漫画/ハリソンさんはカノ紳士 Mr.Harrison is THE GENTLEMAN ― フランス通過編 ―(前半)

18世紀欧州が舞台の歴史ロマン。アヴィニヨンの薬屋小町クレールとハリソン&マルセル主従との運命の出会い。

なぐさめと励まし(13/13) 'Tis so 大切な言葉 ―

2008年08月16日 10時30分07秒 | 第9話/なぐさめと励まし

 ハリソンさんの旅行の目的がここで明らかになった訳ですが ― 。

 18世紀当時は、英国の裕福な家のお坊ちゃま達が、
社会勉強のためにヨーロッパ大陸を旅行するというのが流行していました。
「グランド・ツアー」といって、フランスを通過してイタリアへと向かう方々が多かったようです。


 確か日本でも1990年代前半くらいに「自分探しの旅」とか言って、
世界各地を旅行している20代の女の子達が大勢いたわね。
バブルの名残で彼女達はまだお金があったから…。
「悠久のインドへ行って、目からウロコが落ちた。」とか…。
その人達今頃どうしているのかしら?

「自分探し」自体は今でもしている輩はいるようじゃがの~。
外国へ行くまではしているのかどうか?

金ナシ暇ナシ一緒に行ける人ナシの世の中だもんな~。
俺も…こんな世の中もーやだ!

いろんな所で、ハリソンさんとトロワさんみたいな
話ができるようになるといいと思うな。
「そうだね。」って本当に大切な言葉だよ。

今の世の中、上手く行かない事の話をすると見下してバカにした上で、
自分のシナリオ通りに動かそうと企む人が多いわね。
励ませば太鼓持ち扱いで、下に見て軽く扱う人も増えて来たわよね。

反対に、いきなりキレる人もいるみたい。
「優越感持ってるんだろっ!」とか言って…。

格差社会の悪影響じゃな!
心の世界でも格差社会が作られようとしている。

でも、バカにする方、キレた方=身分が高い
なんてちゃんちゃら可笑しいわ!

ボクの今までの発言はバカにしているからじゃありません。
「突っ込みは、より深く理解をしたいという欲求および努力から。」
つまり、「愛から」なのです。
誤解のないように!



明日は料理&エッセイ「マカロン作り大失敗記」です。

 第10話は9月からの開始です。
パリ滞在英国人の親睦会で、ハリソンさんが哲学者のヒュームさんと
会ってある提案をし、やぶ蛇になりそうになったという話。

なぐさめと励まし(12/13) ヤング&エリート読むべからず

2008年08月10日 10時37分03秒 | 第9話/なぐさめと励まし

 作者も基本的にはハリソンさんの意見に賛成ですな。
自分は頭脳明晰、もしくはそうだと思い込みたい気持ち満々で、
出世欲や性欲も強い若い男子が世界のどこかに仮に一人いたとして、
ある時そいつが「トリストラム・シャンディ」を読んで、その表面的な世界観にハマったら最後、
その後の人生はきっとロクな事がないでしょうな。


18世紀に読書を楽しめた人達なんて限られていたそうじゃ。
当時の英国の一般労働者の年収は25ポンドくらい。
1ポンド=20シリングで、
25 × 20=500シリング。1ヶ月では小数点以下切り上げで42シリング。
小説の平均的金額は1冊2~3シリング。
「トリストラム・シャンディ」の12折版の小型本2巻分で5シリング。
つまり…大雑把な所で1冊あたり、現代日本の労働者では1日分の給料くらいって所じゃろうか。
1冊5~6000円以上もする本を、今だって一般の労働者は気安く買うもんかね?

おじいちゃん。わたし…その計算聞いてて頭痛ーい。

私は1冊1000円以上の本は、絶対図書館で借りて済ませるわ。
小説が1冊5~6000円は高過ぎるわね。
「令嬢テレジア」は1冊5~600円くらいだから買うけど。
つまり、18世紀当時の主たる書籍購入者はおセレブな階級の人達って事よね?

俺、分かんね。テレジアって実の伯父さんとあんな事しちゃってて大丈夫なんですか?
「君が大好きなことをしてあげよう。」(昨日に同じく第1巻より引用。句点は追加。)
― だって、ううぇえええ~っ!!!すげっ!すげーよっ!!

ハッ、そういえば…近親相姦!マックス伯父さんってとんでもない世間知らずなのかしら~?
韓国ドラマや昔の山口百恵&三浦友和の「赤いシリーズ」みたいな重さが全然なかったから、さらっと通過しちゃってたわっ!!

