漫画/ハリソンさんはカノ紳士 Mr.Harrison is THE GENTLEMAN ― フランス通過編 ―(前半)

18世紀欧州が舞台の歴史ロマン。アヴィニヨンの薬屋小町クレールとハリソン&マルセル主従との運命の出会い。

黄昏のエア (15/32) 影の作者

2009年08月30日 10時23分57秒 | 第14話/黄昏のエア

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *


 アラベラさん、 「 夏休みの読書感想文が書けないよ~っ! 」 
と泣きついて来る子供に、

「 この本読んでこう書けば? 」 ― とか、

そんなモンは、ハナっから省略して、

「 もうっ!私が下書きするからそれを清書して学校に持って行きなさいっ! 」

― って感じのお母さんみたいですな!

 …何なんでしょうか、独身時代の自己表現に悔いが残っている才女様達が、
子や孫までも通して無限に欲求不満を晴らそうとしたり、
独身時代内でも、自分より立場が弱かったり、
性格がソフトな人間に対して、余計なお世話のプロデュースをしたがったりするのは ― 。

 才女様達の子供達に意外と問題児が多いのを見る昨今、

「 女性に学問はいらない。 」

― と、いうのは、決して男尊女卑の差別だけでは無く、
実は他の意味もあるのでは ― と、作者には思えて来るのでした。


 「 影の作者 」 ― この言葉をよく覚えていて下さい。

ハリソンさん、1762年4月現在では、全くの無自覚ですが、
いずれ無関係では無くなり、
人生最大の脅威となって襲って来るのですから。


 次回はアラベラさんが、
自分のプロデュースした作品に向けられた批判への不満を爆発させます。


〈 次回の更新は9月5・6日の予定 〉
 



黄昏のエア (14/32) シンパシー

2009年08月29日 15時22分45秒 | 第14話/黄昏のエア

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *



 ハリソンさん、ヤバい展開になりそうなのを阻止すべく、
話題を変えてしまいました。
そしたら、こっちでもまたヤバい展開になって行ってしまうのでした。
( ハリソンさん、そういった事は第5話でもやっているし、
これからもする事でしょう…。 )

 病気が治ったアラベラさんが、シンプソン家から帰宅する時に、
ダンナのヘンリーさんはコルチェスターの領地にいたので、
代わりにユージン様がお礼の挨拶と迎えに来たのでした。

 ユージン様、英国文壇の重鎮、サミュエル・ジョンソンさん ( 1709-84 )
とその取り巻き連中の事を、雑誌のインタヴューで、

「 いい年こいてお山の大将と美しくないがゆえに彼のお気に入りの寵臣達 」 とか、
「 大将様は、後世でトリストラム・シャンディよりも大変人と絶賛される事でしょう。 」

…とか言って挑発してしまった事もあったようです。

 世間では、ライバルと思われているユージン様とシャンディ氏なのですが、
ちょっと前の 「 長澤会 VS. 沢尻会 」 の如しで、
読者やマスコミ関係者が勝手にライバルだと煽っているだけなのかもしれません、

 当人同士はどちらも文壇から ( そして多分血縁者から ) 孤立してしまっているし、
作品についても、酷評する人からはメチャクソ激々にされているので、
案外シャンディ氏の方も、ユージン様に内心では
拍手喝采を贈っているのかもしれません ― 特にジョンソンさんから、

「 英語になってないと言ってやりたいね。 」 Σ( ○ 。○ ; )

なんて言われていた事を知ってしまってからは! ― 。


 あの~、ローレンス・スターン研究者&愛好家で、
もしこれをご覧になっている方々~っ、
「 友人を楽しませるために、切り立った丘の斜面を転がり落ちて喜ぶ。 」
なんて事をスターン氏がしたなんて証言資料はどこかにありますか~っ?!

〈今日の続きは明日。〉

 

 

黄昏のエア (13/32) スケッチブックを見せろって!

2009年08月25日 18時42分05秒 | 第14話/黄昏のエア

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *



 一見、逸脱系 * * トークなだけのようですが、これ、実は立派に伏線なのでした。

 え~、この物語中で、何回か作者はクイズを出すつもりなのですが、
完結記念サンクス・スペシャル ( いったい何年後?! )
― に、全問正解者の中から、抽選で豪華プレゼント ( ? ) があるかもよ?!

…正解を知りたかったら、生きていなせぇ! 


  1問目は、第10話 「 波乱の親睦会 」 の4ページ目、
新しいパリ駐在大使を迎えての親睦会場で、ウォルポールさんとヒュームさんが、
どこにいるか?

  そして、2問目は、↑のスケッチブックに描いてある食べ物は何?

