Fさんの日々の記録と山歩き

 山歩きが生き甲斐の団塊世代オッサン、ある事無い事日々感ずるままに綴っていこうと思います。

日本三百名山回顧№128富山・長野県境、針ノ木岳(2百名山)

2024年06月22日 | 三百名山回顧

  黒部アルペンルートの玄関口、扇沢駅の奥に聳える針ノ木岳は、日本三大雪渓の一つ、針ノ木大雪渓を懐に抱く後立山連峰南部の鋭峰です。しかし前面に聳える蓮華岳が邪魔をして安曇野の里からその姿を見る事はできず、名峰揃いの北アルプスに在っては今一つ地味な存在の山です。

 そんな針ノ木岳へ最初に登ったのは昭和54年9月末でした。この時は単独で唐松岳から後立山連峰を縦走し、最後に針ノ木岳を登って扇沢へと下山しました。今から約半世紀前の山行なので殆ど記憶は残ってないが、種池山荘で山岳写真家の白旗史郎氏とお会いした事や、残雪の無い針ノ木雪渓で猿の大群と遭遇した事が薄っすら思い出されます。

昭和54年9月30日

種池山荘→ 赤沢岳→ 針ノ木岳→ 針ノ木峠→ 扇沢

赤沢岳山頂

針ノ木岳山頂

針ノ木雪渓の降り

 

 2度目は平成4年9月中旬に、妻と二人で扇沢からを針ノ木雪渓を登って針ノ木岳の山頂を踏みました。この時はテント泊で、その後蓮華岳~北葛岳~七倉岳と縦走したのですが、妻は今でもこの時の山行は厳しくて足が攣りそうだったと言っています。

平成4年9月12日

扇沢→ 針ノ木峠→ 針ノ木岳→ 針ノ木峠(テント泊)

針ノ木雪渓(残雪が殆ど無い)の登り

針ノ木雪渓を上から見下ろす

針ノ木岳山頂

山頂からスバリ岳方面

 

 3度目は平成25年8月初旬に、再び妻と二人テント泊で針ノ木岳を登りました。この時は爺ヶ岳まで縦走する計画だったが、雨に降られて針ノ木岳の山頂を踏んだだけで扇沢へ下山しました。私の古いブログに当時の記録が載っていたので、下記に転載してみます。

平成25年8月3日(土)    天気=曇り時々晴れ

05:35扇沢無料駐車場→ 07:00~05大沢小屋→ 07:43~53針ノ木雪渓末端→ 09:04マヤクボ沢出合下→ 09:58針ノ木小屋→ 10:18~1106テント場→ 11:51~12:05蓮華岳→ 12:36針ノ木峠テント場

 黒部アルペンルートの玄関口である扇沢の無料駐車場は、土日にはAM3時で満車になるとのネット情報を見て昨日夕刻に到着した。ネット情報は正しく既に8割方スペースが埋まっており、AM4時に目覚めると広い駐車場は満杯で行き場を失った車が場内をクルクル回っていた。

 簡単に朝食を済ましAM5時半出発する。2日分の食糧と幕営具を背負ったザックがズシリと重い。久しぶりに重荷だが妻は意外と元気が良い。数カ所の沢を渡り1時間半で大沢小屋に着く。

途中の沢に架かる仮橋(ミニ鯉のぼりは目印)

 小屋の管理人さんに針ノ木雪渓の状態を確認すると「アイゼンが無ければ登り降りに苦労する。」と言うので4本爪軽アイゼンをレンタル(1組500円)する。

 大沢小屋から雪渓までの間は、不規則な石が多く、急な斜面のトラバース個所も幾つかあって重荷を背負っている事もありけっこう苦労させられた。小屋から40分程で雪渓末端に着いた。

針ノ木雪渓が見えてきた。

 針ノ木雪渓は白馬、剣沢と共に日本三大雪渓の一つで、スケールこそ両者に譲るものの雄大な眺めは北アルプスでしか見る事ができない。先行する登山者の姿が真っ白な雪渓にゴマをまぶしたように見える。

雪渓を登って行く。

 軽アイゼンを装着して登って行く。冷気が雪渓上を覆い、強力なエアコンの中を行くようで心地よい。1.5キロの雪渓の道は、中程で傾斜を強めマヤクボ沢が分岐する辺りで終わる。此処からアイゼンを外して夏道を登って行く。

