漫画/ハリソンさんはカノ紳士 Mr.Harrison is THE GENTLEMAN ― フランス通過編 ―(前半)

18世紀欧州が舞台の歴史ロマン。アヴィニヨンの薬屋小町クレールとハリソン&マルセル主従との運命の出会い。

読んでくれ~買ってくれ~と叫ぶ本

2010年02月28日 12時14分03秒 | 第15話/トリシャン・コード

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *



 え~、フレディ君が探していた2冊の中で、
フランソワ・ダレルのノストラダムス研究書というのは、架空の書です。
「 ノストラダムスの大予言 」
で、一世を風靡した五嶋勉さんの創作だと、
SF作家の山本弘さんが、 「 トンデモノストラダムス本の世界 」 で書いていました。

 「 パンタグリュエル占い 」 は、実在する書物で、
ラブレーさんが、偽名を使って書いて、
自作の 「 ガルガンチュワとパンタグリュエル物語 」 の付録にしてたようですな~。
内容は、「 1冊あれば毎年使える、お得な占い暦 」 だったようです。

日本で毎年秋くらいから売り出す、
占い暦もよく見るとそうだよね~?!
毎年おんなじような事書いてあるって感じだしさ~っ!!

 ともかくも、 「 ノストラダムスの大予言 」 と 「 占い暦 」 には
散々騙されて来たわい!

 若くて人間的に未熟だったから、
占いとか権威とか… and 人の話全般に乗せられやすかったんだけど。
もう、そうはさせないぞっ!

 1998年の晩秋にフランスへと行った時、
ついでに書店へも行って調べてみたけど、
本場のはずなのに、日本みたいにコーナーを設けたりとかなんては…
ともかく全然盛り上がって無かったぞっ!

 ローレンス・スターン聖下作の 「 センティメンタル・ジャーニィ 」
フランス語版をいろんな本屋で探しても探しても見つからなかったのに、
一見ありそうもない雰囲気だった、地方の小っちゃな本屋さんの店先で、
「 ノストラダムスの予言書 」 と一緒に見付けたのでした。
しかも隣同士に置いてあったんです。

 …この場合は、ウォルポールさん的っていうか、セレンディピティなのかな?

 こういう不思議な方法での本とのめぐり合いもあるのですが、
フレディ君が言ってるように、
書店や図書館で、本自体が凄い売り込みをしている
という出会い方
もあるのでした。

 同じく、スターン聖下作の 「 トリストラム・シャンディ 」 の方が、
そのいい例だったのでした ― 。


 〈 次回の更新は、3月6 ( 土 ) ・ 7 ( 日 ) 日の予定。 〉

 
 

とびっきり身分の低い又従弟

2010年02月27日 13時41分39秒 | 第15話/トリシャン・コード

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *



 え~、ウォルポールさんのモデルになった歴史上実在の
人物さんですが、若い頃はちっくら小栗旬さん似でした。
でも、イートン校版F4では、花沢類さんとは役割が違っていたようです。

 先々週、ウォルポールさんがある企業の
イメキャラやってると書きましたが、
又従弟のフレディ君が勤めているブラウン商会でなのでした。

 フレディ君ママのマライアさんは、
ウォルポールさんママのキャサリンさんと従姉妹同士だったのですが、
良縁を蹴って、ボンビー将校との駆け落ち事件を起こし、
結婚は渋々認められたものの、一族追放となり、
長い事行方不明となっていたのでした。

 でもある時、とある雑誌記者の計らいで、
フレディ君と共に従姉の息子、ウォルポールさんと出会え、
後ろ盾にさえもなってもらえたのでした。

 ただし、ウォルポールさんの一番上のお兄さんの子、
オーフォード伯爵ジョージさんは、
錚々 ( そうそう ) たる一族メンバーの中で、
とびっきり身分の低いハモンド一家が、
叔父と関わるのを苦々しく思っているのでした―。

 
 今日の続きは明日。

愛読者の切ない片想いの始まり…

2010年02月21日 20時06分54秒 | 第15話/トリシャン・コード

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *



 そして舞台は、ブラウン商会リヨン支店に勤務している、
フレディ・ハモンド氏の応接室へと移ります。

 えーと、これって観光漫画ではないので、
リヨン市の名所案内は、ズッパリとカットさせていただきます。


 And,…ガッチガチの歴史漫画でもないので、

 ホリー・ウォルポールさんを筆頭に、
歴史上の実在の人物と同名の人物も何人か出て来ますが、
前にも書いたように、実在の人物の経歴や性格、
容姿、嗜好などをモデルに創作した人物と
して
お楽しみ下さい。

 歴史上で実際に起こった事件も出ていますが、
それも含めて、全体をフィクションとしてお楽しみ下さい。

どーしても正確な史実が気になるようでしたら、
こちらでも参考資料を提示する事もありますが、
基本的にはご自分で調べてみて下さい。

 今まで、 「 トリストラム・シャンディ 」 の読者達が何人か出て来ましたが、
それぞれの方々に人生のテーマがあって、
それが 「 トリシャン 」 と絡み、
最後はひとっ所にみんなが合流してグランド・フィナーレを迎えるという、
心理大河ロマンとなる予定なんですが―。

