漫画/ハリソンさんはカノ紳士 Mr.Harrison is THE GENTLEMAN ― フランス通過編 ―(前半)

18世紀欧州が舞台の歴史ロマン。アヴィニヨンの薬屋小町クレールとハリソン&マルセル主従との運命の出会い。

波乱の親睦会(13/13) 君自身が書けばいい

2008年10月12日 19時50分32秒 | 第10話/波乱の親睦会

他者の創作物や創作態度に不満を持つ事は、
決して悪い事ではないのです。それが自分の中で湧き上がる創作欲求への
気付きに繋がるのなら― 。
ヒュームさんのおっしゃる事はもっともで、
ハリソンさん、他人に望みを託すより自分で書いてしまえばいいんです。
作家は書いている内に、知らず知らずに哲学者になって行くものですからね…。


 私、哲学っていうと昔のCMで野坂昭如さんだかが歌ってた、
♪ ソッソッソックラテスかプラトンか~ニッニッニーチェかサルトルか~
みーんな悩んで大きくなった~ ♪
って歌しか思い浮かばないわ。

ママン、俺それ分かんね!
いつ頃の話っすか?

 いつだったかしら?10代後半から20代前半頃までのどこか?
お酒のCMだったのかしらね~?
「グラスの底に顔があってもいいじゃないか!」っていうのもあったわね。

哲学とも取れない事はないが、
それは…故岡本太郎氏がデザインした消費者プレゼント品のキャッチフレーズじゃ!
北野武氏が後にギャグにしてからかっておった…。

あの人、「芸術は爆発だ!」とかも、
CMで確か自分でデザインしたのか、
ヘンな模様のピアノ弾きながら言っていましたよね?
あれもあの人なりの芸術に対しての哲学なのかしら?

どっちにしてもアラフォー世代以上じゃないと分らない話題なんじゃ…?

あら、ごめんなさい。

次の話でハリソンさんとランズバーグ夫人との仲が
深まるのかしら?

でも、作者のこったから「令嬢テレジア」みたいなエロ・シーンは絶対ないね!


 
↑ パンダ君のゆー通り、絶対ないです。
ページ数の都合により、第11話が今年最後の話へと変更になりました。
ハリソンさんが「トリストラム・シャンディ」の正体について、
ランズバーグ夫人に衝撃の告白を ― 。
&ウォルポールさんの嫉妬が炎上!

〈第11話は11月1日が開始予定です〉

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悪魔と裏切者 ルソーとヒューム / 山崎正一さん・串田孫一さん共著
/河出書房新社

今話に登場しているヒュームさんのモデルになった、
実在の英国の哲学者デイヴィッド・ヒュームVSフランスの超有名な思想家ジャン・ジャック・ルソーのバトル
の詳細が書かれています。ウォルポールさんのモデルになった人も出ています。
また後でこの事件については描くかもしれないので、もし良かったら予習しておいて下さい。

ヒュームさんとルソーさん、それぞれ大切にしている物が
違っていて話がかみ合わないみたいで、読んでてどちらも気の毒だわ。

でも…何か女子中高生の仲良しグループ内での突然のケンカに似てるみたいだよ…。



波乱の親睦会(12/13) 反・整理整頓派

2008年10月11日 14時50分47秒 | 第10話/波乱の親睦会

整理整頓ができているからっていいとは限りませんよ!全く。
作者なんてさー、
整理整頓した後に限って、探し物があると見つからなかったりするんですからねッ!

 それから作者、思考はもちろんの事、机の上と引き出し中の整理整頓も必要な理数系の仕事に現在従事しています。
世間からは頭脳明晰で根気強いと褒め称えられられ、
特にお嬢様やオバ様方からはクールと羨ましがられますが、
そういう世界に馴染んで行くほど絵がヘタクソになって行くのを感じています。

 作者の考える所の上手い絵とは、感性の赴くままに描き、
見る人がほっこりと癒される絵なのでした。
正確に写し取って感心される絵じゃねぇッ!

