漫画/ハリソンさんはカノ紳士 Mr.Harrison is THE GENTLEMAN ― フランス通過編 ―(前半)

18世紀欧州が舞台の歴史ロマン。アヴィニヨンの薬屋小町クレールとハリソン&マルセル主従との運命の出会い。

アバウト・ザ・ジェントルマン(10/10) あなたの知らない世界…

2008年02月10日 12時05分01秒 | 弟7話/アバウト・ザ・ジェントルマン

 デュポン先生は、叔父さんが経営している書店で、
英国の書籍の広報を担当していて、その仕事の一つとして、
書店が発行した雑誌のある号で、「トリシャン」紹介の特集記事を書いた
―という設定です。

よく見ると、ちゃんと6巻末のウネウネと、1巻12章の真っ黒ページも、
出ています。


 デュポン家とブルトン家とは姻戚関係なので、縁故で書店発行の書籍は、
優先して置いてもらい、宣伝もしてもらっているのです。
デュポン先生は、フランス随一の英流ウォッチャーとしても、
当時のパリの知識人の世界で有名なのでした。

…でも、その情報はいったいどこからいつも仕入れているのでしょう?
想像してみて下さい。


 …1766年の秋頃、トリストラム・シャンディ氏が
ハリソンさんをお迎えに降臨します。
それというのもハリソンさんとシャンディ氏とは―。

…これ以上書くと、作者の元へも「お迎え」が来るかもしれない、
―しかもその方法が方法なので、あまりに恐くて、ちょっと書く事ができません…。


―という訳で、「ゴシック・ロマンス」のアロマも漂わせておいた所で、
「♪きっと来るゥ~♪」―のつながりで、第8話では遂にゴシック・プリンスの
「あの人」が登場!
〈昨日も書きましたが、「トリシャンカノ紳version」は3月アップの予定です。適当な時期に探してみて下さい。〉

アバウト・ザ・ジェントルマン(9/10) マー坊の読んでいるその本、作者も読みたいです

2008年02月09日 11時43分59秒 | 弟7話/アバウト・ザ・ジェントルマン

 第7話も残す所2ページ。
今年は健康状態の事も考え、余裕を持って予定を立てています。
(6占星術では「健弱」だって言ってるしね。作者は霊合星人だから「陰影」までセットじゃ!)
これが終わったら、季節の変わり目で健康が不安定になりがちな時期は、しばらくお休みにして、
「トリシャン・カノ紳version」は3月頃にアップする事に
なるでしょう。

 マー坊の読んでいる本、「あの料理は、メディチ家のお嬢様方が
フランスにお輿入れの際に持ち込んだ物。」とか、そういう事が書かれて
いるんでしょうな。

作者は野菜の起源について書かれた本を読んだ時が楽しかったな~。
かなりの野菜がアメリカ大陸の起源だったという事と、
今ではだれでも健康食品だという事を知っているトマトを、
昔の人は「食べると癌になる」
なんて思っていたというのにはびっくりでしたが。


 漫画の部分では、結局今の所ハリソンさんが「トリストラム・シャンディ」を読んだ理由は、
「同業者の動向への目配り・スキルアップ(?)のための参考図書」
―以外に特に理由はないようです。
マー坊と料理本のように呼び合っていた訳でもないようですし、
純粋に「仕事の延長線上」で、ある意味仕方なく読んでいたって感じです。

…でもその割りにはちゃんと「骨太に」読んでいるような気がしないでもない。
ケーハクそうに見えて、あれでも一応勉強熱心なんでしょうかね?


ちなみに作者が仕事の延長線上で読む事になって忘れられない本は、
何と言っても、「チーズはどこへ消えた」ですね。
社長が社員に自腹で1冊ずつ配ってやんの。
毒消しに「バターはどこへ溶けた?」
を作者自腹で買って読みました。
ところで、あの「バターは―」の謎の作者探しもいったいどうなったんぢゃい!


明日はハリソンさんが、
英流ウォッチャー、デュポン先生筆「トリシャン」についての
雑誌特集記事を読んで思った事。
…明日のハリソンさんはちょっと恐いです。
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「チーズはどこへ消えた Who moved My Cheese?」/扶桑社
/スペンサー・ジョンソンさん著/門田美鈴さん訳

ちなみに、社長が「一杯のかけそば」/栗良平さん作
― を出勤カードラックの側に置いて、社員に読ませようと企んでいた事もありました。


「バターはどこへ溶けた? Where Has My Butter Gone?」/道出版
/ディーン・リップルウッドさん著

なぜか訳者なし、「日本語が堪能だから最初っから日本語で書いた」という事なんでしょうか?
著者紹介からは、日本人の浅薄山諦念寺流心和尚が、わざとアメリカっぽい名前で書いたようにも取れますが…。
可笑しかったのは、和尚さんが寺の修行僧の事を「従業員」と言っていた事。
…でも、こちらの話もふざけているようでいて、実は結構いい事言っていますけれどもね。
「この話はみんなで話し合う物ではなく、各自の心に問いかけるもの。」







アバウト・ザ・ジェントルマン(8/10) やっぱりマー坊は料理本を見つけたんだね! 

