monologue
夜明けに向けて
 



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ゆうべに辿る道は険しかろうと 朝露の道は輝いているだろう
砂浜は波に洗われ洗われ 其方達の足跡を残すことは無い
過ぎ行く時の しじまを縫って帆掛け舟は出て行く
時と時との間にある にかわを溶かす者は何処に眠っているか

耶麻女(ヤマメ)の走る先 清き流れの元となる所
総ての雪の生まれる所、馨しき香の流れる所

音で辿れ あまねく人々の耳に快い音で
それは 葉ずれの音
それは 波打ち際の音
それは 深山の音

ようやくにして 心と心の音の解る人々が生まれてきたことよ
黄金のサキツチの世に、虐げられるもののあることを許すまじ
闇の世 永くは栄えぬことよ
そは すべからくアジナの主の言う通り

メの神の世には 光 未だ齢(ヨワイ)を持たず
今 しばらくの時を待つべし

---カリカラの明王

「光の黙示録」より


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  それではいよいよこれまで難解過ぎて採り上げることができなかった「光の黙示録」の詩編を選んでまず手始めにこの章を俎上に乗せよう。

「時と時との間にある にかわを溶かす者は何処に眠っているか」

「にかわ」とはくっつけるものだが、弥生時代「に」飛鳥時代「は」など「に」か「わ」で時代をつないでいる。

「時と時と」の間にあるものは二回使用して強調している「と」つまり「戸」が「にかわ」になっていて「時」をくっつけてはいるが、実はへだてているらしい。戸で隔てられた時は澱み腐敗する。その「にかわ」を溶かせば時は正しく流れるのだろう。「にかわ」を溶かす者は何処に眠っているか?


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