monologue
夜明けに向けて
 



1963年(昭和38年)、京都市立塔南高等学校に入学した1年生の時、担任の英語教師、曽我先生が英語の教科書をクラスの生徒に順番にあてて朗読させている時、あてられたわたしが立って「When spring comes,it becomes warmer and warmer」と読み始めると先生は「ええ声やなあ!」と感心したように声を挙げた。それから毎回わたしにあてるたびに曽我先生は「ええ声やなあ!」と言い、わたしがテキストを読んでいる間、クラスはコンサートのようになって変な気がした。歌を歌うわけではなくただテキストの文章を語るだけだったけれど…。その頃わたしは洋楽ポップスに目覚めキャッシュボックス誌のチャートをチェックしはじめた。すると翌年、昭和39年、西部劇ドラマ「ボナンザ」の一家の父親役 Lorne Greene(ローン・グリーン) の曲「Ringo (リンゴー)」が米国ヒットチャート1位になった。それは映画「駅馬車」の主役の脱獄犯リンゴキッド(ジョニー・リンゴ)が背中から撃たれたのを介抱して東西に別れたが治ってから西で無法を働くリンゴキッドを保安官として民兵隊と追うと命の恩人である友が逃げ道を塞いでいるのに気付いたキッドは逃げず通りの中央でみんなに射殺された、という物語をローン・グリーンが語る曲だった。それで、米国にはspokenという「語り」のジャンルがあることを知り、ローン・グリーンのマネをして稽古した。どうやら、あの1年生の時のテキスト語りはspokenだったらしい。
fumio

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