漫画/ハリソンさんはカノ紳士 Mr.Harrison is THE GENTLEMAN ― フランス通過編 ―(前半)

18世紀欧州が舞台の歴史ロマン。アヴィニヨンの薬屋小町クレールとハリソン&マルセル主従との運命の出会い。

アバウト・ザ・ジェントルマン(6/10) 結局「得賞歌」はトリストラム・シャンディ様のために流れ

2008年01月27日 12時44分04秒 | 弟7話/アバウト・ザ・ジェントルマン

 「予告編おまけ」で書きましたが、本ページが

CAUTION(警告)

に該当します。

本ページの内容については、完全なフィクションで、史実にはない内容です。
新進作家の天才青年が、主要キャラとして実際に登場するのは、第13話以降になります。


 設定としては、1757年暮れ~58年初め当時、地方新聞記者だったハリソンさんは、
あるスキャンダルを暴いた風刺作品を新聞に掲載しない見返りとして、
取引のある、ロンドンの某書店がシリーズ物企画した「英国古今演劇小説」
中のシェイクスピア作品を書く事を、新聞発行所のオーナーから
提案されます。

 シェイクスピア作品は3作品がシリーズの中に入る予定でした。
でも書店は選考時に、ハリソンさんの見本として提出した文章を読んで、
悲劇は他の人を募集してしまいました。
そして、そこへと天才青年が現われてしまったのです。

 天才青年の作品は、登場人物の名前は全員イタリア名に直し、
時代考証もかなり正確にしてありますが、台詞回しのあまりに芝居がかった所は
極力抑えて(当時流行しつつあった)自然な感じに直し、テンポも軽やかにして、
女性でも読みやすいような様々な工夫がしてあったので、
「シリーズ第1弾」中では、目論見通り女性読者も大勢獲得して、
他を大きく引き離し、ダントツの売れ行きだったのでした。

「ロメオ+ジューリア」だけで、
ハリソンさんの「夏の夜の夢」と「空騒ぎ」の2作を売ったのよりも、
さらに10倍は売れていました。


 でも、世の男性陣の反感も天才青年に対して、激しく燃え上がり、
そこへとさらに読書界のニュー・スター、トリストラム・シャンディ氏
遂に登場したのでした。

―で、天才青年の書いた、創作の話はどんなのかというと、
登場人物の名前こそ全員英国名ですが、
中味はほとんど「冬のソナタ」なのでした~。
貴婦人方の反応も、ほとんど「ヨン様ブーム」の時のオバ様方ぢゃ!


次週は、ハリソンさんが「トリシャン読者」に向かって、
「マスケット銃三段撃ち」をぶちかますような事を言うかもしれません。
〈次回の更新予定は2月2・3日〉
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「得賞歌」/ゲオルク・フリードリッヒ・ヘンデル(1685-1759)作曲

オラトリオ「マカベウスのユダ」の中の1曲。
スポーツ関係の表彰式等でかかる「あの曲」の事。
原作は合唱曲で、テンポが表彰式の曲よりずーっと速いです。

「夏の夜の夢」「空騒ぎ」「ロミオとジュリエット」
/ウィリアム・シェイクスピア(1564-1616)作

全部映画で見てしまいました。
(ついでに「恋におちたシェイクスピア」も見てしまいました~。)
唯一「夏の夜の夢」は、翻訳が父親の蔵書にあったので、
一緒に暮らしていた頃に借りて読みました。


以上の作品群は、収録CD・翻訳・映画DVD等が沢山あリ過ぎて書ききれません。







 


 


 



アバウト・ザ・ジェントルマン(5/10) 悲劇より喜劇の方がフツーは書くのが難しいんだよ!

