漫画/ハリソンさんはカノ紳士 Mr.Harrison is THE GENTLEMAN ― フランス通過編 ―(前半)

18世紀欧州が舞台の歴史ロマン。アヴィニヨンの薬屋小町クレールとハリソン&マルセル主従との運命の出会い。

蛇街道(12/12) それでは、しばしのお別れ…

2009年02月22日 10時31分09秒 | 第12話/蛇街道
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 ウォルポールさん、ブリングストン伯爵からは、ハリソンさんがテュダー王家女系の末裔だという話を聞いているのですが、
自分でもさらに、探偵好きの使用人をハリソンさんの出身地、ヨーク州のシェルワース村へと派遣して調べてみるのでした。
そして、ハリソンさん自身も両親や周囲の人達から封印されていた、ある身の毛のよだつ様な恐ろしい事実を知り、
自分も恐怖の世界へと知らずに巻き込まれているのでした。

 ウォルポールさん、もしかしたらデュポン先生へと、「いい事教えてやった。」
― と思っているのかもしれませんが、
果たしてデュポン先生はどうなんでしょうか?
もしかしたら何割かは、ハリソンさんが第4話で言っている、
「ガッカリさせる知識や情報」なのかもしれません ― 。

 デュポン先生は、それでも「トリストラム・シャンディ」の全訳を続けるのですが、
シャンディ氏とハリソンさんとの共通点と落差の分析からある事に気付き、
次第に大きな怒りへとクレッシェンドして行くのでした。

 ところで、これは最初にご報告すべき事でしたが、ウォルポールさんとデュポン先生が会談している場所は、
パリのとある城外区にある、デュポン先生の自宅です。


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 でもって、散々煽っておきながら、作者さんは次の第13話に来たら、
また全然別のキャラ達を出して来て、全然別の舞台設定で、別の話を始めるんだから。
物語で閲覧者に脳内パッチワークでもさせようって気なのっ?!

それは、そもそもこの話のベースになっている話を作った、
ローレンス・スターン自体にもそーいう傾向がさらに顕著にあるよな!

 ところで、今度はどういう話なの?

 ハリソン殿の失恋話のようじゃよ。

 ああ、ハリソンさんが前のフランス旅行をするきっかけになったと、
マリアンヌさんに話していた事ね。

 え゛ーーーーっ!!
それよりも、ウォルポールさんが 〈 ホントにゲイなのかどうか 〉
が知りたいのに~っ!!
私だけじゃないと思うっ!!!
それ裏切って話中断したりしていい訳アリィ?    

 お前誰 … ?

 まあ、とうとうあんたもここに来ちゃったのね。
先週話した、BLに興味を持ち始めた末娘よ。

 はじめまして~。
おスエでへぇ~す。これから時々オジャマするけど、ヨロシクねっ!!



  第13話は、ハリソンさんとインド帰りの美しい有閑夫人との、
ロンドンを舞台にした、センティメンタル ・ シティ ・ ロマンで、
ウォルポールさんの再登場は第15話となります。

〈 開始予定は3月ですが、日付はカラー絵が出来上がり次第で未定。〉








蛇街道(11/12) 敵が味方か味方が敵か?

2009年02月21日 10時26分31秒 | 第12話/蛇街道
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 「 涙の帝王 」 ローレンス・スターン聖下も、
トリストラム・シャンディ氏が下品なだけのヤロウだと、
発表当時からの約250年の長きに亘る、累計読者達の全てに思われていたのなら、
草葉の陰で / 声も立てずに / 涙の流れるままに / 泣いておられるぞ~。

                   

 もし、ハリソンさんが本当にトリストラム・シャンディ氏と同一人物ならば、

いろんな所で彼の悪口を言いまくっているウォルポールさんが実は、
「一番の理解者で、応援者になる可能性がある。」


― という、何とも訳の分らん感じになってしまいそうなのですが―。


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  本当に、ウォルポールさん、
「トリストラム・シャンディ」の何に「セレンディピティ」を感じてるのかな?

俺にはホリーの兄者の深層心理が全く分らん。
俺自身が「今のトコ、ヘンで訳分らんけど可笑しかった~。( ^ ▽ ^ )」
― で終わっちゃってるしな。
ママンのように疑問を持つ段階には、まだ辿り着けないよ~。
修行が足りんからか?!

 ウォルポールさん、茶化して言ってるけど、
もしデュポン先生が本当にハリソンさんに直接聞いても、
ハリソンさんから、ちゃんと答えてもらえんのかなー?