 「トリストラム・シャンデイ」の愛読者って、昔から性格悪い人が多いのかしら?

俺読破してみたけど、どっちかつーと社会的には評価の低そーなヤツらばっかり出て来てるぜ!
そーいったヤツらの「負け組の遠吠え」大全的な話ってトコっぽかった。

でも、ハリソンさんも作者さんも、「いい所もある」
みたいな事言ってるわよね。



 …いい所をこれから掬(救)い上げて行けたらいいのですが。
ハリソンさんや作者が長所と捉えている箇所に対して、ケツがムズムズしてムカついている人もいるのでしょうな…。
はっきりと表明している方々もいますし。

〈次回の更新予定は8月16日〉




なぐさめと励まし(11/13) 何ゆえに…書かれ、読まれ、訳されるのか?

2008年08月09日 15時34分18秒 | 第9話/なぐさめと励まし

ハリソンさんが「トリストラム・シャンディ」を読んだ理由は、
第7話第8話にありますが、デュポン先生が全訳に挑戦して、
ハリソンさんが3コマ目で言っているような活動をしているのは何ゆえなのでしょうか?

 デュポン先生も、いずれはシャンディ氏が誰なのか、
自伝小説の執筆の真の動機は何なのかをウォルポールさんの策略から知ってしまい、
失望する事になるのですが…。


ウサちんよ~。第9話も来週の土曜日が最終で、
第10話ではゴスヲタオヤジが華麗にカムバックして来るらしいぜ。

ホント?
もっと18世紀っぽい感じの、お城や宮殿やお屋敷でのパーティとか
舞踏会とかの場面
ってのがこの話では出て来ないのかしら?
何か登場人物が「ホテル」とか「カフェ」とか「アパート」とか、
今と大して変わらない場所で語り合いばっかりしてる。
そーゆう点でこの話変わってるよ~!!

ルソーさんの書いた話はへ理屈やお説教が多いって、
第9話の間中、非難の槍玉に上がり続けていたけど、
「ハリソンさんはカノ紳士」は議論のシーンがやたらと多いわよね~。

ルソー殿に限らず、18世紀の書き物は全般的に理屈っぽかったり、
著者や登場人物が説教していたり、議論の場面が多かったりするのじゃ。
作者はその雰囲気を真似ているのじゃろ。
「描いて論ぜず」はもう少し後の時代に
なってからの事なのじゃ。

18世紀を舞台にした話といったら、
私はコレが最高傑作だと思うわっ!!

「欲望の聖女(セイント)令嬢テレジア」
うわあぁぁぁっ!!タイトルからしてずげっ!!
「いい…わ、素敵よピエール、最高だわ!」(小学館フラワーコミックス・スペシャル第1巻より引用。句読点は読みやすさを考慮しての物。)
― って、ママン!俺の事言えないじゃないですか~!?
これ凄杉ですよ!スケベ度が高い男程ドン引きする確立が高いくらい凄杉ですよ!!

タッキーちゃんが、「ズバリ言うわよ!」でインリン様のM字開脚のグラビア見てホン投げちゃった時みたいねっ♪
私はね~、もうこういう年だし、そんな場面はどうでもよくって、
あの抑圧の時代にありながら、テレジアさんが陽気でおおらかで度胸満々でしたたかに生きられたって所が素敵で大好きなのよ~!
「私はロベスピエールを断頭台に送った女。」
なーんて、綺麗な顔で微笑みながら、さらりと言ってのけちゃってるんだもの。

ホントに凄いわ!
もっと大勢の人にこういう女性もいたって知ってほしくて、私もデュポン先生みたいに啓蒙活動しているのよっ!!

どーやって買ったんですか?

「どーやった」 ― って?
普通によく行く本屋で、本体+消費税を出して1巻ずつ買ったわよ。



少なくとも第1部「フランス通過編」では議論の場面が多いでしょうな。
その後は議論の場面が徐々に減って行って、
最後は普通の物語進行っぽくなって行くんじゃないかと…予想しているのですが。
今日の続きは明日。


なぐさめと励まし(10/13) 爺婆は歴史物でも書いていやがれ!