2008年01月26日 16時57分17秒 | 弟7話/アバウト・ザ・ジェントルマン

 ハリソンさんは、サンジェルマンのカフェ・ブルトンに英語講師として雇われ、
上階で暮らしていた時に、マリアンヌに岡惚れ しちゃいまして、
恋愛小説大好き娘のマリアンヌの気を引こうとして、

 「君が僕の書いた本を読んでくれたら―と思います、マリアンヌ。
今、君が興味を持っている英語の勉強にもなると思うし、
君の好きな恋愛の話だしね。
僕にとっては、『英国の至宝』シェイクスピアを、
ささやかながらも―拙いながらと言った方がいいかもしれないけれど、
―海を越えた先の人へと紹介できる光栄に浴する事となるのだし、
何よりも僕の読者が一人増えてくれるのだからね。」


…とか何とか言っちゃってる手紙を添えて、マドモワゼル・ブルトンへと
(ロンドンの版元から送ってもらった在庫を自腹で)プレゼントしたのでした。

こらーっ!人の純情を笑い物にするんじゃありません。
ママンはあなたをそんな風に育てた覚えはありませんよ!


明日は、ハリソンさんからシェイクスピアの超有名&人気悲劇作品の
小説化の仕事を奪い、彗星の如く1759年の英国文壇に登場した天才青年作家の話。






アバウト・ザ・ジェントルマン(4/10) ハリソンさんったら、こんな事言っていますよォ!

2008年01月20日 12時22分14秒 | 弟7話/アバウト・ザ・ジェントルマン

 この物語内では、トリストラム・シャンディという人物が、
「紳士トリストラム・シャンデイの生涯と意見」という自伝を書いて、
1760年の英国で元旦に発表し、大ブレイク。
1765年現在、人気は以前ほどではないけれども、正体は以前と変わらず謎のまま
―という設定になっています。

 第7話終了後に、この話内の「裏主人公」トリストラム・シャンディ氏が書いたとされる、
「紳士トリストラム・シャンディの生涯と意見、ハリソンさんはカノ紳士version.
―を作者が10年以上昔に描いて、やっと日の目を見させられる(?)
リサイクル・コミックイラスト付きあらすじで、O型らしくいとも大雑把に再現 。
― どーでもいいけど、タイトル長杉!」
―をアップする予定でいます。

 基本的にはローレンス・スターンの話と同じですが、もしかしたら違う部分もあるかもしれません。
「ハリソンさんはversion.」では、シャンディ氏の名前の意味は、

「頭がイカれた、情けな系男子」

―という意味になっておりますので、そこん所を注意して、
よかったらこれからの話の展開を予想してみて下さい。

次週はハリソンさんの冴えない作家活動と、
シャンディ氏が「結果としてハリソンさんの溜飲を下げてくれた」
というエピソードが描かれます。
〈次回の更新予定は1月26・27日〉

 

アバウト・ザ・ジェントルマン(3/10) ハリソンさんのトリシャン愛憎の物語が幕を開く 

2008年01月19日 22時03分32秒 | 弟7話/アバウト・ザ・ジェントルマン

 今回から、ハリソンさんのトリストラム・シャンディ氏に対する感情が描かれて行きます。

 第4話でのハリソンさんの話からすると、あまり売れていないノヴェライズ作家のハリソンさんが、
5年ほど前に、英国で大ブレイクした人気作家シャンディ氏に対して、
「ネタミー&ウラミー」を持っているかのように見えます。

―まぁ、シャンディ氏のせいで、浮かび上がるチャンスを逃した物書きが、
当時大勢いたって事は、確実ですから。


 「作家は人生の不幸を逆転させられる職業」と言っていた人がいますが、
60年代の英国で、シャンディ氏一人がその幸運を独占 してしまったのです。
「これを恨まずにいられようかーっ!」
―と。

ところが、今回デュポン先生の前では、一転してシャンディ氏に対して「親しみ」や、
「感謝の心」すら持っているかのような話しっ振りとなります。


 あとは、デュポン先生について一つ弁護しておくと、
エロい本ばかり読んでいるかのような印象を与えかねないのですが、
「人気がある本だったので、話題に上り易かった。」
―という事にしておいて下さい。