「ズバリ聞くわよ!」とか言ってな?!

 さあ~。どうかしら?
でも確か、何だかあの温厚なデュポン先生が、ハリソンさんに対して、
すごく怒るとかって話なんでしょ?

 読者の中でも、シャンディ殿に期待する物が何かによっては、
ハリソン殿がもし本当にシャンディ殿ならば、手ひどい裏切りを犯しているじゃろうな。

 ハリソンさんが「トリストラム・シャンディ」の読者達から、
ひどい目に遭わされる展開になるってのも、それと関係しているのかしら?




  「 お下品ONLYのお笑い 」 を書いてウケたいだけなら、
「 暗闇で殴られたようだ…etc. 」 なんて言う訳ないでしょうが!

今日の続きは明日。




蛇街道(10/12) もう隠しとく訳にはいかん!

2009年02月15日 17時00分47秒 | 第12話/蛇街道

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  ウォルポールさんは1727年に入学した、当時のイートン校版「F4」のメンバーの一人でした。
メンバーには勤務教師の甥で、後に「墓畔の哀歌」などで有名な詩人となる、トマス・グレイ(1716-71)さんという人もいました。
4人の中、ウォルポールさんとグレイさんとトマス・アシュトンさんという人はケンブリッジ大学に進学しました。
リチャード・ウェストさんという人だけは、オックスフォード大学へと進学しました。

 グレイさんもかなりのイケメンでした。
1738年にウォルポールさんとグレイさんは、ウォルポールさんが費用全額負担での大陸旅行に出かけましたが、
途中でケンカ別れして、グレイさんは英国に帰りました。
3年後に二人はめでたく仲直りをしたそうで、グレイさんはウォルポールさんの飼猫の死への弔歌を書いたりもしています。
ウォルポールさんが、ハリソンさんの個人情報収集依頼のために手紙を出している相手がグレイさんです。

 グレイさんから帰って来た手紙で、ハリソンさんが大学時代にあるとんでもない事件を起こした事が分かるのですが、
それと相似した事件に、今度はウォルポールさん自身が巻き込まれて、
スティーヴン・キングさんの「●●リー」+Jホラー「●●グ」的恐怖を味わう事となります。

 とっくにお気付きの方もいらっしゃると思いますが、
ウォルポールさんのモデルになった歴史上実在の人物は、実は軽ゲイもしくはプラトニック系ゲイだったのでは
― と言われているのでした。


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 わしは第8話あたりでも言った記憶があるが、やはり「同性愛」が来たではないか!
作者はつい昨日「ハード・シーンは苦手」と言っていたが、こっちについても大丈夫なのかの~?

 ウチの仕舞いっ娘がBLに興味持ってるみたいでちょっと心配。
最初は〈イケメンの群れが好きなだけ〉なんだと思っていたけど。
どうやら上杉謙信さんとその周辺の人達の事もそういう見方してるようだしね…。

それは「衆道」といってねママン、戦国武将が活躍していた頃の日本では、
別に驚くような事ではなかったんですよ。


 でも、もし今まで見て来た話をそういう目線で読み返してみても、
みんなウォルポールさんの「深まりのない片想い」みたいなんだけど。

何か、わざわざ片想いになるような相手ばかりを狙って「責め」ているような気がするよな。
誰も「受け」になってはくれない。

 ― っていうか、デュポン先生やジョージさんとかは、
最初っからそういうつもりで接近しているとは想像すらしていないんじゃ…。
ウォルポールさんが本当に「同性愛者」なのかどうかもまだ決定的な証拠がないし。

そういえば、
ハリソンは、「俺は同性愛者じゃない!」
― って、トロイを相手にどっかで叫んでいたよな!
 
 その話で作者も言っていたような気がするが、
18世紀当時の欧州で、本当に同性愛者で現行犯逮捕されたら死刑じゃぞ!

 結局、本当は男女どっちの誰とも本気で関わろうなんて思ってないって事なんじゃない?
本人も天気のいい日に苺ヶ丘城で、ぼんやりと一人で綺麗な椅子に座って考え事してる時にでも、
ついでにその事にもちゃんと気付いていて、そんな自分に冷めた絶望しているんじゃないの?



 「 第3部 」で描く予定の、ハリソンさん&ウォルポールさんのホラー・シーンが、
「 『 最終絶叫計画 』 的になってしまったら ― 。 」
…と、考えると描くのがコワい。
 
〈次回の更新は2月21・22日の予定〉




蛇街道(9/12) 経験しなくてもいい事もある

2009年02月14日 21時23分28秒 | 第12話/蛇街道
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 「トリストラム・シャンディ」第1巻19章には、
シャンディ氏がお父さんと一緒に、何とか大学のジーザス・カレッジへと名前の登録に行った事が書かれています。
ハリソンさんと同じ大学なんでしょうか?