2008年08月03日 19時31分14秒 | 第9話/なぐさめと励まし

 ハリソンさんの感想 ( 実際には全然感想になっていないんだけど… )
に対するルソーさんへの弁護をしておきます。
「ヌーヴェル・エロイーズ」を書こうとする前にルソーさん、
自分が恋愛しているお年頃じゃない事は百も承知でした。
今まで恋愛で満たされたとは言えず、満たされたい欲求を抑圧するのは
耐えられないと葛藤していました。

 ルソーさんが選んだのは、自作の物語の中で恋愛の夢を叶えるという事でした。
やがて自分の描いたジュリさんを現実の女性へと投影するといった事にもなるのですが、
件の女性との関係は創作の肥やしの範囲内に留まり、
「ヌーヴェル・エロイーズ」は激愛の物語から、しだいに人としての徳を描く物語へと変貌を遂げ、
「恋人」「妻」それぞれの時代の理想の女性として描かれて来たジュリさんは、
最後に母としての理想の姿をもって、作中の多くの登場人物に
惜しまれ、さらにはもっと大勢の老若男女の読者らに惜しまれ、涙を誘いつつ、
その短い生涯を終えるのでした。



俺ダメ。再度挑戦してみたけど、飛ばし読みして、
「二人がどこでHしたか」 なんて場面ばっかり探しちゃってるよ~っ!

この子ったらも~!
中学生の時には国語辞典の中にすら、
いやらしい単語を探してしまっていた
子だったんじゃないの?

実は…そうです。え゛?
…男子ってみんなそうなんじゃないの?
ちなみに第1部の書簡54・55 (サン・プルーよりジュリへ) にありました!

ハリソンさんの話の切り替え方は、昔の女子中学生の手紙みたい。
ウサちん、今の若い女の子はメールで By the way, なんて書くのかしら?

どーかな?
わたしはモードの切り替えがめんどいからやってないけど…。

こいつら今なら絶対メールのやり取りをしょんがらしょっ中しまくってるな。
そしてそれを書籍化したら、これがホントの「ケータイ小説」だっての !

わしゃ、「年寄りの社会科見学」のつもりで、
書店へと行って勇気をふりしぼって、
近頃隆盛を極めている「ケータイ小説」とやらを拝見してみたが、
目がテンになったわい !

私は昨日の夜から始まったTVドラマの「恋空」は好きになれそうだわ !
主役の女の子は、ガッキーちゃんの映画が大ヒットでプレッシャーがあると
思うけどがんばってほしいわ~。



 来週は、「英語の会」でデュポン先生が全訳に挑戦している
英国の人気小説「トリストラム・シャンディ」の一部を朗読した話。

〈次回の更新は8月9・10日の予定〉




なぐさめと励まし(9/13) マリアンヌさんのモテたい理由

2008年08月02日 15時56分29秒 | 第9話/なぐさめと励まし

 ハリソンさん、本当に時々いい事言うんですよ。
だからお願いしますぜ。その時には心の耳を澄ませてちゃんと聞いてやっておくんなせぇ!
作者も去年は、自分で描いた主人公に対して、悪口や貶めるような事を散々言っていましたけど、
それじゃあいけないとモーレツに反省しましたわい。

 今週中思ったんですけど、
ルソーさん、「エミール」の中で、「女性の方が身分の高い結婚は道理に反して良くない。」
― ってな事を言っています。
その理由とは、「家族が社会とつながるのは家長を通してであって、家族の身分を決めるのは家長自身の身分だ。
自分より身分の低い女性と結婚すれば、自分の身分を落とさずに妻の身分を高めるが、
逆の場合は自分の地位は高まらずに妻の身分を低める。
妻は夫に従うというのが自然の秩序だ。」
― との事だそうです。

 「エミール」の方が「ヌーヴェル・エロイーズ」よりも後に書かれた物なのですが、
平民の家庭教師サン・プルーまたはS.G(本名のイニシャル)さんと男爵令嬢ジュリ・デタンジュさんが上手くいかなかったという事と、
こーいった所でルソーさんの思想が連続していたという事なんでしょうか?
そして時代は下って、アンドレ・マスト・ダイで、オスカル様も後を追うようにバスティーユ攻撃で殺されなければならなかったのでしょうか?

 身分が社会によって作られて、それがまずいのでなくしてしまい平等になればいいんだ!
…そういう世界となれば、この2カップルは上手く行ったんでしょうか?

