漫画/ハリソンさんはカノ紳士 Mr.Harrison is THE GENTLEMAN ― フランス通過編 ―(前半)

18世紀欧州が舞台の歴史ロマン。アヴィニヨンの薬屋小町クレールとハリソン&マルセル主従との運命の出会い。

波乱の親睦会(9/13) 嵐の大喧嘩スペシャル予報

2008年09月28日 22時12分07秒 | 第10話/波乱の親睦会

第9話でジャン・ジャック・ルソーさんが、
「ヌーヴェル・エロイーズ」の大ヒットから一転、
「エミール」と「社会契約論」のためにお尋ね者になってしまった事を書きましたが、
そんなルソーさんの不幸を救おうと懸命になった人がいたのです。
ディヴィッド・ヒュームさんでした。

 ヒュームさん、1762年に文通相手のブフレル伯爵夫人から
ルソーさんを助けてほしいと頼まれて引き受けます。
この物語の今話の日、1765年10月22日(火)に、
ヒュームさんは会場に出かける前に、英国行きの計画を書いた手紙を
ルソーさんへと送っているという設定です。

 ウォルポールさん、66年の1月にヒュームさんがルソーさんを連れて英国に帰ると、
「プロシア王よりルソー氏に呈す」という自作の冗談文を公表しました。
フランス人のエルヴェシウスさんやニヴェルネ公爵が
フランス語の間違いを直したり加筆したりした物がバカ受けして、
パリのサロンやらウォルポールさんの知人友人の間から
ヨーロッパ中に広まってしまいました。

 やがてその存在がルソーさんの知る所となり、
追跡恐怖症などの精神障害に陥っていたルソーさんは、
宿敵のヴォルテールさんが書いた嫌がらせではないかと疑いました。
そしてその文章が英国の新聞に掲載されるに至ってはルソーさん、
ヒュームさんもその一味とみなして宣戦布告、遂には一大騒動へと発展してしまうのでした。


ゴスヲタオヤジ、やってる事ギザガキっぽくね~?
スクールボーイかよ?!

 ホントに、お嫁さんや子供がいればこんな事してる場合じゃなかったでしょうにね!

ヒューム殿、自分がエディンバラ大学とグラスゴー大学の教授に、
宗教上の理由からなれなかった事を言ってるんじゃろうな。

ルソーさんって、まじめ過ぎだから…。

いろいろ才能があるってけどさ、お笑い芸人的センスはなさそだに。

確かに北野武さん的センスや…あとは「タンスにゴン」の松田聖子さん・沢口靖子さん的
センスもないわね~。



ウォルポールさんのこういった攻撃性が、やがてハリソンさんへと向かうのですが、
ハリソンさんの心の中では、ルソー氏VSヒューム氏のバトルの一件が、
ウォルポールさんへの憎しみの火に注ぐ油となる事でしょう。

〈次回の更新予定は10月4・5日〉


波乱の親睦会(8/13) 哲学小説プリーズ

2008年09月27日 21時51分24秒 | 第10話/波乱の親睦会

ヒュームさん、若い頃から哲学者か文筆家になる事を志し、
「人性論」または「人間本性論」と日本では呼ばれているタイトルの哲学書または社会科学の書を、
1739年1月~40年11月にかけて3巻の形で出版しましたが、
ギョーカイからシカトされてしまいました。

 ヒュームさん自身が死から4ヶ月前の1776年4月に書いた「わが生涯」という、
8ページほどの短い自伝の中で、「印刷機から死産した」とまで言うくらい、
「人性論」は大コケしてしまった
のでした。

 1741年に「道徳・政治論集」というエッセイの形式で書かれた本を出版し、
これは好評でした。

 1751年に「人性論」の第3巻を書き直して「道徳原理探求」というタイトルで出版、52年には「政治・経済論集」を出版します。
「政治・経済論集」は評判が高く、海外でも翻訳されて、
ヒュームさんの文筆家としての名がヨーロッパ諸国の人々にも知られるようになりました。

 1754年に「英国史」を出版し、1761年に全6巻が出揃います。
最初は不評でしたが、やがて大傑作の歴史書とされ、
ヒュームさんは世間から哲学者というよりも歴史家として高い評価を受けるようになってしまったのでした。


あるんじゃよな~。一生懸命情熱を注いだ物事に限って評価が低いという
…今を生きている人々でも、歴史上の人物でもそういった哀しい事が…。
…わしの人生でも何度そんな事があったか ― 。

 私にも何度もそんな事がありましたわ。フィレモン様。
学生時代にも、OL時代にも、結婚相手を探す時にも、子育ての時にも…それぞれ。
反対にTVを見てて、歌手がイヤイヤふて腐れてレコーディングした曲に限って
大ヒットしたりする事もある
って、「歌謡曲の名曲秘話」みたいな番組で知ったりして
…本当に人生って皮肉だわ。

デビュー時に鳴り物入りで大宣伝したアイドル候補に限って売れなかったりとかするよな。

 TVドラマも原作が人気で、出演俳優も意気込んでいるからって、
必ずしも視聴率が高くない物も出て来ているし。

最近では「ハチミツとクローバー」とか「恋空」って所?




