●まずはぼやき
今年の年末は追いまくられているように忙しかった。したがって、ブログどころか読書も満足にできない日々が続いて、いささか欲求不満である。
それにしても、年月が経つのが早い。年賀状など、つい先日書いたばかりのような気がする。
ともかく、最低限の正月の準備をし、玄関先もそれとなく正月らしくした。
この年末、世の中ではいろいろなことがあったが、そのほとんどが「馬鹿な話」だった。そしてその「馬鹿な話」をこれでもかと伝えてくるマスコミもやっぱり「馬鹿」である。
その最たるものが、麻木、大桃、山路の三角関係(?)。
「めんどくせえなあ、どうだっていいじゃねえか」というのが率直な感想。当事者を取り囲んで根掘り葉掘り。
取材している記者だって、きっと「こんなばかばかしい取材はしたくない」と……思っていれば正常なのだが。
次が海老蔵。「喧嘩して殴られました、正月公演は見合わせます」と、それだけ伝えればいい。カミさんの麻央がどうしたこうした、海老蔵は酒癖が悪いなど、どうだっていいことだ。一般人がそんなことを知って何になる。
困ったことにそういったニュースが中心になるものだから、我々の暮らしに直接影響がある来年度予算の問題や、民主党政権の先行き、普天間基地問題などのニュースが薄くなってしまった。どっちが重要かと言えばこっちだろう。
●我が家の「ばかばかしい」ニュース
今月の半ば、忙しくて火を噴きそうなときに、中学校から電話があった。
「無量君が荒れちゃって喧嘩しまして。興奮して収まりませんので来ていただけませんか」
無量は喧嘩っ早い。小学校のときにも、体は小さいくせにしょっちゅう殴り合いの喧嘩をして、クラスメイトから恐れられていた。
小学校の先生は扱いがうまくて、適当にやらせておいて、頃合いを見計らって止めに入る。
しかし、中学の先生は生徒同士の喧嘩の扱いに慣れていないらしくて、かなり慌てている様子だ。
「大丈夫でしょう、しばらく一人にしておけば収まりますから」
そう言って、いったんは電話を切った。
ところがそれから小半時してまた電話があった。先生が4人掛かりで押さえつけているが収まらないという。
あたりまえだ。
そんなことをされたら、喧嘩相手ではなく先生に反発する。収まるわけがない。
仕方なく、引き取りにいくことにした。
我が家から中学校までは2、3分である。行ってみると体育館で大の大人4人がよってたかって小さい無量一人を押さえつけている。
「こいつら馬鹿か!」と、言わなかったが思った。
「離していいですよ」
よほど悔しかったのか、無量は固まったままだ。
落ち着かせ、教室に荷物を取りにいかせた。
担任が着いていこうとするから、「そんなことはしなくていい」と止めた。
帰り際に校長が、いかにも権威を保とうとするような口調でこんなことを言う。
「帰ったらお父さんによく説明して、明日学校に来たら担任の先生にどんな話をしたか報告するように」
「なんじゃこの校長、底抜けの馬鹿だな」と言わなかったが思った。
「いや、今日のことは今日のことでおしまいにします。明日また蒸し返すようなことはしないほうがいいですよ。明日になればけろっとしていますから」
校長は不満そうだったが、「お父さんにお任せしますが…」とぼそりと言った。
そもそも喧嘩などというものは理屈でするものではない。感情が先に立つから喧嘩になるのだ。理屈で解決できるなら喧嘩にならない。感情的な喧嘩に反省も報告も無意味だ。それぞれが成長して大人になっていくしかないのだ。
「今度喧嘩が始まったら、しばらくやらせておきなさい。武器を持ってきたり、どちらかが怪我でもしたらそのとき止めればいい」
「中学校になると体が大きいですから、大怪我になることもあるんで」と校長。
一瞬吹き出しそうになった。無量の体型は小学校の5年生程度である。どうやら、事件の当事者がとてつもない怪物に見えたらしい。
もっと笑ったことがある。
止めに入った先生を振り切って、「あいつを殺して俺も死んでやる!」と言ったらしい。これはアニメの台詞だ。
