ひまわり博士のウンチク

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嗚呼『プリンセス・トヨトミ』

2011年06月27日 | 映画
Toyotomi1
 
 家族で行こうということになっていたものだから、全員のスケジュールが、とくに学校イベントの好きなカミさんとのスケジュールがあわずに、打ち切りすれすれの週になってしまった。
 
 友人のSさんがブログでぼろくそ言っていたので、「いや、そんなことはない、絶対元をとってやる」と意気込んで観に行ったのだが、どうやら今週でほとんどの上映館が打ち切り。なんか嫌な予感がした。
 
 ならば、どうせすいているだろうと、新宿ピカデリーに上映時間の40分ほど前に着く。
 ところが、メッセージボードの目的の上映時間には「×」がつけられ、すでに満席。
 この日はテレビドラマ『JIN-仁-』の最終回があり、どうしても9時前には帰りたかったので、「◎」がついている最終回は無理。一応録画は仕掛けてきたものの、リアルタイムで見たいじゃないですか、あれは。
 
 あわてて、別の上映館、新宿バルト9に移動。
 「ピカデリーが満席だったらバルト9は絶対無理だよ」とカミさんが言うのを「行ってみなきゃわかんないじゃない」と長女に押されて、急ぎ足で新宿三丁目に向かう。
 すると、メッセージボードに「18」とあり、18席空きがあるという意味だ。
 席はばらばらになったけど、とりあえず、観られた。
 今週で打ち切られるのに、なんでこんなに満員なのか訳が分からない。
 
 で、感想。
 
 Sさんの評価は当たってた。「読んでから観たのが失敗だった」と言っていたが、読む前に観ても、やっぱりダメだった。
 最初は「会計検査院」の隠し財産摘発物語に見えた。偽の従業員を仕込んで人件費をごまかす手口など、高木彬光の『白昼の死角』を思わせるスリリングな導入に、つい期待してしまったら、それはなんとなく尻切れとんぼで消滅。
 さまざまな大仕掛けが、大阪独立にあるというのだが、その根拠がわからない。
 沖縄が独立するなら根拠は明白だが。
 豊臣家の末裔(王女)と言われる少女は、自分ではそれを知らず、ただ乱暴な少女で、その割には活躍しない。金属バットを背負っているので、『シャングリ・ラ』の北条國子みたいにやくざ相手に大活躍するのかと思ったら、十分な活躍の場を与えられないまま、「終了!」。
 原作では少女の、性同一障害と思える少年も、果たしてその必要があったのか不明だし、王女とされる少女との関係もうやむやなまま。
 ようするにすべてが中途半端なのだ。
 
 会計検査院の調査官の一人、綾瀬はるかが顔に似合わぬ結構な巨乳で、ゆさゆさ走ったり、たこ焼きを落としたときの表情が可愛かったので、差し引きゼロとはいかないけれど、まあ、救われた。
 
 いずれ、気をとりなおして万城目学の「最高傑作」(若い作家なのに評価が早すぎると思うが)と言われる原作を、いずれ読んでみたい。一応単行本が手元にあるが、この映画を見せられたあとではいささか手に取り難い。

 ところで、トヨトミのシンボルとして瓢?が登場する。大阪国民決起の印でもある。
 豊臣秀吉の馬印が「千成瓢?」だからだ。
 なんと、カミさんも長女もなぜ瓢?なのかわからないという。
 そうか、最近の若者(カミさんは若者ではないが)は『太閤記』など読まないのだ。だから知らない。
 
 ここでちょっと解説しておこう。
 豊臣秀吉は、馬印として瓢?を用いた。
 「馬印」というのは、武将が自分の位置を知らしめるために、自分のいるそばに立てる。火消の纏(まとい)はこれが起源だ。
 織田信長の配下にいた秀吉は、戦で味方を招き入れる合図に棒の先にくくりつけた瓢?を使っていた。瓢?は当時、酒を入れる目的で広く使われていた。
 信長は秀吉を一人前の武将と見なしたとき、その瓢?を「馬印にするとよい」と、秀吉に馬印を用いることを許した。
 そこで秀吉は瓢?を馬印とし、戦果を挙げるたびに瓢?の数を増やしていった。
 やがて、秀吉の馬印の瓢?は鈴なりになり、「千成瓢?」となったのだ。

 Umajirushi
 
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2 コメント

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ぼろくそ言ってぼろくそに反論されたらどうしよう... (齊藤)
2011-06-27 22:45:36
ぼろくそ言ってぼろくそに反論されたらどうしようと戦々恐々としておりましたが、安心しました(笑)。たしかにすべてが中途半端。綾瀬はるかの件は激しく同意します。
返信する
斎藤さん (ひまわり博士)
2011-06-27 23:04:44
斎藤さん

同意ありがとうございます。
意見が合ってうれしいです。

直後に完成度の高い「JIN-じん-」の最終回など見ちゃったもので、つい比較してしまいました。
返信する

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