麻生太郎新総理大臣、尊敬するのはウォルポール英国初代首相なんて
おっしゃっているようですが、大丈夫なんでしょうか?
総理の今後の働き様によっては、「名言」にも「失言」にもなる可能性があるんぢゃ…。

 明日はウォルポール初代首相の息子さんがジャン・ジャック・ルソーさんに
陰謀を企み、半年後のヒュームさんが大・大・大ピーンチ!






波乱の親睦会(7/13) 痩せた作家とおデブな哲学者

2008年09月21日 10時39分31秒 | 第10話/波乱の親睦会

この物語は基本的にはフィクションです。
史実と創作がごっちゃになっていますのでご注意下さい。 

 いつも難しい事を考えて、難しい言い回しをしているがために、
「哲学者の人はみんな痩せているのでは?」と想像してしまいます。
確かにソクラテスさん(前469-前399)やジョン・ロックさん(1632-1704)は痩せているのですが、
ヒュームさんはもーとってもとっても太っていました。

 ハリソンさんが前にウォルポールさんと会った時(第8話/「標的」)、
漫画の中には描かれていませんが、ヒュームさんについての話題が出て、
ウォルポールさんは友人同士だから紹介してあげるとハリソンさんに
約束していたのでした。


俺、中島義道の学術的じゃない本とかは時々読んで、
分るよーな気がしたりはすんけど、
ゴスヲタオヤジのお友達のメタボ哲学者が書いたっていう「人性論」を読んでみようとしても、
言ってる事が全然分んなくて前へと進めねー。

わたしもー。用語の説明の段階で分んなくなるー。

私も眠ってしまうわね。
ヒュームさん、20歳から太り始めたんですって。
それまでは背が高くて神経質だったらしいわ。


じゃ、今のハリソンさんと似ていたのかしら?

俺、ゴスヲタオヤジが善人なのか、悪人なのかも分かんなくなって来たぜ。

わしの予想では、ハリソンの「提案」とやらは、
残念ながら空回りに終わりそうじゃの…。



次週は、ハリソンさんの提案に対する、ヒュームさんの反応。
ウォルポールさんがルソー氏に対して思っている印象について。

〈次回の更新は9月27・28日の予定〉


波乱の親睦会(6/13) 高齢独身者の希望の星

2008年09月20日 19時03分15秒 | 第10話/波乱の親睦会
1714年に英国のアン女王(1665-1714)が亡くなり、
女王の曽祖父ジェームズ1世(1566-1625)の娘の子孫である、ジョージ1世(1660-1727)が新国王となりました。
王は生まれも育ちもドイツのハノーヴァーだったという【個人的理由】のために英語ができませんでした。
…というのも、使用人のグレート・ヘンデルどん(1685-1759)は英語ができて、
「ハレルヤ」「その天界の合奏を」などの英国人が作った英語の歌詞へも素晴らしい曲を付けられたのですが…。

 ドイツから連れて来た側近も宮中・議会から不評で嫌気がさし、
遂に王は1718年以降は閣議にも出席しなくなりました。
英国は流血と無血の2つの革命後、王位継承法から嫌々王座に就いた外国人国王の怠慢によって、
責任内閣制が必要に迫られた形で発達して行ったのでした。

 そのチャンスを上手く掴んで、ウォルポールさんのお父上ロバートさんは、
1721~42年までの21年間も英国の首相を勤めました。
42年の総選挙で敗退して政界を引退、伯爵の位を授かり、
四男のホレイス・ウォルポールさんは、もうジイ様になった頃に爵位を継ぐ事になるのでした。


 21年も首相なんてすごい事じゃ!
日本じゃここんとこ2年で、1年ももたなかった首相が2人もいるんだから。

作者さん…タイトルから何が言いたいのかしら?

決まってる、ワシもこんなゴスヲタオヤジみたいな生活がしてみたい。
…俺だって正直したいぜ!

ハリソンさんは…ショボい独身生活へリターンしただけって感じだから、
「独身者全ての年代の希望の星」じゃないと思う。


ウォルポールさんの生活ぶりに対して誰も何もイチャモン付けたり、
「大きなお世話」を焼こーとしたりはしなかったんでしょーか?
今日の続きは明日。

波乱の親睦会(5/13) 18世紀の貴腐人彼女?

