漫画/ハリソンさんはカノ紳士 Mr.Harrison is THE GENTLEMAN ― フランス通過編 ―(前半)

18世紀欧州が舞台の歴史ロマン。アヴィニヨンの薬屋小町クレールとハリソン&マルセル主従との運命の出会い。

黄昏のエア (24/32) 別離と再会へのプレリュード

2009年09月27日 18時05分34秒 | 第14話/黄昏のエア

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *



 アラベラさんにしても、ハリソンさんにしても、
「 自分達の本当にしたい事 」 がまだ分っていません。

 二人には気付きのための別れと旅立ちが待っています。
二人が 「 本当にしたい事 」 に気付き、
各々の文才をどう役立てたらいいのかを
考えて実行できるようになった時、
またどこかで出会えるのかもしれません ― 。


 2コマ目で、カンディドゥス君が近付いて来ていて、
この猫ときたら、ハリソンさんの事を、
飼い主一家の人達よりも大好きなんですが、
名前の通り ♂ です。

 そして、アラベラさんがハリソンさんに渡す物とは…?
秋は夕焼けが美しい季節。
来週の土日も晴れて美しい夕焼け空になりますように ― 。

〈 次回の更新は10月3・4日の予定 〉


黄昏のエア (23/32) 夕暮れ時の来訪

2009年09月26日 21時11分24秒 | 第14話/黄昏のエア

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *



 ♪ 日が暮れてぇ~ 夕闇が かぁーねーの響くー街を~
優しくつぅーつみいぃ込んで あぁ鳥たっちも岸へと帰る~ ♪

この場面のBGMは、
ヘンデルどんの組曲 「 水上の音楽 」 の中にある、 「 エア ( Air ) 」 という曲ですな。
ジョン・エリオット・ガーディナーさん指揮の、
イギリス・バロック管弦楽団の演奏って事でお願いしますだ。


 こんな風に、ケンカしてから数日後の夕方、
アラベラさんがハリソンさんと仲直りするために、
シンプソン家へとやって来たのでした。

 雰囲気を高めるためには、今日は無理だったけど、
これからは夕方までにアップしといた方がいいんでしょうか?

今日の続きは明日。





黄昏のエア (22/32) ブルーの靴下が履けなくて…

2009年09月21日 13時44分39秒 | 第14話/黄昏のエア

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *



 「 青鞜会 」は、上流階級&専門職者で、知性と教養のある男女がメンバーとなり、
夜集まって紅茶を飲みながら、当時の一般的な夜会よりはずっと真面目な内容で交流をしていました。

 メンバーの一人、ベンジャミン・スティリングフリートという人が、
青い靴下をうっかり履いて来た事から 「 青鞜会 」 と名付けられました。
ちなみに、当時の夜会では黒か白の靴下を履くのがフツーで、
青い靴下なんてーのは、労働者階級の履くモンなのでした。

 女性メンバーの中には、文化・慈善・社会活動をしている人達もいました。
会の女ボス様、エリザベス・モンタギュー夫人は、
― この人、史実上ではローレンス・スターン聖下の奥さんの従妹なんですが、
― 才能ある新人女性の発掘も行っていたのだそうです。

 アラベラさん、「 男子もべっくらこく程の古代ローマ武将萌えの歴女様 」 という設定
( にも関わらず、その具体的描写が、漫画でも作者の解説文でも皆無なのだった。
― いや、別の話で書く事があるかもよ。 ) なのだし、
社交界の華でもあったから、青鞜会へも評判が伝わって、
ひょっとしたら女ボス様直々のお誘いがあったのかもしれません。

 まあ、でもこの会合、後にユージン様が直江状やってイラつかせている、
大御所 J ****** 氏も出入りしてたって事だから、
アラベラさんが入会しなかったという選択は正しかったのかもしれません。

 ユージン様の事が無かったとしてもアラベラさん、ご覧の如くの複雑な性格なので、
距離感があって、見てくれの良さを一方的に崇拝される関係とか、
たまたま親しく打ち解ける事のできたごく内輪の関係ならまだしも、
頻繁な団体交流の中では、気難しくて取っ付き難いと誤解されたり、
潰されたりしやすい人なのかもしれませんから。