 極端な話、木管楽器の連結キーが正確に描けてNHK交響楽団員に褒められる絵よりも、
穴しか開いてない、構え方も左右逆でフルート吹いている天使の絵の方が
作者にとっては賞賛の的なんだいってのッ!


ゴスヲタオヤジのヤツ、仮にハリソンがシャンディだとしても、
絶対胸ぐら掴んだりはできないと分っていてやってんだな。
全く意地ワリィヤツだぜ。

先々週のヒュームさんとルソーさんのいきさつからすると、
もしハリソンさんがシャンディさんだとしたら、
ウォルポールさんから全欧や、米・その他植民地にも噂が広まってしまう可能性がある
って事よね。

そうなるとハリソンも平穏には暮らせなくなるかもしれんな。
ウォルポール殿の冗談文のために、ルソー氏の平和がかき乱され狂気が高まったように。

ウォルポールさん、でもお金持ちの人達の集まる世界では、
頭が良くて楽しくてお洒落でカッコイイ人って思われているみたいよね。
ハリソンさんの甥っ子のジョージさんも憧れて尊敬しているっていう事だし。

フランス貴族のババァ・娘と親子ドンブリしていたみたいだしな。
こういうヤツが大スキな女もいるんだよな。
元祖ゴスロリ服着てるポートレイトに萌えるヤツも多分いるんだろうぜ!

でも、前にすっごく流行ったジェイン・オースティン物の海外ドラマや映画では、
こういうタイプの人ってたいてい最後は罰を受ける物なのよ。

こういう御仁が真に恐れている事は何なのだろうか、
― それこそが罰という事じゃな…恐らく。



ランズバーグ夫人が再び登場。
彼女はハリソンさんの味方なんでしょうか、
それとも萌友のウォルポールさんとグルなんでしょうか?
明日は第10話最終回。




波乱の親睦会(11/13) 英国でも哲学小説はすでに出てるでしょ?

2008年10月05日 12時29分41秒 | 第10話/波乱の親睦会

「トリストラム・シャンディ」では小説の冒頭で、ジョン・ロックさん(1632-1704)が
「人間悟性論」または「人間知性論」と日本では呼ばれている書物の中で説く、
「観念連合」の作用によって主人公の不幸な一生が確定してしまったというエピソードがあったり、
全編いたる所での内容の言及、構成に影響を及ぼしているらしいという事が読み取れると言われています。

 「トリストラム・シャンディ」にある例題があまりに分りやすいので、
ロックさんの「人間知性論」抄訳も「世界の名著第32巻」で以前に一応全部読んでみましたが、
抽象的で難しかったという印象意外、現在は頭の中にはほとんど何も残っていません…。
ヒュームさんの「人性論」抄訳も同時収録されていましたので読みましたが、
作者にとってはやっぱりとっても難しい内容なのでした。

 …ただヒュームさんの因果や原因と結果についての考え方は、作者の生活にも良い影響を与えていて、
作者、「ある事があった後」、「ある物を見た後」は悪い事が起きると自分の経験の積み重ねから信じ込んでいました。
その個人的経験の積み重ねから信じ込んでいるだけなのだと、ヒュームさんの考えを知って気付いた事により、
悪い事が起こらなくなったというよりも、「何か」と関連付けて悪い事が起こったと思う事をやめた事によって、
無用の心配に怯える時間が無くなり、怯える事で悪い事をかえって引き寄せてしまうという事が無くなったのでした。


 ヒューム殿、モデルになった歴史上の実在の人物は、
「英語で書かれた書物の中で、ここの所30年で書かれた書物の中では最高。」
と言っているらしいのじゃ。

じゃあ、他の国の言葉で書かれた本も合わせては何番なのかしらね?

