80ばあちゃんの戯言

聞いてほしくて

家具と私(47)特技(?)

2011-03-03 00:32:00 | 家具
 初めて家事机をデパートの展示会に出せてから三日目に母がなくなって

其の遺品を整理したり、お香典のお返しに一ヶ月ぐらいかかってしまった

が、ある日、デパートへ出かけて行った時に一滴の下血があった。

翌日婦人科で、検診を受けたら、子宮筋腫で、拳骨の大きさになっている

から、手術してとりましょうと言われたのである。そう急ぐこともないと

いうので、夫や息子たちが夏休みに入る時がいいということになって、

其の年の7月25日に入院した。

 夫や息子たちがとっても一生懸命働いてくれて、何の心配もなく十日間

の入院生活を終えて帰ってきたのだが、先生のお話では

 ”卵巣に水が入っていましたから、それも一緒にとっておきました。”

と言う事であったが、卵巣がないとなると、女性ホルモンが出なくなるの

で、体中が痒くなったり、体が硬くなって、急に体を動かすことができ

なくなったり、急に汗がどっと出たりするのであった。

たとえば、電車に乗って、次に降りようとする時に、早めに立ち上がって

おかないと降りそびれてしまうのだ。

体の痒みと一口で言っても、生易しい痒みではないので、人様とお話させ

ていただいているときが一番辛かった。 必死で太股に爪をたてるような

ことをしたり、体のどこかをつねってみたり、それでもこらえるのが

やっとであった。

 そんなときに、東京のデパートに呼び出され、家事机の件で近くの

デパートに出し抜かれてしまったのは、彼らが油断していて、他ではでき

ないだろうと高を括っていたからであったのだが、それをやつあたりされ

て、悔しい思いをして帰ってきたのだったが、其の帰りに伊勢原の工場へ

寄らなければならなかったので、小田急線に乗った。

其の時、猛烈な痒みが襲ってきて、本当に電車の中の方々がびっくり

されているようだったが、もう太股やあちこちきつくつねっても、どうに

もならないほど苦しんでいたが、それでも伊勢原の工場へ行ったら、社長

のご機嫌が悪くて、まったく理不尽な言い方で私に頭から怒鳴り散らし

たのである。

普通の人間なら、相手のアイデアで仕事をして成功したら、丁寧にもてな

すはずだと思うのだが、社長もデザイナーで家具を考える方の人であった

ので、私の家具がそれほど、爆発的に売れたので、やきもちを妬いたのだ

と後で課長さんが言い訳をされていたが、私は体中が、それまでに体験し

たことがないほどかっかしていた。

 私は外でどんな辛いことがあっても家に持ち帰ることはなかったが、

其の日は自信がなかったので、どこかで発散していこうと考えて小田急線

の終点藤沢駅に着いた時に近くのデパートの5階にあったゲームセンターに

立ち寄ることにしたのである。 それまでゲームセンターなどへ一度も足を

運ぶ暇などなどなかったのだが、通りがかりにチラッと見ていた”鰐たたき”

をやってみようと思い立ったのだ。

 夕方の5時半を少し回っていた頃だったが、ゲームセンターには殆ど人が

いなかった。

 私は百円玉を入れて出てくる鰐を一匹も逃さず叩いていった。

 ”わあ、おぬしやるなあ。もうゆるさないぞ。”と機械が言って

 今度は矢継ぎ早に鰐が出てくるようになった。

 私が必死で叩いていたら、本日の最高点と出た。

と、そろそろ会場を片付け始めていた係員の男の人が、何時の間にか

私の傍へ来られていて腕を組みながら見ていたのだが

 "奥さん、すごいですな。 男だって、なかなかこうは行きませんよ。

 たいしたものだ。”と、言われたのである。

 私は思わず苦笑してしまった。 ただ、腹だち紛れに鰐さんには何の罪

 もないのに叩きまくったのだから。 (笑い)

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