ギャラリー三昧

ギャラリー觀
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池袋モンパルナス

2009年01月12日 | アート・文化

「池袋モンパルナス」という表現は、詩人の小熊秀雄が言い出したものとされている。昭和(1926)の始めから戦争(1945)頃まで、東京都豊島区西池袋周辺に画家、音楽家などさまざまな種類の芸術家が集い、いくつもの「アトリエ村」があり。「美術を志す人たちのために多くの貸しアトリエが建ち並び、「村」を形成した。それぞれ「すずめヶ丘」「桜ヶ丘パルテノン」などと呼ばれていた。例えば、「桜ヶ丘パルテノン」は多い時で70軒ものアトリエがあったそうで。まだ名もない若い画家や彫刻家、その他様々な芸術家が住みつき、夜な夜な池袋駅周辺の飲み屋に繰り出していた。街には芸術と猥雑の入り交じった不思議な活気が漂っていて。同時期(戦間期)、世界の芸術の中心であったパリ・モンパルナス地区にその名をあやかって「池袋モンパルナス」と名づけられた。しかし、名をなした画家が多かった本家とは違い、池袋モンパルナスは無名で貧困生活を送るバイタリティあふれる画家(や芸術家)たちの集まりであった。パリに憧れ西洋美術の影響を敏感に受け止める、当時の日本いや世界でも希な芸術の前衛の街だった。

08012009 東京といえば東京タワーに・・・。

2月24日から開催される「吉井忠展」のため池袋モンパルナスの画家。吉井忠(1908-1999)先生のお宅にお邪魔してきた。アトリエの中はほとんどご存命中のままだという事で、様々な国の人形やマスク・オブジェなどが所せましと並んでいて吉井先生の絵の世界そのものだった。吉井先生は池袋モンパルナスで寺田政明・長谷川利行・松本竣介らと交友を深めながら、時代不安を反映したシュルレアリズムの絵画を発表し、戦後は旅を繰り返し東北に生きる人々をルポルタージュ的な視点で捉えて表現した。存命中は旅の途中、当店にもよく来店されていた。この展覧会は1月24日~3月1日まで福島県立美術館吉井忠展(生誕100年特集展示)と同時開催する。

Img_6092 ギャラリーでは、19日まで版画作品を主に展示。

Img_6093 青柳守彦作「扇持ち丑」。まだまだ様々な作家の干支「丑」もあります。