 作者にはむしろ、そんな大げさでスケールの大きい問題ではなくて、
ただ単に性格の相性の問題だったと思うのですが…。
サン・プルーさんとジュリさんでは、六占星術の土星人と火星人みたいに、
屁理屈こね合い説教し合って、家事が進まない「非前進的相性」だろうし、
オスカル様とアンドレさんでは、オスカル様の貴族で軍人だという事を除いても、元々のプライドが高過ぎる。
かの池田理代子大先生ですら、フランス大革命を乗り越えた後の、
二人の具体的かつ円満な夫婦生活が想像できなかったからなのでは?
― と、恐れ多くも思ってしまうのでした。




第6話「カフェ・ブルトン」の予告編や今日のハリソン殿のセリフにあるように、
18世紀のカフェは男性が占拠している場所だったんじゃの。

18世紀パリにもカフェ難民がいたという話も…あった。
人生の一発逆転を狙う、今時のプレカリアート男子にとっても、
ルソーの話は納得いかないアリガタメイワクなお説教だろうぜ!
「こっちはそんな事言ってる場合じゃねぇんだよっ!!
逆於玉様っつー最後の希望のともしびを消すなーっ!!!」


18世紀のカフェって、今みたいに若い女の子がお洒落に食事してお喋りする場所じゃないのね。
…マリアンヌさんの気持ち、まだ20代だし分らなくはないんだけどね。

わたしの周りでは、女2以上で男1を取り合っているパターンが多いんだけどな…。

そして…それを横目にあぶれる非モテ男が多数。
「そんな事してないで、俺っちらのトコへ来りゃあいいのに!」
― だって。


ルソーさんの本当の敵は、頭脳明晰で論が立つ人達ではなくって、
案外ハリソンさんやウォルポールさんみたいな、カンが鋭いセンチメンタリスト系の人達なのかもしれない。
今日の続きは明日。


なぐさめと励まし(8/13) 全ての不幸はまじめ過ぎたから…

2008年07月27日 13時01分26秒 | 第9話/なぐさめと励まし

ハリソンさん、1765年10月現在はマッコテ冴えない風采ですが、
英国の「慶応義塾」に相応する大学を卒業している上流家庭出身のインテリで、
落ちぶれてからは新聞記者もしていたという設定なので、ルソーさんの事は知っていたんですわな。


ルソーさん、「エミール」でだったと思うけど、
「女性は男性の気に入るように生まれ付いている、男性も女性に気に入るようにしなくてはならないとしても、それ程必要な事ではない。
とか、現代の女性が読むと「はぁ↑?」とか言いたくなるヘンな所が沢山あるのよね!
逮捕~っ!!

わたし病気になりそう。
わたしもうすでに十分バカだけど、
ルソーさんの文章では、バカになるのも理屈やお説教が必要みたいで、
とっても難しそうだもの。

それじゃ「自然」でも何でもないじゃんかよっ!

ルソー殿、生い立ちがぐちゃぐちゃじゃの~。
これじゃあ、「世間への呪詛が著作を書かせたんじゃないか?」
なんて、後世の頭はいいが意地はとんと悪い人達からいろいろ勘ぐられても当然なくらいひど過ぎる。

そして…ゴーカン事件も起こしています。
それからマザコンでドMだったそうです。
奥さんとは長年連れ添っていても、相当後まで正式に結婚しませんでした。
でも子供は5人生まれて養育院送りにしました。
そして、その事を1764年にライヴァルのヴォルテールに
バラされてしまいました。

その子供達どうなったのかしら?
お父さんから人付き合いが苦手な遺伝子をより受け継いでいたら
その人生は相当過酷だったんじゃないかしら?

何か、ヘンタイで、可愛がられ下手で、
もーホントにダメダメな人…って感じィ~。

ルソーのヤローに比べたら、
ローレンス・スターンなんて
全然フツーでいいヤツじゃんかよ!

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「ファニー・ヒル」/ジョン・クレランド(1710-89)作
/吉田健一訳/河出書房新社

 ハリソンさんが言っている、
「お裁きの伝説」が起こったという本です。
この本、前にパンダ君とウサちゃんが言っていたように
少女小説の振りして図書館や書店にフツーに置いてあったりしますが、
読んでみたらブッ飛び
の内容です。

こっちの方が全然ハァハァの「オカズ向き」だぜ!
「トリストラム・シャンディ」なんて、
全然ムラムラ来るトコねぇじゃんかよっ!!

この子は不適切な発言ばっかりしても~。



来週はハリソンさんが「ヌーヴェル・エロイーズ」&ルソーさんに対して思っている事。
マー坊が「英語の会」でして来た事。

〈次回の更新は8月の2・3日です。〉













 


なぐさめと励まし(7/13) 負け組合流

2008年07月26日 14時58分44秒 | 第9話/なぐさめと励まし

作者、正直言うと、「ヌーヴェル・エロイーズ」は、何か読んで後味の悪さが残るんですよね。
20代前半までにめぐり合って、読んでおけば良かったんでしょうか?
30代の半ば~後半頃に読んだ記憶があるのでした。

 買ったのが、蔵書目録では1993年の12月6日とあるので、
かなり長い期間すっぽかしてあったという事になります。
この本を読んでみたいと憧れる「ベルばらファン」の方々には、
脳内で断頭台に送られてしまいそうな話なんですが。

 その「後味の悪さ」がいったい何なのか?
― は 、別の機会に書く事があるかもしれませんが、
同じ身分違いで始まる恋愛を描く18世紀の小説なら、
ヘンリー・フィールディング(1707-54)の「トム・ジョーンズ」の方が、
ハッピー・エンドだし、華麗なる冒険あり、波乱万丈の運命ありで、
実にスカーっとして、作者好みなんですけどね!