 漫画のように、ダンナや弟やハリソンさんが気にかけて、
助けてくれようとしていて、次週から6ページの間、ほのぼのとした雰囲気が続くのにも関わらず、
アラベラさんは、トンデモ過激な行動に出る決意へと行き着いてしまう結果に― 。


 ダンナのヘンリーさんも、ハリソンさんも同じような理由で、
アラベラさんから 「 死刑宣告 」 されてしまうんです…。
もちろん比喩に決まっていますが、何ともまあ、お気の毒に!
…でも、その理由とは何だと思いますか?

〈 次回の更新は9月26・27の予定 〉

黄昏のエア (21/32) 僕、放置民 ( ほうちみん )ですから

2009年09月20日 11時07分30秒 | 第14話/黄昏のエア

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *



 アラベラさんは、両親からの締め付けが厳しかったのですが、
ユージン様は、両親から放っぱらかしの 「 孤独っ子 」 になっていました。

 アラベラさんは、 「 嫁入り前の女性 」 という事を口実に言動を規制し、
精神世界に至るまで徹底的に管理しようとする両親に対抗するために、
私室でこっそりと詩を書いては、机の引き出しや棚に鍵をかけて隠していました。

 ユージン様は、事業の後継ぎだという事以外には自分に興味の無い、
家族も含めてあらゆる組織の存続のためには、個人間の感情交流など非効率的
― とすら考える両親から受けた育児放棄&内気で人見知りな性格から、
ひとり遊びに目覚め、やがては文章を書く方向へと向かいました。

 両親は、アラベラさんの文才にはあれこれと妨害をしましたが、
アラベラさんへの当て付けもあって、ユージン様の文才に対しては、
賞賛&協力もしない代わりに妨害もせず、全くの放置状態でした。

 お互い欠乏感のある姉と弟はいつともなく、
どちらともなく、歩み寄って結託していました。
そして1758年の事、ロンドンの某書店が企画した 「 英国古今演劇小説 」
シリーズの執筆者募集の広告
をアラベラさんが見つけ、
ユージン様に、 「 自分も協力するから、シェイクスピアのロミジュリに応募しろ。 」
とけしかけたのでした。


 …そして、それがハリソンさんの仕事を奪ってしまい、
文筆家としての危機感に煽られたハリソンさんを、
やぶれかぶれにさせて、ある破壊的な方向へと向かわせてしまったのですが ― 。

 ヘンリーさん、ホントにシドニー姉弟の理想的お父さんみたいじゃの~う。

今日の続きは明日。

黄昏のエア (20/32) 大人の男の話って何ぞや?!

2009年09月19日 17時08分16秒 | 第14話/黄昏のエア

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *



 ユージン様、キャンベル邸の温室の中で、
義兄ヘンリーさんへと人生相談を持ちかけていますが ― 。

ちなみにこのページを描いた頃のブラピの奥さんは、
ジェニファー・アニストンさんでした。
ジェニファーからアンジーに変えなかったのは、もうすでに似た名前の人が、
この物語の主要人物として、来年から登場する事が決まっているからです。

 こんな風に、gmpスタッフが知っている欧米の芸能人名から、
テキトーに名付けられてる登場人物も結構いたりします。
まいけるっちは歌手ジョージ・マイケルさん&同じく歌手の 「 あの人 」 のもじりっぽいし。

 マイケルっちの奥さんは、尼将軍様が20代前半に好きだった、
歌手ベリンダ・カーライルさんから来てるし…。

 マー坊なんて、作者がフランス人で初めて名前を知った人が、
パントマイム役者のマルセル・マルソーだったから。
「 フランス男子らしい名前っていったら、も~マルセルだよ~。 」
― っていう思い込みがあったのでした。

 ユージン様、綺麗だけど表情に乏しい顔&渋みのある美声の持ち主なのにもかかわらず、
ズケズケな物言いをするギャップが面白いと、社交界でキャラが立ちまくり、
語録も受けて、男性ファンもじわじわと増加中でした。

