漫画/ハリソンさんはカノ紳士 Mr.Harrison is THE GENTLEMAN ― フランス通過編 ―(前半)

18世紀欧州が舞台の歴史ロマン。アヴィニヨンの薬屋小町クレールとハリソン&マルセル主従との運命の出会い。

蛇街道(5/12) 蛇の道はへび 

2009年01月31日 14時44分22秒 | 第12話/蛇街道

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   「お手紙王子」 こと、ウォルポールさん、「トリストラム・シャンディ」1・2巻を読んで、

 It makes one smile two or three times at the begining,
 but in recompense makes one yawn for two hours.

始めの内こそは、2つ3つと笑わせてくれるんですが、
報いとして2時間に亘るあくびを催させるんです。

 ― とかゆー感想のお手紙をデイヴィッド・ダルリンプル卿というお方へと
書いて送っているのでした。

 そして、同じお手紙の中で、

 Dodsley has given him £650 for the second edition and two more volumes
 ( which I suppose will reach backwards to his great-grandfather );

ドズリー書店は彼へと1・2巻の第2版と続巻 (私は彼の曽祖父の話にまで遡るんではないかと推測しています)
に対して650ポンド支払い、

― とかとも書いているのですが、
実際第3巻の31・32章には曽祖父の話が書いてあるので、大正解だったのでした。


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ひい爺さんがひい婆さんに対して、
「持参金の割には寡婦年金の要求額が高過ぎる。」 と抗議していて、
それに対してひい婆さんは、
「あなたの鼻が低いから悪い。」
なんて答えている話の事だろ。
意味不明で、全くおかしーよな。ハハハッ。

 別に意味不明じゃないわよ。
「鼻が低い」 を 「甲斐性がない」 と読み替えれば、
カンタンに意味が分かるんじゃないの?
つまり、
「あんたの甲斐性がないから、そんくらいのお金も支払えないんでしょーがーっ!」

って話。

 各家庭のお父さん達がもし読んでいたら、
落ち込んでいじけてしまうかもしれん 「衝撃的な発言」 じゃぞ!

しょぼぼぼぼーん…。

 ウチの隣の若い奥さんが旦那と大ケンカした時、
「私に嫌われたら、あんたゼッッッッタイに出世できないんだからね!」
と夜のご近所中に響き渡る声で脅してた。

 そのケンカその後どうなったの?

 お母さんが奥さん本人に
「大丈夫…?」とか言って聞いたんだけど、
次の日にケータイのメールで「ごめんね。」
って謝って来たんだって。

 フフフ … きっと、朝ごはんとお弁当ででも何か意地悪したんでしょうよ。

俺、怖くなって来た。
職場でも、事務員に嫌われたり、パートのオバサン達の噂の種にされて、
仕事自体はデキている筈なのに、
社内の評価が芳しくなくて霞んでるヤツらが確かに何名かいる。


 ウサの話の奥さんだけでなく、
世界中のあらゆる階級のあらゆる年代の女子が同じ事を、
ある者ははっきりと発言し、ある者は心の中で強く念じておるんじゃ。

本当に怖いのは女子なのよ~。
離婚した女性芸能人と元ダンナのその後を見ても分るでしょ?
 
竹内結子ォォォ~っ!!



 …そういえば、作者の母や姉妹も渾身の力を込めてそう言っておりました…。
今日の続きは明日。

 







蛇街道(4/12) その頃、トリストラム・シャンディ氏もフランスに…

2009年01月25日 12時50分59秒 | 第12話/蛇街道

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  ウォルポール氏が言っているように、「トリストラム・シャンディ」第7巻は、
シャンディ氏が病気を理由にフランスを転々と旅していた事が書かれています。
ウォルポールさん、何だかんだ悪口言ってる割には読んでるんだよな~。

 デュポン先生が言っている戦争は、7年戦争の事で、
1756年から63年までの間、英・プロイセン VS. 露・仏・スウェーデン間のヨーロッパ大陸での戦いと、
平行して行われた英・仏間の北米・インドでの植民地戦争を指しています。

 7年戦争では英国が大勝し、63年のパリ条約では、
フランスからは、カナダやミシシッピー河以東のルイジアナ、西インド4島、アフリカ西岸のセネガル&ミノルカを分捕り、
スペインからはフロリダを貰っちゃいました。

 そんな感じで英国は、世界の超大国への階段を駆け上がって行きましたが、
その後には、世界が大きく変革するドエライ出来事が待っていたのでした。

 10年後には、

Let's roll.
 