 他の方々のテーマは、
これから後に、それぞれがメインになる話が来た時に書くとして、
本ページから登場する新キャラ、フレディ君のテーマはというと、

 いろんな意味での切ない片想い

― と、いった所でしょうか…。


 次回の更新は、2月27 ( 土 )・28日 ( 日 ) の予定。


 

お好きなように…

2010年02月20日 16時14分09秒 | 第15話/トリシャン・コード

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *



 前ページにある、パリッシー焼についてですが、
16世紀フランスの悲劇の陶工、
ベルナール・パリッシー ( 1510頃-90 ) さんが製作した、
田舎風器物と呼ばれる焼き物の事です。

 完全な物は、大皿に爬虫類や両生類や昆虫などが、
本物そっくりの立体で、ウジャウジャのてんこ盛りになってるんで、
作者が書かなかったがために、
自分で調べてしまい、すでにショックを受けてしまってる
お姫様&お嬢様方とかが
いたらごめんなさいよ~!!

 本ページ2コマ目にある、

「 望む所を成せ 」

というのは、やはり16世紀のフランスで活躍した、
フランソワ・ラブレー ( 1494-1553 ) さんが書いた、
「 ガルガンチュワ物語 」 第57章にあります。
でもって、この作品については、
アーカード卿という人が17世紀に訳した
英訳本があったんです。

 テレーム修道院という所の唯一の規則なのですが、
ここには生まれが良く、教養があって、
かつ心映えも優れた少年男女が集められていて、
そういった人達は、
悪を退け善い行いをしたいという本能と衝動を持っているので
集いの和が保たれているとの事でした。

 それをウォルポールさんは、
文面こそ同じだけれども別の意味を込めて、
元々の使われ方に対しては、
ドギツイ皮肉さえも込めて使っているようです。

 それからハリソンさんに対しては、

「 割れものだから気を付けてね。 」

― と、いう注意を促すために中味を見せたんだよ。
― と、見せかけて、
蓋の裏側の文字も絶対にわざと見せていますな!


 今日の続きは明日。

次ページからはまたモノクロページに戻ります。

 


 

紳士服を着た悪魔

2010年02月14日 21時41分22秒 | 第15話/トリシャン・コード

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *



 But , ウォルポールさんが着ているのは、
「 プラダ 」 ではありません。創始者がまだ全然生まれていませんから ― 。
9月にパリに来てから、市内のどっかの仕立屋でのオーダーメイドなんでしょうが…。

 実は、ウォルポールさん、「 出たがり文化人のハシリ 」 だけあって、
英国の某服飾メーカーのイメキャラやっちゃってます。
そして、そこでの企画&人事権にもかなりの影響力を持っていて、
いずれ、ハリソンさんをジレンマに陥らせる事となります。

 それから、ウォルポールさん、自分が軽い気持ちで始めた事が、
後でトンデモナイ大騒動を引き起こしてしまうというのを
繰り返してしまう人です。

 第3部の 「 英国編 」 では、第10話でもふれた、
ルソーさん VS. ヒュームさんの大ゲンカを引き起こす原因を作ってしまうし、
漫画の中では描かれないでしょうが、
もっと後には、ある天才少年を服毒自殺へと追い込んでしまうのでした。

 ウォルポールさんも魔紳士ですが、
ハリソンさんも、もしもウォルポールさんのカンが当たっているのなら、
相当の魔紳士ってな訳なので、
この対決、どう決着するのでしょうか ― ?!

 〈 次回の更新は、2月20日 ( 土 ) の予定。 〉




私は、癒されもほだされもしない…

2010年02月06日 18時30分18秒 | 第15話/トリシャン・コード

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *



 And…今回は、
本物語に今まで無かったような、
陰惨な妄想の衝撃シーンになってしまいましたが、
本当は相当なセンチメンタリストのウォルポールさん、
もし、こういうシーンに本当に出くわしたら、
平気で、何もせずにいられるんでしょうか?

 もし、2コマ目で
「 私はそんなんじゃありません…私は本当はコレコレな男なんです。 」
― とか、泣きそうな顔しちゃって、
本当の心の中を、御方様に話してしまおうとした場合、
御方様の、 「 あら、どうして? 」
― とかいうセリフを導き出してしまい、
別方向のトンデモナイ方へと
話が行ってしまう所だったんですが ― 。

 まあ、ここはさすが、本物語のクール&ダンディ系の
筆頭人物らしく、よくぞ持ち堪えてくれましたな。

 芝居がかった馬鹿っ丁寧な物腰。
御方様に決して恥はかかせないように、
かつ縁がキッパリとは切れないように、
でも、心身の距離は取れるようにと、
まるで、日本の武士階級の子供が親に接する時のような言い回しで、
話をすっかりすり替えてしまい、
本心は決して見せないで済ませているのでした ― 。


 〈 次回の更新予定は、出来次第です。 〉