 
ハリソンさんは、やっぱりポール・ベタニーさんに似ているわ。
ウォルポールさんのカンって、やっぱり当ってるんじゃないの?

ポール・ベタニーは、金髪で背が高くて(190cmあるらしい)
青い目だけど、服装センスが最悪でトロいって事はなさそうだせ。
冗談は得意らしいけどな!

映画「ロック・ユー」のステキな脇役で、
柵や手すりの上を演説しながら器用に歩いていたわよね。

そして、なぜか妻でも萌えそうもない全裸シーンが2回もあった。
主演は今年の初めに突然死を遂げたヒース・レジャー。

レジャーさんの方は、作者さんがいつだったか、
トロワさんとちょっと似ているって言っていたわよね。

私も最近、白髪染めがめんどくさくなって来たから、
いっその事、ハリソンさんみたいにウィッグにでもしちゃおうかしら?

わしゃ、全部すっぱりにしてからは、もう頭の悩みは全然ナシじゃな!



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「トム・ジョウンズ」/ヘンリー・フィールディング著
/朱牟田夏雄訳/岩波文庫全4冊

前に 「ブリジット・ジョーンズの日記」って小説と映画があったわよね!
ヘンリー・フィールディング=「トム・ジョーンズ」
ヘレン・フィールディング=「ブリジット・ジョーンズ」

作者とタイトルがお互い似ているけど。

「ブリジョン」映画の中味の方は、英国のBBCTVドラマ「高慢と偏見」に似ているらしい。
どっちも男主人公の名前がダーシーで、おんなじ俳優が演じているそうだぜ。
「トム・ジョーンズ」の方も英国のBBCTVドラマと映画があるらしい。

中味が似ているのは、ヘレンさんが英国の連続TVドラマ「高慢と偏見」で
ダーシー役を演じたコリン・ファースさんに憧れていたかららしいわね!
ドラマは日本でも2001(平成13)年の年始にNHKで放送していたっけ。

俺は「パイレーツ・オブ・カリビアン」のキーラ・ナイトレイが
エリザベス(こっちは女主人公の1stネーム繋がりか?)
を演じた映画の方がいいね!
ケイト・ウィンスレットの後を継ぐ美人コスプレ女優。
「美人過ぎて他の姉妹と整合が取れない」って言われたらしいけど。

そーねー。いっそ姉妹物なら「若草物語」のジョーでも
やってくれてた方が、キャラから言ってもより似合っていたんじゃないの?

また話がそれまくっちょるなー。
 


明日は、「知らなきゃよかった」ルソーさんの話。
「ハリソンさんが会って疲れた人との話」は、第8話にあるので、
必要があれば、カテゴリの「第8話/標的」からご確認下さい。








なぐさめと励まし(6/13) 全欧米No.1大ヒット作の作者、ルソー氏の明暗

2008年07月21日 16時44分55秒 | 第9話/なぐさめと励まし

 現在18世紀欧米の小説で、一番読まれているのはどの小説なんでしょうか?
統計を見た事がないので正確な事が分からないのですが…。
どうも一説によるとローレンス・スターン作の「トリストラム・シャンディ」
らしい
ですわな!
(どういう話か分らない方は、このブログにもザッパなあらすじ等をまとめたカテゴリ項目があるので、
必要があればご確認下さい。タイトルは「トリシャンカノ紳Version.」)


 「トリストラム・シャンディ」については、中にはかなりの熱狂的なファンがいるらしく、
昨日のパンダ君が言っていた、絶版復活運動を展開した大学の先生や、
全訳チャレンジャーの人、ゆかりの場所へと行ったり、
関連本や関係のあるアイテムを集めまくっている人、
主人公やスターン聖下と一緒にあちこち逸脱しまくって、読破が先送りになっている人、
トゥビー叔父さんのお城の模型を作ってしまった人
スターン聖下のご住居だった所で、現在は見学料を払えば誰でも中に入れる、
シャンディ・ホール&ガーデンズの館長職を狙っているという野望を持つ人などが
いらっしゃるようです ― 。

 こういった人達の話を聞く、もしくは書いた文章を読んでいると、
18世紀に一番ヒットした小説は、「トリストラム・シャンディ」だと
まさに思い込んでしまいそう
な所なのですが ― 。

 でも、「ヌーヴェル・エロイーズ」の大ブームぶりに比べたら、
足元にも及ばなかったのではないか 、五十六十ハナタレ小僧なのでは?
― ってのが本当の所だったのでした…。


ルソーさん、大ヒットから一年半くらいで一転、
1762年には、漫画にある理由で逮捕令が出て、
それから各地を転々と逃亡生活なんですって。

うぉおおお~っ!!人生激し杉ね?