― で、北米ボストン港に、英国東インド会社の紅茶箱が投げ捨てられ、
英国は北米13州植民地から逆三行半を突きつけられます。

20年後には、

Yes, we can.

― で、アメリカ合衆国が独立してしまうのでした。


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 そういえば、前にも書いてあったような気がするけど、
アメリカ合衆国って、1765年にはまだ存在してなかったのよね!

昔っから、建国からしてアメリカはやる事がド派手だったんだな!

 今ではアメリカ大統領が世界一権力があるって、
みんなが思っているよ。

 そーねー。
反対に英国っていったら、今じゃ一般の人達の目も引くのは、
ダイアナ妃の息子さん達が騒ぎを起こした時ぐらいだしね。

この間、また次男が「お騒がせ事件」を起こしていた。

 18世紀の3大革命の内、
この話で直接出て来るのは、年代的には「産業革命」くらいのようじゃの。
御婦人方が喜びそうな「怒涛の如きの愛と革命」の要素は恐らく出て来んじゃろうな。

 その点の不満分は、オスカル様やアントワネット様、
そして何と言っても 令嬢テレジア様に補っていただきますから、
大丈夫です事よ。オホホホ…。

令嬢テレジア様ってばよォ、
「自由と平等を語るあなたの舌で私を愛して。」(フラワーコミックス・スペシャル第5巻53ページより引用。)
は、いかんせんこじ付けが過ぎるんじゃねぇのか?

 同じ巻で、テロワーニュ姐さんとテレジアの恋人との密通シーンも
もの凄かったわよね~。

自分のブログで、

「痛いのはヤダ!」
「男への暴力的性行為は描いていいのか!」


― と、絶叫批判している男子がいた。
…俺も賛成。


 それにしても、ウォルポールさん、
ハリソンさんやシャンディ氏に、何のセレンディピティを感じるってゆーのでしょうか?

〈次回の更新は1月31日・2月1日の予定〉


 



蛇街道(3/12) 分析&対策しない主義

2009年01月24日 13時19分01秒 | 第12話/蛇街道
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  ハリソンさんがデュポン先生とカフェ・ブルトンで初めて会ったのは、

1765年10月13日(日)です。

 ハリソンさんがウォルポールさんに初めて会ったのは、その3日後の

10月16日(水)です。

 ハリソンさんは、13日にデュポン先生の刊行している雑誌をカフェの図書室で見ています。
そして実はデュポン先生から、ウォルポールさんが協力者で、彼が9月から旅行でパリに来ている事を聞いていたのでした。

 多分「ウォルポールさんと会って下さい。」 ― と、ハリソンさんが甥のブリングストン伯爵から頼まれたのは、
カフェ・ブルトンから帰ってからで、夕飯の席あたりでだったのでしょうな。
そこんトコ、少女漫画ならもっと「運命的」に描いたのでしょうが ― 。

 そして、ウォルポールさんとデュポン先生が会っているのは、

10月30日(水)なのでした。


10月13日から10月30日までの間に、ウォルポールさんとデュポン先生は1度も会っていませんので、
ハリソンさんが「自分達の共通の知人だった」という事が今話まで分かりませんでした。

 一方、ハリソンさんの方は、2人が「共通の知人同士なのだ」という事を、
2人とのそれぞれの出会いの時からトックのトンマに知っていたという事になるので、
恐らく、「いずれはこういう会合が2人の間で持たれるのだろう。」というのに気付いていたのでは
…と思われるのでした。



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何かさ、そーいえば、
トリストラム・シャンディ自身とか、
シャンディが書いた本の登場人物の、特にトゥビーのオヤジとかヨリックの坊様とかにも、
「何かせねば危険な状況に自らが陥っているのにも関わらず、
放置して様子を見ているだけ~。」

― な傾向があるよな。

 ハリソンさん、本当にシャンディさんならば、
デュポン先生へと最初に自分からぶっちゃけちゃう事もできたと私は思うんだけどな。

 ハリソン殿とデュポン先生との間では、
初対面でラポール (心理学用語。お互いに親しみを感じ、感情の交流が可能な状況の事。)
がかなり良好といった様子じゃったのにな。

 その上で、「誰にも言わないでね~。
― とか付け加えちゃうって事かな?