「武器を取って戻ってくる」とフェンスをよじ上ろうとしたらしい。これもアニメだ。
家に帰ってカミさんと大笑いした。
こういったことを、先生たちはリアルに受け止めてびっくりしたらしいのだ。なんと世間知らずな先生たちか。今時の中学生を指導するなら、アニメぐらい見ておくべきだ。
それから数日後、担任から電話があった。
「学校では落ち着いていますが、ご自宅ではいかがですか?」
「何の問題もありません」と言ってから、喧嘩相手よりも4人で押さえられたことの方が悔しかったということ、今度止めるなら一人でやりなさい、ということ、止めるにはタイミングがあること、などを伝えた。
警官だって、町でやくざが喧嘩をしていたら、真っ盛りのときには手出ししない。いい加減収まってどちらかが怪我をしたら、相手を傷害罪で引っ張る。そういうふうにしないと、警察官自身が怪我をするからだ。
「振り払われちゃったんです」。なぜ4人掛かりになったのか聞くとこうだ。まさに興奮している最高潮のときに止めに入ったら、簡単に振り払われた、そこで応援を呼んで止めにかかったが引きずられた。結局校長まで入って4人掛かりで取り押さえたわけだ。身長150センチ弱、体重25キロ程度の子供をである。
「あんたら、ひ弱すぎないか」と言わなかったが思った。
「今度から屈強な先生一人でお願いします」と言っておいた。
「こちらも、至らない点があったと思いますが、なにぶんよろしく」って至らない点だらけだ。
「まあ、喧嘩は仕方ありませんから、相手に怪我をさせないようなやり方を教えておきます」
一瞬絶句した先生の顔が見えないのが残念だった。
最近の子供は殴り合いの喧嘩をしない。一人っ子が多くて、親が過保護に育てるため、喧嘩の仕方がわからないのだ。だから、大人になって頭に血が上ると、すぐにナイフや金属バットを持ち出す。
喧嘩のプロ(?)は相手に致命的な打撃を与えることはしない。まず足を払って相手を倒したら、尻から下の下半身を徹底的に痛めつける。頭はもちろんのこと、胸や腹なども殴りつけたりはしない。まあ、殺意があれば別だが。
自分が殴られたことがないと、相手の痛みがわからないし、命にかかわるようなことの区別がつかない。子供にとっては喧嘩も社会勉強のうちであることを知るべきである。
●うちのカミさん、いくつだ?
話変わって、久しぶりのカミさんドジ話である。
BSでは昔懐かしい番組の再放送をよくやっている。
先日、見たい番組が終わってチャンネルをそのままにしていたら、1970年代に放送された『夜のヒットスタジオ』がはじまった。
昔アイドルに憧れていたカミさんは、歌番組が好きである。釘付けになって見ていた。
当時、我々の年代に絶大な人気があった、岡田奈々が登場した。改めて見てもかわいいが、歌は下手だった。
「今どうしてるんだろう」
「たまに、ドラマに出てるよ、お母さん役で」
「オレより十いくつ下だったかな」
「そんなことないよ、私と同じくらいだよ」
もっと若いはずだという意味に聞こえた。
ちょっと待て、なんか変だ。
「君はオレよりいくつ下だ?」
カミさんとはちょうど一回り、12歳の違いである。それって、「十いくつ」の範疇に入らないのか。
「あれ?」
自分の言っていることのおかしさに気づいたのか、カミさんはしばし笑い転げていた。
「君は自分の年をいくつだと思ってるんだ」
年を取ってしわも増えたし白髪も目立つようになったが、小柄で童顔なものだから、ちょっと目には若く見られるらしく、「30代に見られた」と言っては喜んでいる。(どう見ても、それは無理があるのだが)
きっと、自分は30代であると言い聞かせているのだろう。
それはそれでいい。
戦前に比べれば、人間年を取りにくくなっているように見える。その分、大人になるのも遅いようだが。
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