占いで何色の服を着たらいい事があるとかラッキー・アイテムとかいうのも、
関係ないといったら関係ないもんね~。

占いを信じる事で内容が意識から無意識に入り込んで固定されて、
いつの間にか勝手にシナリオつーかプログラミングつーかまで出来上がってしまっていて、
いい事も悪い事も自分で引き寄せてしまってる事
ってあるよな。

TVドラマのベタ展開も、ドラマを見て来た経験の積み重ねによって、
こうなると思い込んでいる事を表現している
だけなのかもね。
何かが落ちたりすると、今ここにはいない離れた場所にいる親しい人に不幸が訪れたとかね…。

マンガとか映画とかもね。
そん中で、主人公が女を口説いたように自分もしたら上手く行くとか思って真似して玉砕したとかね。

私も、こういう時は彼氏やダンナがドラマみたいに答えてくれると思い込んでて失望した事が山ほどあったわ…。

戦争物や格闘物や難病物や主人公がどうしょうもない悪人で、死亡フラグが出ていながら、
該当人物が生き残って、しかも感動ファイナルな話
って誰か書けるのかな?



何度か書いていますが、ウォルポールさん、
ハリソンさんが大人しい顔して実は過激なシャンディ氏なのだと、
豊富な社交生活から得た経験からか、あくまでもオカン譲りのカンからなのかが不明なのですが、
もーガッツリ訂正不能状態で思い込んでいます。
来週は、もし当っているのならば、かなりドキツイ批評をハリソンさんの前で堂々と言い放つのでした。

〈次回の更新予定は10月11・12日〉


波乱の親睦会(10/13) 底意地の悪い質問

2008年10月04日 18時48分07秒 | 第10話/波乱の親睦会

現代の人達は、例え日常を遠く離れたファンタジー物であっても、
その中で魔法使いや妖精や妖怪などが活躍したり、どんなに奇怪な出来事が起こったとしても、
登場する人間達が人間らしく振舞い、語っている事に何も疑問を感じません。

 でも、ウォルポールさんがゴシック小説の元祖「オトラントの城」の第2版の序文で、
「古いロマンスの世界では全部が想像力にまかせて書かれていて、
ヒーローやヒロインの活動・感情・会話が不自然極まりない。」
なんて書いているくらいなので、昔はきっと違っていたのでしょうな~。

 ウォルポールさんの言う事を信じて、「アーサー王」系列の話と
「シャルル大帝と12勇士」系列の中世騎士道物語辺りを読んでってみると、
全編に渡ってヘンな所や突っ込み所が満載なのかもしれません。

 今の所、作者の頭に浮かぶアリアリと不自然な所といえば、
「ローランの歌」でローラン(オルランド)のロンスヴォーでの戦死を知った
婚約者のオード姫がいきなり絶命する場面と、
「トリストラムとイズールト」でトリストラム・ド・ライオネスの戦死を知った
イズールトがやはりトリストラムの遺骸の傍らでいきなり絶命する場面です。
いずれも死因は「ロミオとジュリエット」のヒロインのように自殺したのではないのでした。

 ウォルポールさん、「新しいロマンスでは、日常の自然を写し取ろうと躍起になったあまり、
空想力がせき止められてしまっている。」とも言っていて、新旧のロマンスを融合させて、
面白い一方で登場人物には例え異常な事態の真っ只中であろうとも、
フツーの人ならこうふるまうだろうとフツーの人が想像して納得できるような
ふるまいをさせようじゃないかと試みたとの事でした。


哲学小説といったら確か前に「ソフィーの世界」って本があったよな?
分厚すぎたから読む前にどっと疲れて中止した記憶がある。

その本すごく有名だったわよね。私も読んでいないけど。
ハリソンさんの提案もいいけど、なるべく短めにした方がよりいいって事ね。
今時の哲学者さんが書くんなら、星新一さんのショートショート感覚ででも書いて欲しい所だわ。

ドゥニ・ディドロ(1713-84)は「運命論者ジャック」を書いているが、
お終いの方にトリストラム・シャディのパクリ疑惑を書いている。
推定創作年代が1770~78年で、シャンディの該当箇所は、
1765年出版の8巻の中にあるので、どー見ても冗談
なのじゃが。

ひょっとしてヴォルテールさんの「カンディード」って、
前に宮元亜門さんが演出したミュージカルの原作なんじゃないの?

