monologue
夜明けに向けて
 

世襲  


 ポスはドッグショーのグレートピレネーズ犬部門で何回か優勝してグランドチャンピオンということになった。プロのブリーダーに頼んで子供を作ろうとしたのだが相手の雌のピレニアンマウンテンドッグとの種付けがうまくゆかず結局、子供はできなかった。残念ながらポスは子孫を遺すことができなかったのである。

 手乗りセキセイインコのオスにはセイタロウ、メスにはセイコと名付けていたのだがセキセイインコは子供が多くて一回の出産で十羽近く生まれた。それでも中には羽が生えないまま死んでしまうものもいた。そして元気に成鳥になった家族のその中で特に人に親しく狎れやすいものがセイタロウ、セイコの名前を継いだ。世襲というか、何代経っても手乗りインコの名前はセイタロウだった。なにか伝統芸能の世界と似ているような…。
fumio


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