 「パミラ」は、「18世紀版シンデレラ」みたいな感じで、
当時の特に女性読者に人気があって、エロい話というよりは、「玉の輿バイブル」
みたいな感覚で読まれていたのではないかな―という事でOK?
現代人目線では、どうも「セクハラ・ロマン」っちい感じなのですが。

ハリソンさんとデュポン先生、
明日は「シャンディ氏の名前がヘン!」だという事についての話をします。
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「トリストラム・シャンディ」/ローレンス・スターン(1713-68)作
先週出てきた、「ジョーゼフ・アンドルーズ」の訳者、朱牟田夏雄さん訳で、
筑摩世界文学大系と岩波文庫にあります。

八潮出版社刊/「トリストラム・シャンディ氏の生活と意見」
のタイトルで綱島窈さん訳もあります。

作者が知りたいのは、1760年の発表以来、
この本を読んで人生を狂わされ、(しかもその自覚症状が皆無のまま末期状態へ突入?)
―な男性読者が、世界中でいったい何人いるのか?
―という事です。
まだ読んでいない男性の方で、読みたい方はどうか、「自己責任」でお読み下さい。
―女性の場合は、ほとんど心配いらないようです。






アバウト・ザ・ジェントルマン(2/10) 確かに13歳では…末恐ろしいわな!

2008年01月13日 17時00分28秒 | 弟7話/アバウト・ザ・ジェントルマン

 デュポン先生、実は結婚は初婚で遅かったんです。
ハリソンさんが帰国した次の月に、病弱のために郊外住まいの豪農の親戚宅
(アンドレ・ブルトン氏のもう一人の弟の婿入り先)へと預けられていた、
ルイーズさんと結婚したんです。

ハリソンさんは、パリ滞在中にルイーズさんとは会った事がありません。
デュポン氏とルイーズさんの恋愛が進行中だった事も知りませんでした。
ほとんど妹だっちゅーマリアンヌと父親のアンドレでさえ、婚約発表の直前に
親戚の執り成しで事を知り、アンドレは許可をせざるを得ない状況だったのでした。


ちなみに、マリアンヌのお父さんは軍人で、駐屯先のマルティニック島で結婚して、マリアンヌが生まれています。
マリアンヌの母親の勤務先の貴族の家からは、後にフランス皇后が出ました。


 デュポン先生はお父さんが裕福な法律家で、お母さんの実家は
お母さんの結婚後に爵位を買い取りました。
デュポン先生の叔父さんは、外国文学かぶれが高じて書店を開業し、
経営上の法律に関わる部分や資金繰りをお兄さんに協力してもらい、
甥っ子のデュポン先生には、英国部門の広報の仕事を手伝わせています。

さて、来週からは本題の秘境へと分け入って行きますゾ。
スターン聖下の視点からでは、描く事が困難だった話が続出となるか―?
〈次回の更新は1月19・20日の予定。〉
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「箴言集」/フランソワ・ド・ラ・ロシュフーコー(1613-80)著
岩波文庫に二宮フサさん訳であります。
大修館書店刊/田辺 保さん編の「フランス名句辞典」には、原文と訳文(抜粋)が収録されています。

多分これ、スキ・キライがハッキリと分れるのではないでしょうか?
13歳のガキが読んで、頷く類の本では決してないし、また決して頷いてはいけないのでは?
―と作者は思います。






アバウト・ザ・ジェントルマン(1/10) デュポン先生をもう少し詳しく紹介します

2008年01月12日 19時10分14秒 | 弟7話/アバウト・ザ・ジェントルマン

 デュポン先生ってば~、

新し物好きで、
■バンド組んで、カフェでライヴしちゃったりして、
■ルックスも若作りしていますが、


実は結構トシ行っちゃっています。
では、何歳なのかというと、

ハリソンさんより10歳年下
Monsieur Dupont is ten years younger than Mr.Harrison.

