんが大人しい顔して実は過激なシャンディ氏なのだと、
豊富な社交生活から得た経験からか、あくまでもオカン譲りのカンからなのかが不明なのですが、
もーガッツリ訂正不能状態で思い込んでいます。
来週は、もし当っているのならば、かなりドキツイ批評をハリソンさんの前で堂々と言い放つのでした。

〈次回の更新予定は10月11・12日〉


波乱の親睦会(10/13) 底意地の悪い質問

2008年10月04日 18時48分07秒 | 第10話/波乱の親睦会

現代の人達は、例え日常を遠く離れたファンタジー物であっても、
その中で魔法使いや妖精や妖怪などが活躍したり、どんなに奇怪な出来事が起こったとしても、
登場する人間達が人間らしく振舞い、語っている事に何も疑問を感じません。

 でも、ウォルポールさんがゴシック小説の元祖「オトラントの城」の第2版の序文で、
「古いロマンスの世界では全部が想像力にまかせて書かれていて、
ヒーローやヒロインの活動・感情・会話が不自然極まりない。」
なんて書いているくらいなので、昔はきっと違っていたのでしょうな~。

 ウォルポールさんの言う事を信じて、「アーサー王」系列の話と
「シャルル大帝と12勇士」系列の中世騎士道物語辺りを読んでってみると、
全編に渡ってヘンな所や突っ込み所が満載なのかもしれません。

 今の所、作者の頭に浮かぶアリアリと不自然な所といえば、
「ローランの歌」でローラン(オルランド)のロンスヴォーでの戦死を知った
婚約者のオード姫がいきなり絶命する場面と、
「トリストラムとイズールト」でトリストラム・ド・ライオネスの戦死を知った
イズールトがやはりトリストラムの遺骸の傍らでいきなり絶命する場面です。
いずれも死因は「ロミオとジュリエット」のヒロインのように自殺したのではないのでした。

 ウォルポールさん、「新しいロマンスでは、日常の自然を写し取ろうと躍起になったあまり、
空想力がせき止められてしまっている。」とも言っていて、新旧のロマンスを融合させて、
面白い一方で登場人物には例え異常な事態の真っ只中であろうとも、
フツーの人ならこうふるまうだろうとフツーの人が想像して納得できるような
ふるまいをさせようじゃないかと試みたとの事でした。


哲学小説といったら確か前に「ソフィーの世界」って本があったよな?
分厚すぎたから読む前にどっと疲れて中止した記憶がある。

その本すごく有名だったわよね。私も読んでいないけど。
ハリソンさんの提案もいいけど、なるべく短めにした方がよりいいって事ね。
今時の哲学者さんが書くんなら、星新一さんのショートショート感覚ででも書いて欲しい所だわ。

ドゥニ・ディドロ(1713-84)は「運命論者ジャック」を書いているが、
お終いの方にトリストラム・シャディのパクリ疑惑を書いている。
推定創作年代が1770~78年で、シャンディの該当箇所は、
1765年出版の8巻の中にあるので、どー見ても冗談
なのじゃが。

ひょっとしてヴォルテールさんの「カンディード」って、
前に宮元亜門さんが演出したミュージカルの原作なんじゃないの?

さよう、音楽の作曲者は有名な「ウェストサイドストーリー」の
レナード・バーンスタインじゃ。

「ウェストサイド―」の原作は「ロミジュリ」よね。

ウォルポールさん、ハリソンさんの事いぢめてるのかな~?


作者はミュージカルといったら、「ラ・マンチャの男」(原作はセルヴァンテスの「ドン・キホーテ」)がいいですな~。
東京の帝国劇場で、2005年に松たか子さんがアルドンサ(ドルシネーア姫)の役を演じているのを鑑賞しましたが、
実は歌が相当上手いって事が分ってびっくり仰天しました。
今日の続きは明日。