しかし、もし、ムッシュ・ドゥポ~ンがムッシュではなく、
マダァムやマドモウァズェル・ドゥポ~ンだったのならば、
約束は絶対守られない
と、俺は渾身の力を込めて断言できる!

確かにそう!
「私と誰々ちゃんとのヒミツだよ~。」とか言って、
実はそこら中に話が広がってんの。
キャハハっ。お互い親しさを確認し合うためについついやっちゃう事なんだけど、
ギャルもオバさんも年に関係なく、
そーゆー所はもうどーしょーもないわよねぇ!



 ハリソンさん、狡猾なのか不器用なのかがマッコテ分らない所。
今日の続きは明日。

蛇街道(2/12) Mr.謎男(エニグマ)

2009年01月18日 16時46分40秒 | 第12話/蛇街道
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 デュポン先生は、トリストラム・シャンディ氏が、

「上の鼻は、出生時に医療ミスのせいで、分娩鉗子によって潰れてしまい、
― それと連動してというか、シンクロしてなのか?
― 下の鼻も5歳の時に、上下スライド式の窓に挟んで潰してしまいました~。」


…なーんて話は、第7話にもあるように「ハナっから」信じていないので、
こんな安らかな表情で、ウォルポールさんにカラリと聞いていられるのでした。

 それにしても、シャンディ氏 ( もしかしたらハリソンさんかも? ) は、謎が謎を呼ぶ人物なのですが、
ウォルポールさんもなかなかの挙動不審ぶりで、謎が謎を呼ぶ人物です。


 ウォルポールさんのお父さん、
英国で株式会社への投資ブーム → 株価大暴落を招く
― の後始末を見事にやってのけ、

自分を嫌う王様を、宮廷歳費増額で上手くなだめ、
王室関係の女性達からの応援も得、
戦争を避け、商工業を発展させた
―って、伝記に書いてあったわ。
  
 「株式投資ブーム」と「株価大暴落」
は、今の世界みたいじゃな。

…歴史は、忘れた頃に繰り返す。

 昨日の話の続きだけど、麻生総理、
自分もこんな風になりたいって事なのね。
  

● 日本を世界で不況から最速で脱出する国へ 
● 平和と繁栄
● 給付金はゼッタイやる
●皇室には妹さんがいる

 ウォルポールさんのお母さんは、ダンナとは反対に、
きれいな服や宝石や鳥が大好きで、遊び好きの浪費家だったってから、
ウォルポールさんは、骨董品集めちゃったり、お洒落なお城建てちゃったりしてる所からすると、
前にも言ったかもしれないけどお母さん似なのね。

 お母さん、何か、マリー・アントワネット様みたい。

 しかし、ウォルポール殿は、
一方で金の管理にかなりうるさい所もあったらしいのじゃ。
まるっきりの経済観念無しという訳でもなかったようで、
父母から半分半分って所じゃな。



 女性閲覧者の方々、究極の経済問題かもしれませんが、
〈 ハリソンさんとウォルポールさんのどっちかと結婚するしか選択の余地がない〉場合に、
どっちを選べば「幸せになれる可能性はまだある」と今の段階では思いますか?