 まあ、今ではワシらもフツーに食べていますな。
ダイエットのために食べている人もいるし、
弁当に持って行けるようなプラケースも最近できましたっけな。
それから皮は昔、コントのすっ転びシーンに使われてましたな。

 …それから、作者、若い頃に、寺山修司さんのとある本で読んだのですが、
これの木のかすかなつぶやきを聞くと必ず死ぬんだそうです。
うへ~っ、おとろてぃや~。 


 尼将軍様に聞く所によると、女子先輩と他部署のオニータンは、
ちゃんと自分達でアブナイ話をしている事に気が付いて、
「 こいつら何の話してんだって、周りは思うぜ! 」
― って言っていたのだそうです。

 次回からは、ハリソンさんとアラベラさんが、
ユージン様の評判話からケンカになって行ってしまいます。

〈 次回の更新は、8月29・30日の予定 〉

黄昏のエア (12/32) 何の話をしてるんだか…

2009年08月24日 20時19分41秒 | 第14話/黄昏のエア

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *



 …んでもって、3年以上前に描いた、元々の原稿分につながるのですが、
絵柄が多少違う事についても目をつぶっちゃって下さい。

 ハリソンさんとアラベラさんは、パステルである食べ物の絵を描いています。

 二人で 「 それ 」 を連発しているのですが、
英語の “ it ” にも、日本語の 「 それ 」 にも、
ここで決して言語化させてはイケナイ、
あるアブナイ連想をさせる効果があるというのを、何かで読んだ記憶があります。
でも、ハリソンさんたらねー、ぶっちゃけ次の15話 「 トリシャン・コード 」 内では、
心の叫びとはいえ、そのまんまズバリで言っちゃってますけどね~!!

 この物語開始以来初の際どい会話なのですが、
( まあ、 「 キチャナイ会話 」 の方についても、無かったと言うつもりは毛頭無いが…。 )
ハリソンさんは、

「 自分達が際どい話をしているように、端からは見えてしまう可能性がある。 」

― と、いう自覚が次ページまで
起こって来ないし、アラベラさんはその後も起こらなかったようです ― 。


 このエピソード、実は、尼将軍様が職場で若い頃に、
実際に遭遇した会話を元ネタにしています。
聞く所では、これとほぼ同じ会話を、彼女のいた部署の女子先輩と他部署のオニータンが、
至近距離で話していたのだそうです。

 今日の続きは、
今週の土曜日より明日の方がつながりが良くなりそうなので明日にします。
 


黄昏のエア (11/32) 被害を受ける者は第三者、それも…

2009年08月23日 14時49分59秒 | 第14話/黄昏のエア

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *



 アラベラさんとヘンリーさん、一見夫婦円満のようですが、
アラベラさんは、DSS ( 家庭内ストックホルム・シンドローム ) で、
年が離れた、オヤジの風格を持つ男性の扱いに対しては、
両親と同居していた頃の不快な出来事を決して繰り返さないようにと、
大変な注意を払い、自己抑制しているだけなのでした。

 一方ヘンリーさんは、不幸な死を遂げた2人の妻への扱いに対する後悔もあり、
シドニー姉弟を、妻達の復讐の呪詛で全滅したのかもしれない、
子供達の代わりのようにも思っている事もあり、
アラベラさんの事は、たとえ形だけだったとしても、
全く不自然無く自分を夫として立ててくれているし、
家の事はそれなりにやってくれていているので、
若くて美人で聡明な自慢の嫁だと思っているのでした。

 …そういう訳で、お互い協調し合って、
今の所は上手く行っているのでしたが…。

 By the way, ヘンリーさんの読んでいる雑誌と思われる
読み物なんですが、

“ Who's the Gardener ? ”
「 庭師はどなたですか? 」

― つ~、庭の手入れの良い事へのほめ言葉がタイトルになっています。

 
 ―― んでもって、アラベラさんは、
シンプソン家へと、 「 英国版妖怪ぬらりひょん 」 かもしれん人に会いに行くのでしたが…。

 今日の続きは明日。
やっと加筆分が、夏と共に終了!
今後しばらくは、通常更新に戻れそうなモヨウ。

 

黄昏のエア (10/32) あの妖怪に会いたい?

2009年08月15日 21時00分16秒 | 第14話/黄昏のエア

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *



 話が飛躍しているようなのですが、ユージン様、

「 お姉さんは、僕がいいトコ取りばかりしているような事言ってますけど、
そうでもないですよ。 」

― ってな事を言いたくて、ウィンザー宮殿での、つまり…、

「 ちゃんとした男の人達は、女子供向けの小説書いてる自分の事などいくら人気があっても軽視していた。 」

という事を話したのでした。

 実家が経営しているアクセサリー店の顧客の某紳士様が、
自分が叙爵される式典へと、ウケ狙いでユージン様を随行して行ったのでしたが、
狙いがみごと外れてしまったという話です。

 育宮殿下 = ヨーク公爵 ( 国王の弟君 ) の事です。
日本の皇室風の呼び方ですが、何の事はナイ、セリフの文字数に
制約があっての省略なのでした。
省略といえば、コマの省略もあって、1コマめから2コマ目までの間で、
すでにユージン様は、地べたに椰子の苗を置いてしまっていたのでした。

 もし、ハリソンさんが、本当にトリストラム・シャンディ氏で、
この行事に参加できていれば、いろいろな可能性が開けて来る出会いが
あったのかもしれない事でしょうに。残念でしたね~。
( ちなみに、ユージン様のセリフにもある、ピット総理またはチャタム伯爵への献辞は、
「 トリストラム・シャンディ 」 第1巻8章と第2版以降の1章の前と、最終巻の頭にあるようです。 )

