風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

自作自演

2012-09-05 11:38:34 | 健康
               かかりつけのクリニックへ行った。
                 すぐに心配な持病はないが、
               骨粗鬆症の予防のためのビタミンDや、
              食べ過ぎたときの胃薬などを処方してもらう。

             長い付き合いだが、愛想もこそもない先生である。
            何年かかっていても、いっさいの検査をすすめられたことがない。

                  血液や尿のいわゆる健診さえも、
              こちらが言い出さないかぎり何年でも実施されない。

              人にすすめられて、よそのクリニックに替えたことがある。
                 そちらは、親切、熱心、万全の検査、検査。
                

             今月も来月も、心電図を、レントゲンを、血糖値を、etc、で、
          一年もしたらくたぶれはてて、愛想もこそもないいつもの先生が恋しくなった。

            浮気は一年だけで終わり、薬も出し渋りにこりともしない先生のもとに戻った。

                 なぜか、毎度血圧だけは測定してくださる。

                 昨日。
                 「100と、58」
                 とだけおっしゃった。

             ほかに何もおっしゃらないので、風子は自分で
             「低いですねえ」と言った。
                  

             答えがないので、
             「お酒でも飲んでみますかねえ」
             自作自演である。
   
             先生は、相変わらずの仏頂面で、
             「好きにしなさい」
             とだけおっしゃった。

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男の子

2012-09-03 17:19:58 | バス
            バスに乗っていたら、3歳くらいの男の子とママが乗って来た。
               車内は空席が多く、どこでも好きなところに座れる。

            男の子は、嬉しそうに運転席のすぐ後ろを選び、一人で座った。

               そのすぐ後ろにママが座った。

            バスが動き出すとすぐに、男の子は言った。
             「ママ、さびしくなあい?」

                うふふ、可愛いなあ。

             ママは、大丈夫よう、と答えた。

             10数えないうちに、また言った。
             「ママ、さびしくなあい?」
             「大丈夫よ」

              男の子には、意地がある。
       ママと一緒に二人掛けの方に座ればよかった、などとは、とても言えまい。

             「ママ、さびしくなあい?」
              だんだん涙声になってきた。

               可愛いなあ。
           
        この子もいつかヒゲが生えて、声変わりして、反抗期がきて、ヨメサン貰う。

              その時、もう一度言ってほしいなあ、
              「ママ、さびしくなあい?」

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フォーラム

2012-09-02 16:49:19 | 時事
                放射性物質による健康被害について、
              アメリカ、ドイツの医師が語る講演を聞いた。

             放射性物質に汚染された地域への立ち入り禁止の文字は、
                人間には読めても、動物たちには読めない。
            動物、あるいは植物だって、そこから自由に動き、飛翔する。

              全国どこにいても汚染の影響を受けない場所などないのだ。

          チェルノブイリで閉じ込められた核廃棄物の石棺は、すでに石棺周囲に亀裂が見られ、
               石棺をさらに覆う石棺が考えられているという。

                 さらに数十年後には、また……。
             石棺の上の石棺、石棺のマトリョーシカとなる。
                   
                     ほぼ永遠に、か。

 
                  フクシマは、どうする? どうなる?

                        まずは知ること。



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冷蔵庫

2012-09-01 12:38:52 | 歳月
                  夫の姉は今年85歳になる。
               股関節が不調で、ヘルパーさんの介護を受けて、
                  どうにか一人で暮らしている。

               話かわって、先日、風子の友だちが我が家へ来た。
                 彼女はまだ60歳になったばかりである。

              我が家の車庫に、いつもある夫の車がないので、友だちが、
               「あら、ご主人、お出かけなんですね」と言った。

         「そうなの、義姉のところの冷蔵庫が壊れてね、新しいのを買いに連れて行くって」
         「えっ! お義姉さん、もうその齢で、まだ冷蔵庫、買うんですか」

                言われてこちらが驚いた。

         「冷蔵庫はね、明日死ぬかも知れなくても、生きてるかぎりいるんだよ」
         「まあ、そりゃあ、そうですけど」

                納得いかない顔をしている。

          だいいち、まだ明日死ぬとは限らない、一か月先か、三年先か、十年先か、
            それがわからないところが厄介である。

     で、いるんですよ、冷蔵庫は。
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