風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

タマ

2012-09-14 22:17:05 | 猫および動物
                      見るだけのつもりだから、
                      なんの支度もなかった。

                    じゃれ合っている数匹の中で、
                 白黒のリボンをつけたようなカオの仔猫と目があった。

                     これ、もらって帰る、と言うと、
            同行していた友人が、仔猫をつまみあげて自分のブラジャーの間にポトンと入れた。

                      猫は、それほど、小さかった。
                      家に帰って、記念撮影をしたが、
                 横においた急須と同じくらいの大きさしかなかった。

                その頃はまだジイサンでなかったうちの連れ合いは、
                      衛生清潔にうるさいひとである。
                 猫なんぞとてもウンとは言わないのはわかっていた。

                           一計を案じた。

                  テキが仕事から帰ったとき、風子は先手を打って、
                       玄関にひざまづき三つ指をついた。

                        はじめての妻の三つ指に
                     「なんだ、どうした」と度肝を抜かれている相手に、
                     「猫もらってきちゃった」と言った。

                     「なんだ、もう決めてんのか」
                    つれあいは不承不承、これを認めた。

            「ねえ、メスなの、名前はリエちゃんにしようかユカリちゃんにしようか迷ってるの」
            「猫ならタマにきまってる!」
 
                    で、タマは18年間、我が家のアイドルになった。
コメント (2)
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