 でも、明らかにアラベラさんとは、キモメン扱いされて出会う事すらできないかも。
シクシク…。

 まあ、ハリソンさん、何度も言っていますが、バツイチ・ヘタレの干物男で、
人付き合いも苦手と自分から言っているくらいなので、
元祖ネイボッブ ( インド成金 ) で、親子2代の総理大臣を輩出した、
ガッツ・ピット一族に加われたのかは甚だ疑問なのですが…。


 …確かに、日本では 「 トリストラム・シャンディ 」 の事は、
「 妖怪鵺 ( ぬえ ) みたいな小説 」 と言われているみたいですが、
アラベラさんの妖怪のイメージの出所は、彼女が見たある漫画からのようです。
その漫画については、第15話 「 トリシャン・コード 」 に出て来る事でしょう。

 あと、1ページ分、出来上がり次第となります。




 

 




黄昏のエア (9/32) 姉と弟

2009年08月12日 22時21分32秒 | 第14話/黄昏のエア

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *


 ヘンリーさん、南国系植物の栽培マニアなのでした。
お庭には、椰子の一種やら、夾竹桃やら、レモングラスらしき草やらが
植えてあるのでした。
そして、温室には芭蕉やら、ジャスミンやら、蘭科の草花やらが
集められているのでした。

 ちなみに、椰子の木はロバート・バートンさん ( 1577 - 1640 ) の本にも
書いてあったような夫婦 ( めおと ) 椰子です。

 ヘンリーさん、お金持ちですが、宮殿のような豪邸は持たずに、
動植物の珍種集めの方へとお金をかけてしまっているようです。

 ユージン様はヘンリーさんの趣味をとても尊重し、
ヘンリーさんも育てた苗をユージン様にあげたり、
飼育・栽培の苦労や薀蓄を語ったりして、お互い頻繁に交流していました。

 他にも、小公子セドリックさんがドリンコートお爺様伯爵の厳しい心を
解きほぐして行ったような事を、ユージン様もお義兄さんへとしたお陰で、
ヘンリーさんはシドニー姉弟を、妻とその弟というよりは、
あれだけ2人の妻から大勢得ながらも、全滅してしまった実子達の代わりにと
愛しているのでした。


 アラベラさん、前話でハリソンさんに話していた事が本当だとすると、
本ページのセリフって、スコブル嫌味っぽ~いってな感じ。
でも、ユージン様の方でもお姉さんに不満有りげ…。

 引き続き更新は出来次第。
次ページでは、アラベラさんはトリストラム・シャンディ氏を * * ・ * * とまで呼び、
ユージン様は彼と * * * になりたいとまで言い、姉弟ユニットで意見の対立が明るみに!
 


黄昏のエア (8/32) 選挙の時の人気者

2009年08月02日 15時48分51秒 | 第14話/黄昏のエア

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *


  東印 ( 東インド会社 ) の株は、
1766年に人気沸騰になるまでは安定株だったようですが、
1757年以降から、同会社を通じてインドを英国が植民地化する事が進み、
増収が期待されたため、今の日本にもそんな人達がいますが、
状況を先読みして、あれこれ動き回りたがる人達がいたって事でしょうかね?

 取締役については、現メンバーの誰かが死亡するか、
2,000£以下の持株になって資格を失うかしないと、
メンバーの入れ替わりはなかったようで、
しかも、ポスト争奪戦の競争率はかなり高かったとの事でした。

 ヘンリーさん、筆頭株主なのですが、10,000ポンド以上の株主は、
アラベラさんのセリフの通りで、4票の投票権を持っていたそうです。
それから1784年までは、株主総会の力が強かったようなので、
アラベラさんへの働きかけは、いざ取締役就任後に、
会議がスムーズに進むようにとのご機嫌取りの意味もあったのかもしれません。

 ところで、ヘンリーさん、死亡した2人の妻が、
もし、本ページのアラベラさんのようなセリフを言ったのなら、
機嫌を悪くして、良くて睨みつけた後で黙殺するか、
悪くなると怒鳴りつけて、女性差別&見下し丸出しの態度を取っていたのかもしれません。

 2人目の奥さんが亡くなる時と、その後にある不気味な出来事が相次いだ事と、
結婚当初、DSS ( 家庭内ストックホルム・シンドローム ) だったアラベラさんを哀れに
思った事で、ヘンリーさんにも変化が出て来たといった所でしょうかね。


 作者担当の心理療法士の先生は、
家庭内ストックホルム・シンドロームの提唱者、岩槻謙司さんの事を作者が話していた時に、
「 バンドやったり、超常現象に興味持ったりしてるみたいですよね~。 」
なんてトンチンカンな受け答えで話が噛み合いませんでしたが、
大槻ケンヂさんと勘違いしている事が分って、二人で大爆笑でした~っ!!

 次回更新も出来次第です。
次回からは、アラベラさんと弟ユージン様のチクチクな心理戦と、
二人がそれぞれトリストラム・シャンディ氏をどう思っているかが描かれる予定。