monologue
夜明けに向けて
 



 人はその人生で自分の生活する地域で何度ぐらいイベントを経験するのだろう。わたしの場合は渡米する前に働いていた会社の隣の茨木市で大阪万国博が開催されたのでよく見に行った。岡本太郎が製作した「太陽の塔」の不思議な形と、とにかくジェットコースターが強烈で振り落とされそうでこわかった印象が今も心に残っている。後年米国で乗ったマジックマウンテン、ナッツベリー・ファーム、ディズニーランドのローラーコースターは万博会場のものよりずっと穏やかだった。

 渡米してからはアルバム「カリフォルニア・サンシャイン」の製作中にロサンジェルスオリンピックがあった。印象に残ったのは最終日のマラソンと大会の最後を飾る花火大会だった、日本から花火職人が招かれて打ち上げているという。一番見やすいスタジアム近くの一角に多くの市民が集まって歓声をあげた。それは幼い頃の嵐山の花火大会の記憶に重なりアルバムの一曲 「打ち上げ花火」に結晶した。このヴィデオはうつろいゆく記憶の断片のゆらぎを表現して映像も音もゆらいでいる。

 「万国博」、そしてロサンジェルスコンヴェンションセンターでの「ジャパン・フェスティバル」と「オリンピック」、「将棋のタイトル戦」と、わたしの身の回りで起こったどのイベントもわたしに日本人としての自分のアイデンティティーを確認させるようなイベントだったのである。
fumio



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