2008年02月03日 14時24分10秒 | 弟7話/アバウト・ザ・ジェントルマン

 昨日のページで、「ハリソンさんがトリストラム・シャンディ氏に
感謝している。」とあるのですが、
実は、シャンディ氏に敗れた天才青年作家ですら、
密かに感謝していたのです。
その理由とは ― 来年明らかになるでしょう。

 第7話の1ページ目の1コマ目にも本棚がありますが
読み捨て系の雑誌や冊子はカフェの中に置いて、
高価な本や保存版系の雑誌は、読書室の中に置いているようです。
読書室は書籍の汚損と火災防止を厳重にするため、飲食・喫煙禁止となっています。

 マー坊は第5話の2ページにあるように、カレー市内の家族経営の飲食店員で、
将来は独立志望なので、料理の本へと興味が行ったのでしょう。
それとこれからイタリアへと向かうんだしね。

 マー坊、もし本当にいたのなら、作者のイメージでは、
ヒース・レジャーさんが映画「パトリオット」に伍長役で出ていた頃と、
ちょっと雰囲気が似ているかな?
―と思っていたので、先月の22日に夭折されたのは残念です。

来週は、ハリソンさんとトリストラム・シャンディ氏の
想像を絶する、驚異&恐怖の縁(えにし)の暗示が…。
〈次回の更新は2月9・10日の予定。〉


 

アバウト・ザ・ジェントルマン(7/10) 年を取りゃあ、印象も変わるモンだなぁ…

2008年02月02日 15時14分44秒 | 弟7話/アバウト・ザ・ジェントルマン

 ―なんてタイトルでしみじみ言っていますが。(^~^;)。
本当の所、作者は「トリストラム・シャンディ」を高校生の時に、
朱牟田夏雄さん訳・筑摩世界文学大系収録ので読破に挑戦したのですが、
たった1ページ目で、
「ふざけんじゃねぇ、てめぇ!」  
―とやめてしまいました。

 それから6年後の1990年の事、隣町の大きな書店へと
葛飾北斎の画集「北斎美術館」を買いに行った時、
「トリシャン」が岩波文庫のコーナーに平積みになっていました。
作者の心に「げっ、この本ってばさー…。」
―と上記の思い出が蘇りました。

 ところがこの本と来たら、
そんな事おかまいなしのように、
「買ってくれー!!」
―と選挙の立候補者のごとく、周りに叫んでいるのです。

 その少し前に、当時勤めていた職場の先輩で、尊敬するデザイナーの方が、
「書店や図書館に行くと、『読め』とか『買え』とかと言って来る本があるので、
それには素直に従うといい。」

という話をしてらっしゃったのです。

 「―さて、どうしたらいいんだろう。」
―と作者はたじろぎました。
「北斎美術館」は1冊3800円もして、5巻のシリーズ物なのに、
全く迷わず買えたのです。
一方「トリシャン」は上巻620円/中巻570円/下巻520円で、
3巻合わせても、「北斎―」1巻分の半分以下の金額ですが、
置いてある棚の前で、迷いに迷いまくったのです。
書店内で迷い続けて、ウロチョロと他も回って戻って来て、
やっと買う事にしたのでした。

 …それでも、買ってから半年は放っておいて、
存在すら忘れてしまっていて、埃を被ってすらいました。
精神的にいろいろと滅入る事があって、
「自分を不幸だって言っているヤツの話があるから、読んでみるか。」
―と思い出して読んでみると、
「結構オモシれーじゃんかよー、これ!」
と今度は全部続けてすらすらと読破できたのです。

 「真面目さと責任感が取り得」という、
周囲からの評価と期待が重圧になっていた時期でした。
出世はしたいものの答えきれずに、
イヤになっていました。
そこん所で需要と供給が一致したんでしょうな。

 …それでも、若い頃、トリストラム・シャンディは
「イヤミの強い性格で、キライな主人公№1」
でしたが。

 自分も年を取って来ると、段々このキャラクターの思考回路のからくりとか、
自分を不幸だと思っている心の成り立ちについても、分かるようになって来たので、
しだいにキライではなくなり、
「本当に気の毒な人」と今では思っています。

明日は、マー坊とカフェ併設の読書室で再会。この子が出て来ると場が和らぐからスキやな~っ。


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「スターン文学のコンテクスト」/法制大学出版局/伊藤誓さん著
「ローレンス・スターン研究」/晃洋書房/松雄力雄さん著
「18世紀イギリス出版文化史 作家・パトロン・書籍商・読者」
/彩流社/A.S.コリンズさん著/青木健さん・榎本洋さん訳

「正しい史実」については、↑上記の3冊などに書かれているので、
あくまで「自己責任で調査」して下さい。
「スターン文学のコンテクスト」183~210ページを読むと、
ハリソンさんの言っている事の意味がよーく分かります。