 ユージン様ときたら、某雑誌のインタヴューで、
「 * * 氏にあって、あなたに無いものがあるとは思わないんですか?」
と記者から聞かれて、 「 そんなものがあるとは思えない。逆に自分にはあって、 * * 氏に無いものなら
いくらでもあるし、 * * 氏が生きている間に one of them でも獲得できるとはとうてい思えない。 」

― とまで言ってしまったのでした。


 その雑誌を読んだ英国文壇大御所の J ****** 氏、
オリヴァー・ゴールドスミスさん辺りを聞き手に、
落ち着き払って、ユージン様への皮肉を一発ぶっこいただけらしかったのですが、
それが 「 英国読者公論 」 で、直江状を読んだ松方家康さんみたく激怒したかのように、
針小棒大&勝手にでっち上げられて面白可笑しく書かれてしまい、
それに対して結局激怒してしまったとの事でした。

 ユージン様の言う所の、 「 大人の男の話 」 って、
何なんでしょうかねー?
まさか、

「 インドで俺も考えた 」 とか、

「 ガンジス河で平泳ぎ 」

― じゃないよなっ?!

 今日の続きは明日。

 

黄昏のエア (19/32) WIN‐WINは難しい?

2009年09月13日 12時32分05秒 | 第14話/黄昏のエア

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *



 ハリソンさん、穏やか&優くて、
〈 現代の英国紳士のイメージ 〉 ― とは程遠いお下品系な方々も多かったという、
18世紀英国紳士社会の草食系男子って感じなのですが ― 。
前にも書いたように、ホリー・ウォルポール兄貴と比肩しうる程の
「 激情 」 と 「 高いプライド 」 を持っているのでした。

 だから、自分も大っぴらに負かされるはイヤだけど、
他人でも嬉しいという人 ( ← 「 おマゾ 」 の呼び方は当時無かったけど…。 )
― は、多くはないだろうと思い、
両方勝ち ( “ WIN ‐ WIN ” も最近聞くようになった言葉だよな? ) を良しとする
思想を持っていたのでした。

 そして、自分を一方的に負かして平気でいられるような人物に対しては、
その人物の死後に至るまで根深~い恨みを持ち続けるのでした。
( ↑ 自分の両親とか、先代ブリングストン伯爵様とか…。 )

 実はハリソンさん、アラベラさんの心の中についての評価なんですが、
男性作家の視点止まりで、アラベラさんの真実とはズレてしまっています。
アラベラさんが、 「 現状では物語の原案を作る事で解消するしかないっていう、
不満の中味 」
にまでは思い至っていません。


 その半端っぷりも、今までとこれからの転落悲劇を招く要因なんだよな~。

 次週からは、ユージン様の方の言い分で、
ユージン様がアラベラさんのダンナさん相手に、
アラベラさんへの不満のぶちまけ&今後の対策&根回しをします。

〈 次回の更新は9月19・20日の予定 〉




黄昏のエア (18/32) 人形を操る人形

2009年09月12日 13時06分10秒 | 第14話/黄昏のエア

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *



 アラベラさん気の毒に、
インドに軍人として赴任していて熱病死したキャンベル氏の次男坊と、
少女時代にちょっと淡いご縁が有ったってだけで、
利己的な両親からその事をいい事利用されて、
親子どんぶり婚させられてしまったのでした。

 アラベラさん、美貌と才知と淑やかな外見のために、
インドでもモテモテで、男性との浅くて広い準恋愛的お付き合いを
沢山していたのですが、
彼女が自分から何かを進んでする事が気に食わない
両親の妨害工作によって、
本当に好きだった人とも、親密には遂になれませんでした。
 

 アラベラさん、自分が本当はどんな事を望んでいるのかが、
彼女自身の意識の中で、まだ順序立ててまとめられていません。
でも、ハリソンさんとのやり取りの中で、自分の望みにだんだん気付いて行くのと、
現実からの制約による締め付けと、偶然からのめぐり合わせの要因が絡み合い、、
彼女自身も周囲もまさかと思うようなとある状況へと走って行ってしまうのでした。