ウォルポールさんがキラッてるっぽい事が、
登場人物紹介にあったわよね?

あの御仁は「貴族以上に貴族的」じゃからな…。

「もー生理的にダメ~!!」って事ね。



 うち疲れ、または傷心で帰宅した主従は…。

〈次回の更新は7月26・27日の予定〉











なぐさめと励まし(5/13) 綺麗な花には棘(とげ)がある

2008年07月20日 12時02分26秒 | 第9話/なぐさめと励まし

 マー坊、憧れのマリアンヌさんからこんな事言われてショックだろうけど、
こうやってね、だんだん自分が分って行くんだよ…。


 作者の家にある「ヌーヴェル・エロイーズ」なのですが、
全4冊の岩波文庫版です。
記録では1993(平成5)年に購入していました。
よく行くデパートで時々催されている古本市へと行った時に偶然見つけました。
第一刷が1960年なので、ルソーの原作が出版されてから200年を記念して企画された物なのかもしれません。

 1960年当時の値段で1冊300円くらい。
…ちなみに作者は1967年生まれで、幼い頃はアイスが1本もしくは1カップ10円で買えた記憶があります。
古本市では4冊まとめて450円でした。

 いったいどのような方が前の持ち主だったのでしょう?
「エミール」や「社会契約論」を読んで、他のも読みたいとか思って買ったら、
あんまり良くなかった、もしくは失望して売りに出したのでしょうか?
ほとんど新品同様だったのです。

 男爵令嬢ジュリに家庭教師のサン・プルーが、
「あなたのお母様のお招きでこの家に来ましたが、あなたを好きになってしまいました。私はここにはもういられません。」
と退職要求の手紙を出す所から始まります。

 それに対してジュリさん、
「辞めないで下さい先生。私も先生を好きです。」
とかいう返事を出すのでした。

 その後お互いに両思いでうれしいとか、それでもなぜか満足できないとか、
― そういった手紙を交わすのですが、
ある日、ジュリがいとこで親友のクレールと図って、
出かけた先の木立の中で、サン・プルーへと冗談混じりにキスをした事で、
サン・プルーがかなりのショックを受け、
二人はお互い少し離れていた方がいいかもしれないという事になります。
サン・プルーは、用事にかこつけて休職し、旅に出るのでした。


あとちょっと「高校教師」も入っているわね!
どっちかっていうと桜井幸子さん+真田広之さんの古い方の。
両方ともお父さんが邪魔に入って来るけど、
ジュリさんのお父さんは、さすがに近親相姦ヘンタイオヤジじゃあないわね!

わたし、上戸彩ちゃん+藤木直人さんの方しか知らない。
あれって結局最後先生どうなっちゃったの?

「DVDでラスト・シーンをじっくり確認すれば分るかも。」
― とか言っていた30代前半のオバサンが職場にいたぜ!

詰まる所、身も蓋もないが、
「ヌーヴェル・エロイーズ」は、
「恋愛物として受ける要素」がこれでもかこれでもかと盛り込まれていたって事じゃな~。

それらが入っていれば、「何世紀に発表しようが受ける」って事だね。

ただし、作者が「戦略的に」書(描)いているんじゃなくって、
「心の叫びとして」書(描)いているのが前提
としての話だわ!


それでも食い下がろうとするマー坊ですが、さらにカコクな状況へと追い込まれてしまいます。
今日の続きは明日。


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新エロイーズ /ジャン・ジャック・ルソー(1712-1778)著
/安土正夫訳/岩波文庫全4冊

…がありますが、どうも絶版になっているらしく、ネットの書店でも中古品しかないようです。
図書館によっては蔵書にあるかもしれないようです。
根強い「ベルサイユのばら」ファンの人達の間ですら垂涎の的の作品らしく、
「読んでみたいのに…。」
「新訳出して!」
― とかいう文を「ベルばらkids」でも見かけました。

「トリストラム・シャンディ」でどこかの大学の先生がやったように、
「復刊ドットコム」でヒシ(必死)こいて運動してみろよ!
「ベルばら」ファンならそれくらいの人数を動員させるの何でもないだろうに!