さよう、音楽の作曲者は有名な「ウェストサイドストーリー」の
レナード・バーンスタインじゃ。

「ウェストサイド―」の原作は「ロミジュリ」よね。

ウォルポールさん、ハリソンさんの事いぢめてるのかな~?


作者はミュージカルといったら、「ラ・マンチャの男」(原作はセルヴァンテスの「ドン・キホーテ」)がいいですな~。
東京の帝国劇場で、2005年に松たか子さんがアルドンサ(ドルシネーア姫)の役を演じているのを鑑賞しましたが、
実は歌が相当上手いって事が分ってびっくり仰天しました。
今日の続きは明日。



波乱の親睦会(9/13) 嵐の大喧嘩スペシャル予報

2008年09月28日 22時12分07秒 | 第10話/波乱の親睦会

第9話でジャン・ジャック・ルソーさんが、
「ヌーヴェル・エロイーズ」の大ヒットから一転、
「エミール」と「社会契約論」のためにお尋ね者になってしまった事を書きましたが、
そんなルソーさんの不幸を救おうと懸命になった人がいたのです。
ディヴィッド・ヒュームさんでした。

 ヒュームさん、1762年に文通相手のブフレル伯爵夫人から
ルソーさんを助けてほしいと頼まれて引き受けます。
この物語の今話の日、1765年10月22日(火)に、
ヒュームさんは会場に出かける前に、英国行きの計画を書いた手紙を
ルソーさんへと送っているという設定です。

 ウォルポールさん、66年の1月にヒュームさんがルソーさんを連れて英国に帰ると、
「プロシア王よりルソー氏に呈す」という自作の冗談文を公表しました。
フランス人のエルヴェシウスさんやニヴェルネ公爵が
フランス語の間違いを直したり加筆したりした物がバカ受けして、
パリのサロンやらウォルポールさんの知人友人の間から
ヨーロッパ中に広まってしまいました。

 やがてその存在がルソーさんの知る所となり、
追跡恐怖症などの精神障害に陥っていたルソーさんは、
宿敵のヴォルテールさんが書いた嫌がらせではないかと疑いました。
そしてその文章が英国の新聞に掲載されるに至ってはルソーさん、
ヒュームさんもその一味とみなして宣戦布告、遂には一大騒動へと発展してしまうのでした。


ゴスヲタオヤジ、やってる事ギザガキっぽくね~?
スクールボーイかよ?!

 ホントに、お嫁さんや子供がいればこんな事してる場合じゃなかったでしょうにね!

ヒューム殿、自分がエディンバラ大学とグラスゴー大学の教授に、
宗教上の理由からなれなかった事を言ってるんじゃろうな。

ルソーさんって、まじめ過ぎだから…。

いろいろ才能があるってけどさ、お笑い芸人的センスはなさそだに。

確かに北野武さん的センスや…あとは「タンスにゴン」の松田聖子さん・沢口靖子さん的
センスもないわね~。



ウォルポールさんのこういった攻撃性が、やがてハリソンさんへと向かうのですが、
ハリソンさんの心の中では、ルソー氏VSヒューム氏のバトルの一件が、
ウォルポールさんへの憎しみの火に注ぐ油となる事でしょう。