雪渓上で一休み

 この頃から疲れが出たようで妻の歩みが遅くなる。私は「ゆっくりゆっくりでイイからネ。」と声を掛け、最後の水場で3ℓ水を確保すると針ノ木峠へ向けて先行する。

雪渓上部から爺ヶ岳方面

 AM10時前、峠にある針ノ木小屋に到着、さっそくテントの受付を済ます。此処のテント場は狭いので週末は午前中で満杯になると聞いていた。取合えず場所を確保出来てホッとした。妻も少々遅れたものの笑顔で峠に着いた。

針ノ木峠

針ノ木峠テント場

 

8月4日(日)   天気=雨後曇り

07:33針ノ木峠テント場→ 08:17~20針ノ木岳→ 08:56~0923針ノ木峠テント場→ 10:00~18マヤクボ沢下→ 10:56~11:06針ノ木雪渓末端→ 11:41~54大沢小屋→ 13:00扇沢無料駐車場

 AM4時前テントから顔を出すと山々は灰色の雲にドップリ覆われていた。朝食の最中には本降りの雨に変わった。今日は種池山荘のテント場まで行く予定だったが、先日の韓国人登山者遭難の例もあり、雨天の縦走は厳しいので天気の様子をみる。

 しかし7時を過ぎても雨は止まない。縦走を諦め針ノ木岳のみ往復して昨日の道を下山する事にした。雨具に身を固め軽装で針ノ木岳へ向かう。山頂へは岩屑の急登が続く。色とりどりの高山植物が道沿いにヒッソリと群れ咲いている。

登山道から針ノ木小屋とテント場

 幾人かの登山者とすれ違いながら約40分程で針ノ木岳(2821m)に着いた。むろん山頂は乳白色のガスに覆われ何の展望も無い。居合わせた単独の男性に記念の写真を撮ってもらい早々に山頂を辞す。

針ノ木岳山頂

 下山の道も幾人かの人とすれ違う。中にはこの雨の中縦走するパーティもいる。峠に戻ると雨に濡れたテントを撤収し、小屋でアイゼンを借り受けると重い装備を背に扇沢に向け下山を始める。

 計画を断念するのは、敗走する兵士のような気分で背中のザックがやけに重く感ずる。マヤクボ沢下でアイゼンを装着し雪渓を降るが、軽アイゼンはすぐに雪団子状態になり爪が雪面に刺さらずあまり効果が無い。それでも無いよりはマシなので雪団子をストックで落としながら降る。

下山時の雪渓

 広い雪渓は登って来る人も多い。中には全員ヘルメットを被った二十数名の集団が整然と列をなして山岳兵の行軍のようだ。雪渓末端まで降ってアイゼンを外し、来た道を振り仰ぐと峰々は雲に覆われているが、時折稜線が垣間見える。天気は回復に向かっているようだ。

 雪渓が終えても雨に濡れた道は歩き難く下山の脚は重い。大沢小屋に着きホッと一安心、アイゼンを返却し軽く食事を済ました後、扇沢へと降って行く。里が近づくにつれ陽が差し気温も上がってくる。やがて車道と交差するようになると登山口も間近、PM1時に扇沢に着いた。

 今までの静寂が嘘のように扇沢は観光客で大賑わい、有料駐車場は順番待ちの長い車列が出来ている。車に戻ると大町温泉郷の上原の湯へ向かう。此処は地元の人向けの温泉で、施設も簡潔で綺麗、料金もリーズナブルとても気に入った。

 温泉で山の汗を流したら気分もリフレッシュ、山の先輩 I さんが避暑を兼ねて先日から大町近郊の別荘に滞在して居るので風呂上りに電話したら、「今日、碁の大会で大町市内にいるけど、今からそっちに行くよ。」との返事。

 10分程でやって来たIさんとは一か月余ぶりの再会、暑さ知らずの緑深い別荘で夏を過ごす先輩は、先週からカムチャッカ半島観光&長岡の花火見物そして碁三昧、年金世代の範となるような気忙しくも優雅な日々で一寸羨ましくなる。

 地元に詳しいIさんの案内で大町市美麻地区にある「山品」という蕎麦屋を訪れ一緒に食事する。有名人も多く訪れるというこの蕎麦屋さん、味よく料金も安くて感じの良いお店だった。

 I さんとは此処で別れ帰宅の途につく。上信道、更埴ICから高速に乗り我が家へ向かう途中道路情報を聞くと、日曜日の今日「高坂SAから上里SAまで35キロの渋滞」と報じている。そう言えば先週の日曜日に浅間山から帰る途中も同じ事を言っていた。幸い関越道、本庄児玉ICまでさしたる渋滞も無く、そこから一般道を走ってPM8時頃我が家へ戻る事ができた。

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