 今日の続きは明日。




黄昏のエア (17/32) 恋愛妄想小説執筆拒否

2009年09月06日 11時14分44秒 | 第14話/黄昏のエア

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *



 ハリソンさん、ここでアラベラさんに言っている、

「 君自身が書けばいい。 」

― と、いうのを、
パリの在住英国人の親睦会で、ヒュームさんから言われちゃってるんですが、
覚えていらっしゃる方いますか?
…実は、作者もさっき思い出したくらいなんですがね ― 。

 今話10ページと11ページの間では、
漫画では省略されていますが、アラベラさんはユージン様から、

「 もう、こんなお姉さんの恋愛妄想を元にした小説なんて書きたくない! 」

― と、いう叫びを叩きつけられ、アラベラさんは衝撃を受けたのでした。

 アラベラさんの原案で、ユージン様が実際に執筆した小説が
どのような内容かを大雑把に言うと、

 「 めぐり逢う魂 」 は、何度も言うように、ほとんど 「冬のソナタ 」 だし、

 「 マレストン・ホール 」 は、 「 小公女セーラ 」 + ジェイン・オースティンさんの
「 マンスフィールドパーク 」 みたいだし、

 「 家庭教師 」 は、 「 ヌーヴェル・エロイーズ 」 + 「 高校教師 ( 旧 ) 」 + 「 魔女の条件 」
みたいな話なのでした。

 その中で、 「 家庭教師 」 が、ユージン様の作品の中では、
初の殺人シーン ― ( しかも主人公男女共謀の ) ― も出て来るという、
突出して過激な内容で、
アラベラさんの生い立ちと願望が色濃く反映されていたのでした。

 同じ頃に発売されていた、 「 トリストラム・シャンディ 」 第5・6巻の
売り上げが不振の一方で、 「 家庭教師 」 は賛否両論・新境地開拓との話題で売れていました。
それでも、ユージン様は大変不本意で不満足なのでした。


 今話の最後で、 「 ハリソンさんとシャンディ氏との関係のさらに何パーセント 」
― かが明らかに…?!

 来週は、アラベラさんがハリソンさんの言葉にピキーン!
となって、帰宅してしまいます。

〈 次回の更新は9月12・13日の予定 〉

黄昏のエア (16/32) 姫読者&令嬢読者達の反感

2009年09月05日 13時30分31秒 | 第14話/黄昏のエア

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *


 アラベラさんの言っている事は本当で、
18世紀後半の英国では識字率が上がり、読書市場が拡大し、
特に女性読者が大変増加し、
本を読むだけでは満足できずに、自分も文章を書いて世間に発表しようとする女性も、
相乗効果で増加するという事になって行きます。

 当時の女性作家の人達は、
J.J. ルソーさんの 「 ヌーヴェル・エロイーズ 」 を読んでいたり、
リチャードソンさんやフィールディングさんの小説を読んでいて、
彼らの女性の描き方に納得のいかない所もあったのかもしれません。
それで、 「 わたし達はこう描くわ! 」
― と、意気込んでいたのかも ― 。

 ところが反対に、ジェイン・オースティンさんを総大将として、
いにしえの女性作家達には、慎みの観点からも、男性同士の描写が上手くできないという問題がありまして、
特に、「 トリストラム・シャンディ 」 にも顕著にあるような、
男性の ** ・ ** ・ ***** の世界については難易を極めるのでしょうし、
受け手と想定される、お姫様&お嬢様読者の方でも、

「 わたし達は、そんなの読みたくありませぬ! 」

― と、凄まじい抵抗となってしまうのでしょう。


 ちなみに、「 英国読者公論 」 での 「 トリストラム・シャンディ評 」 の方はと言いますと、

「 数十年前の人物の話なら、何とかまだ、
『 あららー、昔の人は大らかだったんですね~。 』
とあきれ半分にガマンもできるが、
今時、こんな親世代の悪を引きずって、知識の撒き散らし&下品なほのめかしをしている人物がいたら、
今時の世間からは蔑まれて当然ではないか! 」

 …との、キツキツ・バッテン・パーンチ! だったのでした。

 今日の続きは明日。