母をにわか先生にしての俳句教室は、
月に一度、三人の奥さまがたが楽しみに通われてくるようになった。
相変わらずわたしと伯母は、素知らぬ顔で、母を「先生」と呼んでとぼけていた。
ある日、句会のあとのお茶の時間に、奥さまのひとりが、
「お母様やお姉さまがたと共通のご趣味がおありでよろしいですね」と言われた。
ありゃりゃである。ばればれなのに、茶番につきあってくれていたのである。
「そりゃあ、わかりますよ、みなさんよく似ておられますもの、オホホホ」
とのことであった。
やがて色づくのが楽しみな千両の実