〈次回の更新予定は10月4・5日〉


波乱の親睦会(8/13) 哲学小説プリーズ

2008年09月27日 21時51分24秒 | 第10話/波乱の親睦会

ヒュームさん、若い頃から哲学者か文筆家になる事を志し、
「人性論」または「人間本性論」と日本では呼ばれているタイトルの哲学書または社会科学の書を、
1739年1月~40年11月にかけて3巻の形で出版しましたが、
ギョーカイからシカトされてしまいました。

 ヒュームさん自身が死から4ヶ月前の1776年4月に書いた「わが生涯」という、
8ページほどの短い自伝の中で、「印刷機から死産した」とまで言うくらい、
「人性論」は大コケしてしまった
のでした。

 1741年に「道徳・政治論集」というエッセイの形式で書かれた本を出版し、
これは好評でした。

 1751年に「人性論」の第3巻を書き直して「道徳原理探求」というタイトルで出版、52年には「政治・経済論集」を出版します。
「政治・経済論集」は評判が高く、海外でも翻訳されて、
ヒュームさんの文筆家としての名がヨーロッパ諸国の人々にも知られるようになりました。

 1754年に「英国史」を出版し、1761年に全6巻が出揃います。
最初は不評でしたが、やがて大傑作の歴史書とされ、
ヒュームさんは世間から哲学者というよりも歴史家として高い評価を受けるようになってしまったのでした。


あるんじゃよな~。一生懸命情熱を注いだ物事に限って評価が低いという
…今を生きている人々でも、歴史上の人物でもそういった哀しい事が…。
…わしの人生でも何度そんな事があったか ― 。

 私にも何度もそんな事がありましたわ。フィレモン様。
学生時代にも、OL時代にも、結婚相手を探す時にも、子育ての時にも…それぞれ。
反対にTVを見てて、歌手がイヤイヤふて腐れてレコーディングした曲に限って
大ヒットしたりする事もある
って、「歌謡曲の名曲秘話」みたいな番組で知ったりして
…本当に人生って皮肉だわ。

デビュー時に鳴り物入りで大宣伝したアイドル候補に限って売れなかったりとかするよな。

 TVドラマも原作が人気で、出演俳優も意気込んでいるからって、
必ずしも視聴率が高くない物も出て来ているし。

最近では「ハチミツとクローバー」とか「恋空」って所?




麻生太郎新総理大臣、尊敬するのはウォルポール英国初代首相なんて
おっしゃっているようですが、大丈夫なんでしょうか?
総理の今後の働き様によっては、「名言」にも「失言」にもなる可能性があるんぢゃ…。

 明日はウォルポール初代首相の息子さんがジャン・ジャック・ルソーさんに
陰謀を企み、半年後のヒュームさんが大・大・大ピーンチ!






波乱の親睦会(7/13) 痩せた作家とおデブな哲学者

2008年09月21日 10時39分31秒 | 第10話/波乱の親睦会

この物語は基本的にはフィクションです。
史実と創作がごっちゃになっていますのでご注意下さい。 

 いつも難しい事を考えて、難しい言い回しをしているがために、
「哲学者の人はみんな痩せているのでは?」と想像してしまいます。
確かにソクラテスさん(前469-前399)やジョン・ロックさん(1632-1704)は痩せているのですが、
ヒュームさんはもーとってもとっても太っていました。

 ハリソンさんが前にウォルポールさんと会った時(第8話/「標的」)、
漫画の中には描かれていませんが、ヒュームさんについての話題が出て、
ウォルポールさんは友人同士だから紹介してあげるとハリソンさんに
約束していたのでした。


俺、中島義道の学術的じゃない本とかは時々読んで、
分るよーな気がしたりはすんけど、
ゴスヲタオヤジのお友達のメタボ哲学者が書いたっていう「人性論」を読んでみようとしても、
言ってる事が全然分んなくて前へと進めねー。

わたしもー。用語の説明の段階で分んなくなるー。

私も眠ってしまうわね。
ヒュームさん、20歳から太り始めたんですって。
それまでは背が高くて神経質だったらしいわ。


じゃ、今のハリソンさんと似ていたのかしら?