 ウォルポールさんは、1734年にケンブリッジ大学のトリニティ・カレッジに入ったという設定なので、
ハリソンさんはウォルポールさんがそこを出て、お父さん総理の七光りで大蔵省の役人やってる頃に、
入学したようなタイミングでしょうな。

 何だかハリソンさん、パッと見グランド・ロマンな半生で、もっと詳細を極めるとマッコテ昼ドラ的なんですが、
物語の主人公にしてやるからと神様から頼まれても、
はっきし言って、作者は来世でこんな人生は送りたくないのでした。
本当の所、話を描く事で追体験するだけでもかなりつらいのぢゃ。

 来世では、ゴシックから古典派時代までの宗教音楽の指揮者になりたいわい!


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 あっ、分った。
表紙のスケートの絵は、事故に遭う前の所ね。

 おじいちゃん、「ホランド」って何?

 オランダじゃよ。

 イナバウアーのそり加減が全然足りないわ。
荒川さんや中野さんや金さんを基準にしちゃってるから?

ホリーの兄貴は、「お気の毒」なんて顔一応はしてるが、
実は「未婚でよかった。」って、内心ホッとでもしてるんじゃねえのか?!

 パンディ、前は「ゴスヲタオヤジ」って呼んでたよね?

 何か心境の変化があったの?

俺もこんなご時勢じゃ、結婚できないかもしれんから、
「できなくても良かったんだ」
っちゅー人物を見て、ちょっとでもいいから安心が欲しい。


 大丈夫。最悪でもウチの三人いる娘の中の一人をもらってもらうから!

 姉妹の家に入り婿なんて、直江兼続さんみたい

ごっつぁんです。


  ハード・シーンが苦手な作者には、ハリソンさん&奥さんの壮絶泥沼離婚劇をいつか描くのが物凄くコワい…。
今日の続きは明日。








蛇街道(8/12) 11月5日の意味

2009年02月08日 13時12分25秒 | 第12話/蛇街道
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  1582年以降のヨーロッパ各国では、
ユリウス・カエサル暦からグレゴリオ暦への切り換えが随時行われていました。
英国では、1752年9月2日(水)の翌日を9月14日(火)とする事として、改暦が行われました。

 英国の議会は、各種トラブルを最小限に抑えるために、細々と決め事を作りましたが、
それでも人々の間には混乱が起こりました。
「11日間を返せ!」 と、首都はもちろん地方の各地でも暴動が起こり、死者も出たとの事だそうです。

 作者、ハリソンさんの誕生日が新旧暦のそれぞれ何日になるのか、
チラシの裏白へと手書きで計算し始めましたが、

「 Exel でやりゃあー、スグぢゃねぇかっ! 」 

― と、いう事に途中で気付き、そうしました。


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 「ガイ・フォークス・デイ」というのは、1605年の11月5日の英国で、
カトリックとプロテスタントの対立から、カトリック側が国会議事堂を爆破して、
政権を奪取しようと目論んだ「火薬陰謀事件」からできた記念日じゃ。
事件の中心人物が、北ヨーク州生まれのガイ・フォークスだったという事じゃの。

 でも、作者さんの話からすると、1605年の11月5日は、実は別の日付だったって事よね?

 1605年当時は、グレゴリオ暦とユリウス暦は10日ずれていたのじゃ。
だからグレゴリオ暦では11月15日だったという事じゃな。

 でも、今でも11月5日に英国ではその行事をやってるって事よね?

 そのようじゃの。
さらに1700年を新旧暦で閏年とするかしないかの関係からなのじゃが、
ハリソン殿の誕生日は11日ずれておる。

 何か、わたしにとって、こんがらかって頭痛くなる計算の話を、
おじいちゃんがまたしてるよ~!!

 大丈夫、私も頭痛いから。
ハリソンさんがシャンディさんだったとして、何でこんな手の込んだ事するかな~?

祭りの内容と関連があるかもな!
これから調べてみっけど。

 それはそうと、ハリソンさんもウォルポールさんもよく分んない人達だけと、
今人気の、誕生日占いの本を読めば何か分るかも!

 でも、どっちの日付で見ればいいのかな?

 ウォルポール殿は1717年の9月24日生まれだそうじゃ。
グレゴリオ暦だと10月5日という事じゃの。

 とりあえず、両方見とけばいいんじゃない?!
 



