本日より「木と向き合い、木と語らう」吉田宏介・宏信 木芸展。
吉田さん親子は、親子とも日本工芸会正会員。素晴しい技術で代々受け継がれているからこそ使える銘木による木の作品。素材には下記以外にもめったに出遭えないもの多数。
神代杉(じんだいすぎ)
火山の噴火で火山灰に埋もれ、腐らずに半化石化した杉です貴重な木材です。約800~2500年程火山灰に埋もれていないと、あの色にはなりません。原木を割った瞬間は卵の黄身の色、その後、スカイブルーに変わり、一ヶ月くらいで神さびた灰緑色に変化します。急激に酸素に触れることによって、驚くべき変色を遂げるのだそうです。
太古から土に埋まっていた木を「神代木」といいます。いわゆる埋もれ木です。ふつう千年以上埋もれていたというのが目安です。
槐(えんじゅ )
イヌエンジュが正式名です。東北や北海道に多いとされます。中国原産で、仏教伝来とともに植えられたとされます。きへんに鬼と書き、魔よけになるともいわれ、愛されてきました。延寿とも書いて、長寿を祝う木とみられています。昔はタバコ盆に用いられました。ニガキと呼ばれ苦味成分があり、つぼみは漢方薬に、樹皮や葉は染料になります。
栃(とち)
挽物木地に、大変よく使われます。材そのものはやや柔らかく削りやすいのですが、白木のまま使うことはなく、漆を拭いて仕上げるのがふつうです。
栗(くり)
硬い木で、水に強く腐りにくいことから枕木などに用いられます。通常は白っぽい材ですが、神代栗は黒となります。同じブナ科のカシ類は硬くても比較的水に弱く神代もほとんど無いと言われます。
梅(うめ )
紅梅と白梅があります。紅梅の方が材の色味があり、好まれますが希少です。天神さまの彫刻の材などに特に珍重されます。ただ、桜と違い、大きな木は少なく材そのものは緻密で、木の匂いはあまりしません。茶筒や香合などに使用します。
欅(けやき)
玉杢は老木の証。樹皮をめくるとこのような凹凸(モクハナ)が現れ、板材にすると玉
杢目に。樹心に近いと消える国産針葉樹の代表が檜であるとするなら、広葉樹の代表はこの欅をおいて他にないでしょう。社寺などに用いられていることから、建材としての優秀さは疑う余地がありません。工芸用材料としては、むしろ檜よりもよく使われ、銘木の王道の風格があります
黒柿(くろがき)
木材通の間で珍重されます。白黒が絶妙な模様となる孔雀杢が最高級とされ、極めて高価に取り引きされます。割れやすいため乾燥が大変難しい材です。老木にしか現れないとされ、1万本に1本とも言われます。木の成分タンニンと土中の金属が影響して黒変するとされます。