俺、ゴスヲタオヤジが善人なのか、悪人なのかも分かんなくなって来たぜ。

わしの予想では、ハリソンの「提案」とやらは、
残念ながら空回りに終わりそうじゃの…。



次週は、ハリソンさんの提案に対する、ヒュームさんの反応。
ウォルポールさんがルソー氏に対して思っている印象について。

〈次回の更新は9月27・28日の予定〉


波乱の親睦会(6/13) 高齢独身者の希望の星

2008年09月20日 19時03分15秒 | 第10話/波乱の親睦会
1714年に英国のアン女王(1665-1714)が亡くなり、
女王の曽祖父ジェームズ1世(1566-1625)の娘の子孫である、ジョージ1世(1660-1727)が新国王となりました。
王は生まれも育ちもドイツのハノーヴァーだったという【個人的理由】のために英語ができませんでした。
…というのも、使用人のグレート・ヘンデルどん(1685-1759)は英語ができて、
「ハレルヤ」「その天界の合奏を」などの英国人が作った英語の歌詞へも素晴らしい曲を付けられたのですが…。

 ドイツから連れて来た側近も宮中・議会から不評で嫌気がさし、
遂に王は1718年以降は閣議にも出席しなくなりました。
英国は流血と無血の2つの革命後、王位継承法から嫌々王座に就いた外国人国王の怠慢によって、
責任内閣制が必要に迫られた形で発達して行ったのでした。

 そのチャンスを上手く掴んで、ウォルポールさんのお父上ロバートさんは、
1721~42年までの21年間も英国の首相を勤めました。
42年の総選挙で敗退して政界を引退、伯爵の位を授かり、
四男のホレイス・ウォルポールさんは、もうジイ様になった頃に爵位を継ぐ事になるのでした。


 21年も首相なんてすごい事じゃ!
日本じゃここんとこ2年で、1年ももたなかった首相が2人もいるんだから。

作者さん…タイトルから何が言いたいのかしら?

決まってる、ワシもこんなゴスヲタオヤジみたいな生活がしてみたい。
…俺だって正直したいぜ!

ハリソンさんは…ショボい独身生活へリターンしただけって感じだから、
「独身者全ての年代の希望の星」じゃないと思う。


ウォルポールさんの生活ぶりに対して誰も何もイチャモン付けたり、
「大きなお世話」を焼こーとしたりはしなかったんでしょーか?
今日の続きは明日。

波乱の親睦会(5/13) 18世紀の貴腐人彼女?

2008年09月15日 11時21分30秒 | 第10話/波乱の親睦会

 漫画の中では描かれていませんが、
ジョージ・ブリングストン伯爵の妹、レディ・アンはこの会場で、
お婿さん候補の男性とお見合いする事になっています。
その人はウォルポールさんの親戚筋なのでした。

 
前にどこかで、ブリングストン伯爵と奥さんは公武合体ならぬ
「公商合体の政略結婚だった」って書いてあったけど、この2人も本当に仲良しサンみたいね。

ホガースという当時の画家が描いた「当世風結婚」というタイトルの連作版画がある。
伯爵家に嫁いだ商家の娘が日々の退屈さから弁護士と不倫をし、
夫を恋人に殺され、恋人は死刑になり、
自身は服毒自殺したという悲惨な内容なのじゃが、
ブリングストン夫妻にはそんな世界は無縁のようじゃな。

ハリソンさんとランズバーグさんも「バツイチ同士」で
上手く行きそうって感じなのかしら?

ランズバーグ夫人は、ゴスヲタオヤジと萌仲間だって、
登場人物紹介にあるから、女オタクなんだ!

何のオタクなのかしら、やっぱり「中世好き」って事?