 某誕生日占いの本の11月24日のページで、
「この日に生まれた有名人」の欄には、ローレンス・スターンの名が載っていました。
スタマニア男子の方々、占いだなんてアホにせんと、最寄の書店で探してみなはれな~。

来週はバツイチ・ハリソンさんの波乱万丈の半生。
〈次回の更新は、2月14・15日の予定〉

蛇街道(7/12) プライドと激情

2009年02月07日 18時21分40秒 | 第12話/蛇街道
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  ハリソンさんとウォルポールさんには、対立しているようでいて実は共通点があります。
2人とも人前では優しく淡々と、もしくは抑制された態度で振舞う上品な美紳士なのですが、
心の中ではかなりの「激情」の持ち主だという事です。



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 前の話で、ハリソン殿がウォルポール殿と同じようにボソッと本音を言っている場面があるの。

 うん、ちょっとコワい感じでジェインさんに語ってた。

 優しい人や容姿端麗な人って、何かガーッと自分の気持ちを言いにくい雰囲気に追い込まれちゃうのね。
そういう点で損してる事もあるのかな?

 でも、それでエロい雰囲気を醸す事ができて、
10歳上くらいまでで独身の綺麗なお姉さん達にメチャクチャ可愛がってもらえんなら、
俺もそうなってもいい!

  「全くも~っ、素直でないわねっ! とか、言っちゃってね。
そういえばウォルポールさんは、20歳年上の貴婦人にメチャクチャ可愛がられていたって、
どっかに書いてあったっけね。

 ハリソンさんの方は、下の方の年の差が男女ともいいみたいだよね。

 時計ひと回り分より下の方がいいみたいね。
身分は高くてもエバる感じの人じゃないから、安心感と親しみを与えるんじゃない。

でも、その反面ナメられているような気もすんがな!

 そんなズケズケ言う、素直すぎるパンディの事は、
私みたいな30歳近く年上の、亭主と大っきい子持ちのオバちゃん達がメチャクチャ可愛がってくれるわよ!!

…ごっつぁんです。
 


 誕生日には何か意味があって、生涯が決まってしまうものなんでしょうか…?
今日の続きは明日。

蛇街道(5/12) それはあんたも同じでしょ~に…

2009年02月01日 16時51分41秒 | 第12話/蛇街道
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  ウォルポールさんが、自分のお屋敷の印刷所で刷って、
1764年のクリスマス・イヴに出版した「オトラントの城」なのですが、
今みたいに何万部なんて出していない筈なのと(せいぜい100部)、
今みたいに特にいい家の出でもないパンピーであっても、
ほとんどの男女が文字を読めるなんて事はなかった時代なので、
多分ウォルポールさんの大勢いる知人友人の方々が、
読者の中で高いパーセンテージを占めていた
のではないかと…。

 …それだったら、バレバレだよな~。
「イタリア半島南部にある、中世の城が舞台の、後継者争いをめぐってのサスペンス劇場。」
― なんて、ゴシック・オタッキーのあんたしか書く人はいないっての!


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  確かに、今日のサブタイトルの如く、
ウォルポール殿も自分の事を隠しているようじゃな。

他人の噂話も含めて知識・情報系の話をしていれば、自分の個人的な事を話さなくても済むしな!

 でも、学校の休み時間に芸能界とか人気雑誌とか表面的な話してて、
盛り上がっている間はいいけど、家に帰ってからとか、
「一緒に話していた人が、私の個人的な事の話には興味あって聞いてくれるのかな?」
― って疑問に思う事がある。

 ウォルポール殿にもそういう悩みがあって、いずれは描かれるんじゃなかろうか?

 ウォルポールさん、「結婚は~?」とか人から聞かれた時、
いつもどう答えていたのかしら。

 それもいずれ出てくるかもしれんな!

 トリストラム・シャンディもベラベラ長々と喋りまくっている割には、
「真の叫び」が伝わって来ねぇんだよな。
「オッサンの主張・英国国内予選」に出てもこれじゃ最下位だぜ!
だから突っ込みまくったりイジり倒したくなる若い男が大勢出て来るんだよな。

 兜にたった一文字、
「愛」

とか付けてくれるような人なら分り易くていいんだけどな!

 直江兼続サンみたいならホントに分りやすいよね!



 次週は、ウォルポールさんの本音がチラリズムと、
ハリソンさんのザッパな生い立ちの導入部となります。

〈次回の更新は2月7日・8日の予定〉