monologue
夜明けに向けて
 



将棋に棋聖戦というタイトル戦がある。以前は年に2回行われ、その第46期棋聖戦五番勝負が1985年の前期として将棋公式戦海外タイトル戦の触れ込みでロサンジェルスで開催された。それは米長邦雄棋聖に 勝浦修八段が挑戦する五番勝負の一局だった。

 わたしは前年に現地の将棋クラブの会長をしていた関係で普及にまわるプロ棋士の通訳など様々な面で協力した。そして前夜祭では当時レコーディング中の「LAレィンボウ」 のカセットテープを米長棋聖に渡したり、大挙してやってきた日本のアマチュア将棋ファン全員にカリフォルニアみやげとしてシングルレコード「カリフォルニア・サンシャイン」を配ったりした。
 
 対局場は「ロス疑惑」と呼ばれる三浦事件で有名になった「ホテル・ニュー・オオタニ」だった。わたしはその階下の紀伊国屋書店でいつも日本書籍を購買していたのでなじみの場所だった。その近くでまだ元気だった大山康晴十五世名人のせかせかした歩き姿を目にできてうれしかた。プロのタイトル戦の真剣な対局姿を数分間ずつ順番に見せてもらって局面をプロも交えてみんなで研究するのが実に楽しかった。米長邦雄棋聖が負けて取材にきた現地の新聞社の記者に敗因などを英語で説明するのだがプロの将棋はむづかしくてわたし自身がよくわからないので困ったものだ。
fumio

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