ひまわり博士のウンチク

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『日本国憲法』

2013年06月27日 | 本と雑誌
Kenpo
 出版界で憲法ものは売れないという定説がある。この、小学館発行の『日本国憲法』は例外中の例外である。
 なんと、1982年の初版から累計100万部!
 安倍政権が言い出した96条の一件から憲法が急に注目されたことで、新版の発行となった。もっともどこが変更されたのか、初版が手元にないので比較できない。
 
 どこが調べたのか忘れたが、日本国民の40パーセントが「日本国憲法」を全く読んだことがないという。あの有名な9条ですらである。本当だろうか。さらに、憲法改定推進派の70パーセントが、この薄い冊子レベルの憲法の全体に目を通したことがないそうだ。まあ、これは護憲派も同じだと思うが、この本の帯にある「読んでから考えませんか?」というキャッチコピーはまさにその通りだと思う。
 たしかに、憲法の条文は難解である。ゆとり世代には単語の意味すらわからず、チンプンカンプンかもしれない。しかし、この『日本国憲法』はわかりにくい単語を懇切丁寧に抜き出し、国語大辞典から引用して脚注にしてある。
 さらに、憲法の条文とカラー写真が、1見開きごと交互に構成されている。つまり、憲法と何らかの意味で関連する写真が全体の半分を占めているのだ。
 
 たとえば、こんな写真があった。これが憲法とどんな意味があるんだ、「写楽」編集部の編集だと知って遊びが過ぎると思ったら、ちゃんと意味があった。
 
Famirynude
 
 この家族の父親の生まれ年が昭和22年、日本国憲法が施行された年である。だからってファミリーヌードはないだろうが、売り上げには貢献しているはずだ。この写真だけでたぶん、何千部か実売部数を稼いでいると思う。さすが「写楽」。
 中にはまったく関連性がなさそうな写真もあるのだが、見ているうちに強引にでも意味を導き出そうとする自分がいた。完全にはめられた。
 定価525円(税込)。一家に一冊あってよいのではないだろうか。
 
 本当に変える必要があるのかどうか、きちんと読んでから判断すべきである。憲法とは、政治家が暴走しないように歯止めをかけるためにあるのだが、権力をもつ人間にとっては都合が悪いらしい。だから、様々な理由をつけて、都合のいいように憲法を変えようとする。もってのほかである。
 「GHQによる押しつけ憲法だから」など、改定する理由にならない。押しつけであろうがなかろうが、よいものはよい。
 「9条は、国際社会で通用しない」とは、世界中から戦争がなくなったら儲からなくなる人間が言うことだ。9条のおかげで、日本は戦後戦争をせずにいられた。一人の戦死者も出さずにいられた。そのことを忘れてはならない。
 自民党は「象徴天皇」を「元首」にするという。元首天皇の名のもとに行われた戦争で、200万人の日本人が落とさなくてもいい命を落としている。そのことを忘れてはならない。
 



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
子どもたちが小学生の頃、家で話したことがありま... (みどり)
2013-06-27 10:13:00
子どもたちが小学生の頃、家で話したことがありました。「子どもが学ぶのは義務なんかじゃないよ」私が言うと驚く彼ら。「だって義務教育というじゃない?」それは、学び育つ子どもの権利を保障するという大人の義務だと説明すると、びっくりしながら嬉しそうでした。

思えば私たち、小さい時から権利にうとい状態で育っているのかもしれませんね。憲法や人権を身近に感じないでいる社会。歴史的にそういう蓄積が少ないのかもしれないですが。

私の悪い性格で、小学舘とか大手のものはあまり手に取らずにいました。でも、今日はお休みだし本探しに行ってみよう。
みどりさん (ひまわり博士)
2013-06-27 13:33:55
みどりさん

義務と権利の関係をギブ・アンド・テイクであると思っている人もかなり多いですね。義務を果たさなければ権利は主張できないと。
だとすると、何らかの理由で義務を果たせない人は、生きる権利すらないのかということになります。
「働かざる者は食うべからず」という言葉を、誤って使う人は、よい例です。
義務教育は、子どもにとっては権利であり、国にとっては義務ですね。憲法は国家に対する国民の命令ですから。

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