…とだけ言っておきましょう。

 そうなると、ハリソンさんの歳が分らんといかんのですが、
ハリソンさんの誕生日は10月25日で、12日後に満●歳となります。

 西暦何年に生まれたのかは、今年アップする最後の話(第12話)で、
デュポン先生と何らかの関係がある、ゴシックゴシップヲトコこと、
ウォルポール氏の口から報告していただきましょう。

明日もまた、デュポン先生について、あともう少し詳しく紹介させて下さい。

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「パミラ」/サミュエル・リチャードソン(1689-1761)作
筑摩文学大系に、
海老地 俊治さん訳で収録されています。

これって、舞台を現代日本のオフィスや学校に置き換えるといった感じで、脳内で翻案してみると、
ちょっと前の大人気TVドラマ「真珠夫人」を思い出させてしまうよーな、
ヒロインのこだわりとかが―。
ともかく、かなりエロくてヤバい話です!


「ジョーゼフ・アンドルーズ」/ヘンリー・フィールディング(1707-1754)作
中央公論社刊/世界の文学or新装 世界の文学セレクション
に、朱牟田夏雄さん訳で収録されています。

大人気書簡体小説「パミラ」にムカついたフィールディングが世に放った、小説家としての第1作。
出版社は現在、「中央公論新社」となっているのですが…。
それ以降、この本は再版されているのでしょうか?




 


 

予告編 おまけ

2008年01月06日 15時53分19秒 | その他
 この物語は、基本的にはフィクションです。

 ■スターン・フリーク(怒るなかれ!
 ■18世紀英文学史専門研究者(こんなの見てんのかな~?

…の方々におかれましては、
心配してはおりませぬが―。

 一般(どっちかちゅーと、こっち向けの描き物です。)
の方々におかれましては、第7話には、

「今までと同じか、それ以上に、史実とそうでない物がごっちゃに混ざっている」

―ので、そこん所を注意してご覧下さい。
作者もその箇所になったら、

CAUTION!(警告) ←確かこれ、取説で見かけるよな~。

―と入れるようにはいたしますんで。

 ところで、フリーク(freak)って、

 「気まぐれ」とか、
 「珍奇」とか、
 「はみ出し者」とか、
 「熱狂者」「~狂」とか、

…まあまあ、いろんな意味があるようですが、
スターン聖下とセットにして使われると、
何だかとってもお似合いで、ちゃ~んとシャレになっちゃっているから不思議ですねー。

 ※作者はスターン・フリークではありません。
  ただちょ~っと絵が描ける、古楽愛好家で、フィドル(ヴァイオリン)弾きの者です。
  ―てか、マネした訳ぢゃないのに、何で趣味が同じなんだってのさっ!?

第7話は1月12日(土)からの開始となります。



第7話予告編

2008年01月06日 15時51分55秒 | 弟7話/アバウト・ザ・ジェントルマン
カフェのプティ・コンセール/パリ


 クラリネットは1700年頃、ドイツ人のクリスティアン・デンナー(1655-1707)
によって、シャリュモーという名のフランスの古楽器から考案されました。

 ジャン・フィリップ・ラモー(1683-1764)作曲の
劇音楽「アカントとセフィーズ」(1751年)の中でも使われているらしいのですが、
オーケストラで常設されるようになるのは、
モーツァルト(1756-1791)も晩年の頃、18世紀末のようです。
どっちかというと、協奏曲のソロや室内楽用の楽器だったようです。

 「学生時代に吹奏楽部の人達が吹いていたのと何か違ウッ!」
と思われた方、あなたは全く正しい。
…クラリネットが黒くなり始めたのは、19世紀の半ば頃からなのでした。
そして、描く人泣かせのキーについては、
18世紀末でも、まだ5つくらいしか付いていませんでした。
(よかった~。デュポン先生の吹いているのは、2キーしか付いていないのでさー。
いくら何でも、わしゃ~「のだめカンタービレ」みたいには描けんのでなぁ~。)
               
 ハリソンはデュポン氏と各自の読書体験を語り合います。
そして、そこから60年代英国の謎の人気作家、トリストラム・シャンディ氏の噂話へと話が
発展して行くのでした。