2008年09月15日 11時21分30秒 | 第10話/波乱の親睦会

 漫画の中では描かれていませんが、
ジョージ・ブリングストン伯爵の妹、レディ・アンはこの会場で、
お婿さん候補の男性とお見合いする事になっています。
その人はウォルポールさんの親戚筋なのでした。

 
前にどこかで、ブリングストン伯爵と奥さんは公武合体ならぬ
「公商合体の政略結婚だった」って書いてあったけど、この2人も本当に仲良しサンみたいね。

ホガースという当時の画家が描いた「当世風結婚」というタイトルの連作版画がある。
伯爵家に嫁いだ商家の娘が日々の退屈さから弁護士と不倫をし、
夫を恋人に殺され、恋人は死刑になり、
自身は服毒自殺したという悲惨な内容なのじゃが、
ブリングストン夫妻にはそんな世界は無縁のようじゃな。

ハリソンさんとランズバーグさんも「バツイチ同士」で
上手く行きそうって感じなのかしら?

ランズバーグ夫人は、ゴスヲタオヤジと萌仲間だって、
登場人物紹介にあるから、女オタクなんだ!

何のオタクなのかしら、やっぱり「中世好き」って事?

でも、ヒュームさんとも萌仲間ってあったよ。

彼女、オタクっていうより、いろいろとお勉強好きなのね。きっと。


次週はウォルポールさんの再登場と、ハリソンさん&ヒューム氏との
出会い。

〈次回の更新は9月20・21日の予定〉


波乱の親睦会(4/13) ウォルポールさんを探せ! 

2008年09月14日 09時46分30秒 | 第10話/波乱の親睦会

10年くらい前に、「ウォーリーを探せ」という絵本がありましたが、
今日の絵を見ていて突然思い出し、タイトルを付けました。
パリ郊外にある貴族の別荘の敷地を借りての園遊会という設定ですが、
会場内にはウォルポールさんがヒュームさんとつるんで歩いています。
いったいどこにいるのでしょ~か?


ハリソンら一行は手前にいるからすぐ分かるがの。

生垣のくぐる部分ってどうなってるのかしら?

「トピアリー」って事にしといて下さいだってさ!

ウォルポールさんがどこにいるのか、わたしには分からない…。

全くもー。もう酒盛りしている人達がいるじゃないの!
「ベルばら」や「令嬢テレジア」のパーティー・シーンとは大違いだわ。 

またまた…ゼンゼン優雅じゃなさそうな…予感。

ところで昨日の話の続きなんだけどさ。
セーラー服も19世紀半ばの英国海軍の制服が先祖だってぜ。

ふーん。それで最終的にはセーラームーンの戦闘服になったって訳ね?
娘が好きだったわ~。



お二方は見つかりましたでしょうか?
明日は一行がそれぞれお目当ての仲間の所へと散って行きます。






波乱の親睦会(3/13) キ・ョ・ウ・カ・ン・できますか…?

2008年09月13日 18時09分34秒 | 第10話/波乱の親睦会

ハリソンさんとランズバーグ夫人、これから向かう親睦会会場では、
さらに親しくなって行きます。人付き合いが苦手という事が共通だからといって、
必ずしも仲良くなれると言う訳ではないので、
他にも何か共通点があるのでしょうな。


 「三つ揃え」ってなーに?

ハリソンの場合は上着とベストとズボンの事じゃ。
現代ではスーツの上下とベストじゃ。
スーツの先祖は17世紀西洋の軍服なのだそうな。
上着の裾が縮まり、首に巻くスカーフがカラフルなネクタイに進化して、
サラリーマンの服装となったのじゃ。

そういえば、「企業戦士」とか言うものね。

俺はスーツとはゼンゼン縁のない仕事してるけどなっ!
スーツ着ている男だけが社会で戦ってんじゃないぞーーーっ!!!
事務所へと行く用があって、
見てりゃ総務部長が暇ぶっこいて スパイダーソリティアしていやがった。
役職者なら一般社員より怠けてんじゃねぇよ!

ホント。課長さんよりパートのオバちゃんの私の方が、
重い物も持ってよっぽと忙しく働いてるのにどうして?

― って思う事がよくあるわ。

このままじゃ、「明治維新」と「第二次世界大戦敗北」に次ぐ
 大革命の嵐が平成のニッポンで吹き荒れちまうぜ!