 


 

なぐさめと励まし(4/13) なに…たわいもない恋愛小説だけどね…

2008年07月19日 14時50分21秒 | 第9話/なぐさめと励まし

 ― と、「ベルサイユのばら」で、
オスカル様のお婿さん候補のジェローデル少佐が、アンドレさんに向かって、
「ヌーヴェル・エロイーズ」の事を ― 本日のタイトルの如く、こう言っておりました。

 アンドレさん、身分違いでオスカル様とは結婚できないと、
職場のフランス衛兵ヴェルサイユ常駐部隊の仲間にからかわれて、
ケンカになってしまうわ、隊長のオスカル様には怒られてしまうわの踏んだり蹴ったりで、
その場を駆け出し、地面に突っ伏して号泣していました。

 その上帰宅してからなのか?…ジェロ少佐がジャルジェ家へと来ていて、
アンドレさんはココアを出しに行くのですが、
ジェロ少佐から、「ヌーヴェル・エロイーズ」に引っ掛けて、

「ぼくにも妻を慕う召使いを、妻のそばにつけてやるくらいの心の広さはあるつもりです。」
(集英社文庫版第3巻285ページより引用。句読点は作者が読みやすさを考慮して入れました。)


― とまで言われて、遂にブチキレてしまい、
ジェロ少佐にココアをぶっかけてしまいます。

 そして、
「そのショコラが熱くなかったのをさいわいに思え!!」(同286ページより引用)
とジェロ少佐に向かって叫ぶ、有名なシーンとなるのでした。


その例の「ヌーヴェル・エロイーズ」の事だけど、
恋愛小説にしては、理屈っぽ杉じゃね?
俺、読破イチ抜け!

私も期待はずれ、ニィ抜け!
言ってる事が難し過ぎるよ~。
平民でもウォルポールさんくらいの格式なら、貴族のお嬢との結婚は全然OKなんじゃないの?

本人に「する気」があればな…。

ふっふーっ!
私は今日までにちゃんと読破できたわ!
へ理屈やお説教の部分を削除すれば、ストーリィそのものはウケ線だと思うな!
( 「新・愛の嵐」+「真珠夫人」+「失楽園」 ) ÷ 3 って感じ。

「新・愛の嵐」
― 主役の要潤が、子供と一緒に童心に戻って「仮面ライダー」を見ているママ連中以外に、
独身者、既婚・子ナシのオバサン連中にもファン層を拡大した、伝説の出世作。

お母さんとお姉ちゃんがそれ大好きで、
昼の放映時に留守録でビデオ撮ってて、わたしも一緒に毎晩見てた。
「動物のお医者さん」の二階堂君も良かったわよ。

「新・愛の嵐」の原作はエミリー・ブロンテの「嵐が丘」なのよ~。
実は格調高いんだから~。

話が完全にそれとるな― 。


マー坊とマリアンヌさん。恋愛観が合わないようで…。
こういう事を話し合う機会が訪れたのが早過ぎたという「不幸」ですわな!
明日も「ヌーヴェル・エロイーズ」についての話。


なぐさめと励まし(3/13) 知らないの? 

2008年07月13日 11時06分38秒 | 第9話/なぐさめと励まし

マー坊が話しているのは、「トリストラム・シャンディ」第7巻32章の事です。
マリアンヌさんが話している「ヌーヴェル・エロイーズ」については、
予告編にあらすじがありますので、必要があれば双方についてのご確認をお願いします。


ハリソンさん、あの顔で不倫していたのかしら?

当時は「不義密通」みたいな後ろめたい、暗いイメージはなかったそうじや。

亭主も承知で放っておいて、自分も適当なよその奥さんの
「天城ナイト ― リイコを愛しているよ。」なんて「絶対彼氏」みたいな事をしている。
ムキになって妻と相手を惨殺なんて事を仕出かしたら、
それこそ「お見合いで結婚はできたけど、実はモテなくて嫉妬深い夫」
というのがバレバレ。
最悪死刑になった上に、笑われるだけで誰からも同情してもらえない。

奥さんの方も、一々嫉妬していたら、
堅物扱い → 軽蔑 → 爪弾き → ハチ → 銀行から取引停止 → 御家没落で踏んだり蹴ったり
― なんて羽目にもなりかねなかったそうよ。
これも女性にとってはまさに死刑に相当するわ!


