monologue
夜明けに向けて
 



  ロサンジェルスで出会い結婚して息子ができたわたしたち一家はエディ・辻本という日系人夫妻の大家さんの庭の裏家を借りて住んだ。そこの庭には太郎という名のダックスフンドがいた。のちに大家さんは白と黒の混じった中型の雑種の子をもらってきて次郎と名付けて一緒に飼った。海外でも日本人の犬の名前はタロー、ジローが多いようだ。庭に入る扉を開けるとタローは待っていたようにわたしの足元を抜けて舗道に駆け出した。背が低いので捕まえにくい。しばらく追いかけてつかまえると持ち上げて庭に入れるのが日課のようだった。ジローはそれを見ていてわたしを怖れた。わたしが姿をみせると隠れるのだ。犬もそれぞれ性質が違っていて面白い。そして元気だったタローが15才を過ぎて老いのためにあまり動けなくなってくると大家さんは見かねて獣医に頼んで注射で逝かせることを決断した。
fumio

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