総理大臣さんもついに疲れて辞めちゃったしね。
 「篤姫」が大ヒットしているのも革命前夜の時代だからなのかしら?
フランス革命が舞台の「令嬢テレジア」もお姐さんやオバサンの間で人気あるしね。


まあ~、4方はスーツのお話から社会問題の話へと発展してしまったようですな。
今日の続きは明日。





 

波乱の親睦会(2/13) 運命の女神の気まぐれに…

2008年09月07日 10時47分01秒 | 第10話/波乱の親睦会

忍冬(植物の名・ニンドウ=ハニーサックル)の君と呼ばれるランズバーグ夫人。
それなりに美しい人なのですが、御髪(おぐし)の型が似ている「ベルサイユのばら」のマリー・アントワネット様を
見た後で彼女を見たとしたら、恐らく美人には見えないでしょうな~。


 「御髪」という言葉で気が付いたけど、この第10話のタイトルって、
NHK大河ドラマ「篤姫」の「波乱の花見」のモジリなんじゃないの?

「御髪」ってなーに?

 髪の毛の事よ。
確か先々週くらいの放送分で、主人公の篤姫が、
将軍様の奥さんになった皇族のお姫様に意見したんだけど、
お姫様の御付で「おすべらかし」してる庭田さんに咎められそうになった時に、
「御髪がステキです事!」と言って躱(か)わしてしまったという
エピソードがあったの!

フランス王后陛下もランズバーグ殿も「洋風おすべらかし」
といった所かの~?

OH奥じゃあ、「おまた返し」とか「ちょんぼりづと」とか「椎茸」
とかいう髪型もあったらしい。ヘンというかちょっとアブナイ名前だぜ!

 「波乱の花見」でも「『波乱』っていう程の事はなかったんじゃないの?」
― って感想を持った人が結構いるらしいわ。
こっちの第10話だって、もしかしたらタイトルを大げさにしているだけかもよ。



来週は親睦会会場に到着。

次回の更新は9月13・14日の予定。

波乱の親睦会(1/13) それでも貴族の一家ですから…

2008年09月06日 17時44分01秒 | 第10話/波乱の親睦会

  ハリソンさんの亡くなった奥さんの妹が玉の輿に乗ったブリングストン伯爵家は、
1760年に即位した現英国王ジョージ3世(1738-1820)のお気に入りの選から漏れてしまい、
そんなに大した力のある家ではなくなってしまいましたが、
それでも貴族の体裁は整えてのお出かけなのでした。


これ、マルセルさんでしょ?
前にハリソンさんが似顔絵描いていた時の絵と同じ髪型しているもの!

ハリソンさんが描いた絵ではキリッとしていてカッコイイって感じだったけど、
何か実際にはただただカワイイって感じよね。

今話では、ゴスヲタオヤジが復活と、それからお友達のメタボ哲学者
出て来るってさ。

ウォルポールさんは、容姿端麗のチョイ悪オジ様だからいいけど、
哲学者さんは難しい事言いそうで、眠くなりそーだな~。

私も哲学の話をされたら、きっと眠っちゃうわね。

作者も哲学者殿の本を読んで、「睡眠障害を克服した。」
と言っておったわい。


作者の使用方法を、哲学者の方々が読んだら衝撃を受けるでしょうか?
それとも想定内の事なんでしょうか?
明日はハリソンさんとランズバーグ夫人の馬車内での会話。







第10話 予告編おまけ

2008年09月01日 07時22分24秒 | その他
 2人は今後、急速に親しくなって行きそうな予感…。
BUT,この関係が、英国へと帰国後のハリソンさんを窮地に陥れる
事となるのでした。

〈第10話の開始は9月6日(土)からです。〉



第10話 登場人物紹介

2008年09月01日 07時21分10秒 | 第10話/波乱の親睦会

第10話/波乱の親睦会 予告編

2008年09月01日 07時20分45秒 | 第10話/波乱の親睦会

 現在、心理学や精神・神経医学はジャンルとして確立していますが、
18世紀の頃にはまだ宗教や哲学や芸術などとはっきり枝分かれしていませんでした。

 ディヴィッド・ヒューム氏(1711-1776)は、スコットランドのエディンバラ出身の哲学者。
晩年は歴史書や時事評論も書いて、ヨーロッパ諸国でも有名になりました。
英国政府の外務次官を勤めたりもしています。

 1765年には、7月から新大使のリッチモンド公爵が
到着する10月までの間、パリで大使代理を勤めていました。
そして、罪人として追われているルソー氏を助けようと
活動していたのでした。

 ハリソンさんは、甥夫婦&姪っ子&ランズバーグ夫人と共に、
新大使主催のパリ在住英国人の親睦会へと出かけます。
そこへは社交好きのウォルポール氏も当然出席していて、
ハリソンさんへと意地悪な質問を投げかけます。

 ハリソンさんはランズバーグ夫人と行きの馬車の中で、
お互い親しみを持ちますが、ランズバーグ夫人はウォルポール氏と
萌友だったのでした。