〈次回の更新は1月24・25日の予定〉


  

  
  

蛇街道(1/12) ハリソンさんを差し置いて

2009年01月17日 14時33分30秒 | 第12話/蛇街道
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  18世紀中頃のフランスでは、「平凡な日常生活の中の面白いドラマ」を描いた、
リチャードソンさんやフィールディングさんら英国人作家の小説が翻訳等で読まれ、
フランスの作家にも影響を与えていました。

 18世紀後半になると、ちょっと前までは飾りっ気のない野暮服と思われていた英国ファッションが、
フランスファッション界にも影響を与えるようになり、
やがては、かのメルシエさんが革命前夜のパリで、
「英国かぶれのバカモノ」と呼ぶような人達が大勢出現する事となるのでした。

 第7話に登場したデュポン先生は、叔父さんが経営する大きな書店で、
英文学の広報を担当していて、英国の出版物とその他情報をまとめた雑誌を不定期に制作・刊行しています。
そしてその企画は、ウォルポールさんと彼の英国人の友人知人らに協力してもらっていたのでした。


 麻生総理、ウォルポールさんのお父さんを尊敬していると、
前に書いてあったけど、ひょっとして「給付金」は伝記とか読んで、
そこから思い付いたアイディア
なのかしら?

 日本人は、武士は食わねど…いや高潔な所があるから、
「バカにするな!!」
― と不景気で各家庭それなりに困っている筈なのに不評じゃな。

「イチ家庭6万円で票を買え!」
― なんて、オヤジ向け週刊誌でこき下ろされていた。
それでも、俺はあえて言う。
欲しいです。ちょーだい!

 ウォルポールさんって、
血筋の上では小泉孝太郎さんやDAIGOちゃんみたいなもんだよね。

 総理大臣を出した家の子孫だしね。

 ウォルポール殿、国会ではパッとしなかったようじゃから、
世間からは「出たがり文化人」みたいに見られていたんじゃないかの~?

ウサの言ってる、芸能人とほぼ同等だな。
そんなら、キメ台詞でも出せよ。



 「給付金 実は私も 欲しい人」(←川柳?) なのであった。

今日の続きは明日。





 

第12話 登場人物紹介

2009年01月14日 22時32分24秒 | 第12話/蛇街道

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 またまたやらかしてしまいました。
突然ネットの接続ができなくなって、予定が遅れてしまいました。
モデム用のアダプターが破損していて、交換品を取り寄せるのに日数がかかったのです。
体調の方は不思議なくらいに良好で、全然問題ナシだったのですが ― 。

 そういえば、去年の冬も、「トリシャンカノ紳version.」の時だったか、
ネットの接続ができなくなってしまって、アップが予定通りにできなかった記憶が…。
何か冬真っ盛りの頃に、毎年パソコン関係が何かしらヘンになるんですよ!

 …という訳で、今週の土曜日から、
「蛇街道 (1/12) ハリソンさんを差し置いて」
― を間違いなく開始いたしますので、
その前に登場人物を把握しておいて下さいましーな。
― と言っても今回たった2名しか登場しませんが…。




予告編 おまけ

2009年01月04日 22時48分17秒 | その他
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 やがてデュポン先生は、ハリソンさんが「トリストラム・シャンディ」を書いた真の動機に気付き、
激しい非難の言葉をハリソンさんへと投げ付ける事となります。
それが、ハリソンさんにある事を気付かせ、
新しい世界へと歩き出させる素晴らしいきっかけとなるのでした。

〈第12話の開始は1月11日からとなります。〉



第12話/蛇街道 予告編

2009年01月04日 22時45分32秒 | 第12話/蛇街道

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 ハリソンさんとマルセルがパリからローマを目指して出発した2日後、
ウォルポール氏は、パリで人気の英流ウォッチャー、デュポン先生と対談します。

 実はデュポン先生、英国の情報を主にウォルポール氏から仕入れていました。
ウォルポール氏は、芸術の事やら、世間話やら、著名人のゴシップやらの手紙を、
一生の内になんと7000余りも知人友人へと宛てて書き送ったような人で、
「お手紙王子」と呼ばれていたくらいなのでした。

 自分にはない物を、見下しているハリソンさんが持っている事を不快に感じたウォルポール氏は、
「トリストラム・シャンディ」に興味を持っているデュポン先生へと、
「ハリソン殿がシャンディ氏なのではないか?」
― と、自分が持った疑惑をぶっちゃけ、
デュポン先生がハリソンさんに対して不信感を抱く方向へと、
わざわざ持って行こうとするのでした。

 * * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *