monologue
夜明けに向けて
 



ロサンジェルス動物園といっても柵や囲いの中で飼われている動物たちは日本の動物園で見る動物たちと変わりがなくあまり生き生きとして見えかった。わたしは広い囲いのスペースで悠然と向こうを向いている犀(サイ)に大声で「サイ!」と呼びかけた、するとサイはビクッと反応した。あまり声などかけられたことなどなかったのだろう。驚いたのか。その反応が面白かったので何ヶ月かして次に訪れた時同じサイに同じ迫力で声をかけた。しかしその時はなにも反応しなかった。初めてではないから慣れたのでまたあいつかとと知らん顔したのかもしれない。ちょっとがっかりした。

 多くの動物を見てまわって息子が一番興味を惹かれたのはモグラだった。町の中では土はアスファルトで覆われているので目にすることがないモグラがここではこんにちはとばかりに土から顔を出してくるのだ。不思議そうに対面していた。モグラたちにとっても人類にとっても顔をだして息ができる環境はどんどん減って生きてゆきにくい時代になってしまった。
fumio

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