風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

お隣り

2011-08-28 11:09:30 | ご近所
   突然大声が聞こえたような気がした。

   外は降りだした雨の音がする。声はすぐにやんだ。

   空が暗くなったので、
  さっき洗濯物は取り込んだばかりである。
  空耳だったかと、読みかけの本を再び広げた。

   と、そのとき、電話が鳴った。

   お隣りからだった。

  「雨ですよ、雨! お二階です! お二階のベランダで布団が濡れてま………」 
  最後まで聞かずに、飛び上がって二階へ上がった。

   あ~あ~ である。

   それにしても、電話を下さったお隣りの奥さんは八十半ばである。
  まだまだこうして他人のことを気遣える。
  素晴らしいなあと、布団が濡れたことよりそっちが嬉しい。