でも、ヒュームさんとも萌仲間ってあったよ。

彼女、オタクっていうより、いろいろとお勉強好きなのね。きっと。


次週はウォルポールさんの再登場と、ハリソンさん&ヒューム氏との
出会い。

〈次回の更新は9月20・21日の予定〉


波乱の親睦会(4/13) ウォルポールさんを探せ! 

2008年09月14日 09時46分30秒 | 第10話/波乱の親睦会

10年くらい前に、「ウォーリーを探せ」という絵本がありましたが、
今日の絵を見ていて突然思い出し、タイトルを付けました。
パリ郊外にある貴族の別荘の敷地を借りての園遊会という設定ですが、
会場内にはウォルポールさんがヒュームさんとつるんで歩いています。
いったいどこにいるのでしょ~か?


ハリソンら一行は手前にいるからすぐ分かるがの。

生垣のくぐる部分ってどうなってるのかしら?

「トピアリー」って事にしといて下さいだってさ!

ウォルポールさんがどこにいるのか、わたしには分からない…。

全くもー。もう酒盛りしている人達がいるじゃないの!
「ベルばら」や「令嬢テレジア」のパーティー・シーンとは大違いだわ。 

またまた…ゼンゼン優雅じゃなさそうな…予感。

ところで昨日の話の続きなんだけどさ。
セーラー服も19世紀半ばの英国海軍の制服が先祖だってぜ。

ふーん。それで最終的にはセーラームーンの戦闘服になったって訳ね?
娘が好きだったわ~。



お二方は見つかりましたでしょうか?
明日は一行がそれぞれお目当ての仲間の所へと散って行きます。






波乱の親睦会(3/13) キ・ョ・ウ・カ・ン・できますか…?

2008年09月13日 18時09分34秒 | 第10話/波乱の親睦会

ハリソンさんとランズバーグ夫人、これから向かう親睦会会場では、
さらに親しくなって行きます。人付き合いが苦手という事が共通だからといって、
必ずしも仲良くなれると言う訳ではないので、
他にも何か共通点があるのでしょうな。


 「三つ揃え」ってなーに?

ハリソンの場合は上着とベストとズボンの事じゃ。
現代ではスーツの上下とベストじゃ。
スーツの先祖は17世紀西洋の軍服なのだそうな。
上着の裾が縮まり、首に巻くスカーフがカラフルなネクタイに進化して、
サラリーマンの服装となったのじゃ。

そういえば、「企業戦士」とか言うものね。

俺はスーツとはゼンゼン縁のない仕事してるけどなっ!
スーツ着ている男だけが社会で戦ってんじゃないぞーーーっ!!!
事務所へと行く用があって、
見てりゃ総務部長が暇ぶっこいて スパイダーソリティアしていやがった。
役職者なら一般社員より怠けてんじゃねぇよ!

ホント。課長さんよりパートのオバちゃんの私の方が、
重い物も持ってよっぽと忙しく働いてるのにどうして?

― って思う事がよくあるわ。

このままじゃ、「明治維新」と「第二次世界大戦敗北」に次ぐ
 大革命の嵐が平成のニッポンで吹き荒れちまうぜ!

総理大臣さんもついに疲れて辞めちゃったしね。
 「篤姫」が大ヒットしているのも革命前夜の時代だからなのかしら?
フランス革命が舞台の「令嬢テレジア」もお姐さんやオバサンの間で人気あるしね。


まあ~、4方はスーツのお話から社会問題の話へと発展してしまったようですな。
今日の続きは明日。





 

波乱の親睦会(2/13) 運命の女神の気まぐれに…

2008年09月07日 10時47分01秒 | 第10話/波乱の親睦会

忍冬(植物の名・ニンドウ=ハニーサックル)の君と呼ばれるランズバーグ夫人。
それなりに美しい人なのですが、御髪(おぐし)の型が似ている「ベルサイユのばら」のマリー・アントワネット様を
見た後で彼女を見たとしたら、恐らく美人には見えないでしょうな~。


 「御髪」という言葉で気が付いたけど、この第10話のタイトルって、
NHK大河ドラマ「篤姫」の「波乱の花見」のモジリなんじゃないの?