ハリソンさんが以前フランスに来た時については、
第6話の12回目にもあります。

次回は、愛読する恋愛小説の話で盛り上がるマリアンヌと水を差すマー坊。

〈次回の更新は7月19・20日の予定〉






なぐさめと励まし(2/13) 共通の話題

2008年07月12日 10時39分12秒 | 第9話/なぐさめと励まし

この二人、共通の話題と言ったら今の所、「英語」と双方のお師匠様の
「ハリソンさん」の噂話しかないようです。


何かハリソンって「裏表」がありそうなヤツだよな…。

「二面性」って言った方が聞こえが良くなるわよ。パンダっち。

今までの言動を見ていると、ハリソンは二面以上じゃ…。
「多面的」と言った方がいいかもしれん。

ハリソンさんには興味ない。
あえて言えば、みんなの言ってるみたいな人だから、
ウォルポールさんに、「シャンディさんなんじゃないか?」
― って疑われちゃったんじゃないの?
 
どうやら話中の登場人物らとわしら閲覧者の間には、
ハリソンに対しての印象の「ずれ」もあるようじゃな。

私は前話でハリソンさんの印象が、「主人公のくせに薄い」
― って言った覚えがあるわ。



マー坊とマリアンヌの話は、このまま弾んで行くかに思われますが…。
今日の続きは明日。










なぐさめと励まし(1/13) 散会後

2008年07月06日 11時56分38秒 | 第9話/なぐさめと励まし

やっぱり人生も漫画も(両思いか片思いかはどっちでもよろしい。)
恋愛がなくっちゃね ♪


作者さん、やっと悟ったのかしら!
もし、プロフィールが本当なら今年で41なんでしょ?
ちょっと遅いんじゃないの?

物語という物、普通は描(書)き始める前の時点で、
すでに作者の主張がはっきり固まっている物と、
わしは思っていたがの~。

「原作とした作品の一つ」の影響を受けて、
描(書)きながら 主張を固めて行く
― なんて事しているのかもしれませんよ。

そんなのどーでもいい。
わたしはウォルポールさんが出て来ないのが不満…。

作者、前の話は男性しか出て来ない上、
ちょっこりマニアックな分野に入り込んでしまうので、
「絶対閲覧者が激減する」と覚悟していたそうじゃ。

ところが、あのゴスヲタオヤジのヤツときたら、
意外に突っ込み所満載だったからな~。


作者的には、可愛いマー坊が戻って来て、恋愛話の主人公になって、
物語に華を添えてくれるので、うれしいのです。

〈次回の更新は7月12・13日の予定です。〉

第9話登場人物紹介

2008年06月30日 06時42分55秒 | 第9話/なぐさめと励まし

 ただし、今回ウォルポール氏は、表舞台には出ません。
デュポン氏も漫画の中では、姿を現しません。

第9話/なぐさめと励まし 予告編

2008年06月30日 06時42分23秒 | 第9話/なぐさめと励まし

 18世紀欧米小説最大のヒット作は、
ジャン・ジャック・ルソー(1712-1778)の
「ヌーヴェル・エロイーズ」でした。

 1760年の年末に、オランダで印刷され、
61年の1月28日に発売されました。
英国のロンドンでも売られたのだそうです。

 スイスに住む男爵令嬢ジュリは、
家庭教師のサン・プルーと恋愛関係になり、
子供も授かりますが、
両親の反対で引き裂かれ、流産の後に、
父の友人で30歳近くも年上のロシア人貴族、
ヴォルマール男爵の妻となり、男の子が2人生まれます。

 世界旅行から帰ったサン・プルーは、ヴォルマール家に
迎えられ、子供達の教育係となります。
サン・プルーはヴォルマール氏と互いに尊敬し合いつつも、
ジュリへは未練があり、危険と背中合わせの生活でした。

 やがて、サン・プルーは恩人の英国人ボムストン卿の
イタリア行きに同行しますが、
その間に、ジュリは湖に落ちた子供を助けようとして
亡くなります。

 サン・プルーの元へは、愛の告白が
書かれたジュリの遺書が届くのでした。

 手紙形式で書かれたこの恋愛小説は、1761年から1800年までに、
約70版を重ねました。
英国では、当時増加して来た女流作家達にも大きな影響を与え、
ジェイン・オースティン(1775-1817)の6大恋愛小説へと繋がって行くのでした。

 マルセルは、カフェ・ブルトンが主催する「英語の会」へと、
ゲストとして招かれ、好意を持つマリアンヌに接近しますが、
彼女が大好きな「ヌーヴェル・エロイーズ」を知らなかったために、
連れなくされた上、彼女の取り巻き達にもバカにされてしまうのでした。