「御髪」ってなーに?

 髪の毛の事よ。
確か先々週くらいの放送分で、主人公の篤姫が、
将軍様の奥さんになった皇族のお姫様に意見したんだけど、
お姫様の御付で「おすべらかし」してる庭田さんに咎められそうになった時に、
「御髪がステキです事!」と言って躱(か)わしてしまったという
エピソードがあったの!

フランス王后陛下もランズバーグ殿も「洋風おすべらかし」
といった所かの~?

OH奥じゃあ、「おまた返し」とか「ちょんぼりづと」とか「椎茸」
とかいう髪型もあったらしい。ヘンというかちょっとアブナイ名前だぜ!

 「波乱の花見」でも「『波乱』っていう程の事はなかったんじゃないの?」
― って感想を持った人が結構いるらしいわ。
こっちの第10話だって、もしかしたらタイトルを大げさにしているだけかもよ。



来週は親睦会会場に到着。

次回の更新は9月13・14日の予定。

波乱の親睦会(1/13) それでも貴族の一家ですから…

2008年09月06日 17時44分01秒 | 第10話/波乱の親睦会

  ハリソンさんの亡くなった奥さんの妹が玉の輿に乗ったブリングストン伯爵家は、
1760年に即位した現英国王ジョージ3世(1738-1820)のお気に入りの選から漏れてしまい、
そんなに大した力のある家ではなくなってしまいましたが、
それでも貴族の体裁は整えてのお出かけなのでした。


これ、マルセルさんでしょ?
前にハリソンさんが似顔絵描いていた時の絵と同じ髪型しているもの!

ハリソンさんが描いた絵ではキリッとしていてカッコイイって感じだったけど、
何か実際にはただただカワイイって感じよね。

今話では、ゴスヲタオヤジが復活と、それからお友達のメタボ哲学者
出て来るってさ。

ウォルポールさんは、容姿端麗のチョイ悪オジ様だからいいけど、
哲学者さんは難しい事言いそうで、眠くなりそーだな~。

私も哲学の話をされたら、きっと眠っちゃうわね。

作者も哲学者殿の本を読んで、「睡眠障害を克服した。」
と言っておったわい。


作者の使用方法を、哲学者の方々が読んだら衝撃を受けるでしょうか?
それとも想定内の事なんでしょうか?
明日はハリソンさんとランズバーグ夫人の馬車内での会話。







第10話 登場人物紹介

2008年09月01日 07時21分10秒 | 第10話/波乱の親睦会

第10話/波乱の親睦会 予告編

2008年09月01日 07時20分45秒 | 第10話/波乱の親睦会

 現在、心理学や精神・神経医学はジャンルとして確立していますが、
18世紀の頃にはまだ宗教や哲学や芸術などとはっきり枝分かれしていませんでした。

 ディヴィッド・ヒューム氏(1711-1776)は、スコットランドのエディンバラ出身の哲学者。
晩年は歴史書や時事評論も書いて、ヨーロッパ諸国でも有名になりました。
英国政府の外務次官を勤めたりもしています。

 1765年には、7月から新大使のリッチモンド公爵が
到着する10月までの間、パリで大使代理を勤めていました。
そして、罪人として追われているルソー氏を助けようと
活動していたのでした。

 ハリソンさんは、甥夫婦&姪っ子&ランズバーグ夫人と共に、
新大使主催のパリ在住英国人の親睦会へと出かけます。
そこへは社交好きのウォルポール氏も当然出席していて、
ハリソンさんへと意地悪な質問を投げかけます。

 ハリソンさんはランズバーグ夫人と行きの馬車の中で、
お互い親しみを持ちますが、ランズバーグ夫人はウォルポール氏と
萌友だったのでした。