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80ばあちゃんの戯言

聞いてほしくて

家具と私(15)

2010-07-05 15:04:00 | 家具
 或る日、私は意を決して夫や子供たちの前に予てから思っていた

家事机の商品化の話を持ち出した。

 夫と長男はは即座に反対を唱えたが、次男は

 ”僕はお母さんが一生懸命やっているのだからやらせてあげてもいい

  と思うよ。”と言ったのである。

 私は家事机の説明をして、私がこれだけ便利になったし家の中も片づ

 いたのだから、狭い住宅で苦労されている全国の団地の主婦たちは

 喜んでくれると思うわ。それに、ミシンが簡単に使いやすくなった事で

 お母さんの手作りで喜んでくれるお子さんが増え、それが いい親子

 関係をつくってくれると思う。

 私は発明展でお金を掛けすぎて損をしている人たちを大勢見ているから、

 いきなり大金を賭けるような馬鹿な真似はしないわよ。そんなお金も

 ないし。

 あちこち実用化をしてくれそうなところを探してみるからと言った。

 
 すったもんだの末、夫の許可が出た。

 
それから、私は毎日計画を練っていった。

 まづ、どういう風に先方さんの会社にアプローチをしたらいいのだろうか?


 それまで、外国の会社ばかりで日本の会社に一度も勤めた事がなかった私

 だったので、日本の会社の様子が全くわからなかった。

 どういう風にしたらいいのだろうかと毎日悩んでいた。

 一番下の弟が、

 ”日本の会社では名刺がものをいう事が多いから、誰かに紹介状を書いて

 もらうのがいいと思う。”とアドバイスをしてくれていた。

 でも、私が考えたのは、出来るだけ他人様にご迷惑をかけないでやろうと

 言う事だった。

 と言うのは、其の少し前に友達に話をしたら、


 ”今度女学校の友達が何人か集まるので、あなたもいらっしゃいよ。

  デパートへ婦人服を作って入れている人が女学校のクラスメイトに

  いるから、話をしてみたら。”とご親切に言ってくれたのである。

 ところが、其の日、其の女性は私が小学校のサマースクールで一緒で、

 私の斜め後ろで、お互いに楽しくやっていた人だったのにもかかわらず、

 間に立ってくれた友達の言葉にも全く耳を貸してはくれず、こちらを

 見向きもしなかったのである。

 其の時、私は考えた。

 デパートへ商品を出すと言う事がどんなに大変な事なのかと思ったし、

 彼女の家は資産家だから、お金がたくさん掛かったのかもしれない

 無言のうちにあなたにはとても無理でしょう。やめときなさいよ。と

 言っているのかもしれないと思ったのである。

 だから、私は決心した。

 今後は一切他人の力に頼るまいと思ったのである。もし他人さんのお蔭で

 何かが出来たとしても、その人に一生頭が上がらない。そればかりでなく、

 もし商品化しても、何かまづいことが起これば間に立ってくれた方に

 迷惑が掛かってしまうし、私の家具は大きいものだから、そう簡単に

 商品化は決まらないと思った。

 間に入っていただく方にちゃんとものが言えない関係だったりしたり

 変な思惑があったら、ことは決してうまくいかないだろうと考え、

 例えどんな苦労があっても一人でやり抜こうと決心したのである。

 (つづく)

家具と私(14)

2010-06-28 14:59:12 | 家具
 昭和43年「1968年)から取り掛かっていた家事机。

労働大臣賞をいただいてから、更にいろいろと検討を加えて

夫の許可を得て、木工所でつくってもらっていた本体が出来上がっ

たのが、昭和45年「1970年)12月29日であった。

それ以外の引き出しの中のトレーだとか、中仕切りや、アイロン台を

兼ねた椅子にもなる部分とか鏡を取り付け、自分で本体と全く同じ色

に仕上げたのが完成したのは翌年昭和46年4月であった。

自分の家の中にあちこち収納されていた、あるいは収納しきれずにいた

私のものが、すべてこの家具一台に収まってしまって家の中が広くなっ

た気がしたものであった。

 左側の写真はカーテンを取り付ける前のもので右側のものは、中に収納

していた椅子を手前に出してある。

家が狭いので、思うような写真が取れず、手前に置いた夫の机の角が右端下

に茶色く写ってしまっている。

まづ左側の写真の上の方からご説明すると、一番上は上置きで、本体とは

別作りである。この中にはほぼ真ん中に縦に仕切りがあり、左右に

棚板が左に一枚、右に二枚着いていて、買い置きの布や毛糸など箱に入れて

収納されている。

本体の上部にはライトが付き、右に見える本棚は置く側と手前の前後に二側

並べに本を入れることが出来る。奥側に入れる本は、なるべく背の高い本を、

手前には低めのものを並べれば本の背表紙の頭が見えて後ろに何があるかが

わかるわけ。

引き出しは上から、薬品類、ちょっとした大工道具、化粧品類等が入れてあり

この写真では鏡が見えていないが、ミシンの上手前にかけて左側の板にとりつ

けたりはずしたりできるような金具で取り付けしたので、鏡をはずして立て

かければ全身が見える仕組みであるので、この家事机で自分の衣服を縫って

着て、見ることが出来るし、化粧品の引き出しがあるので、これで鏡台代わり

となる。鏡の角度は変えられる。

ミシンは下に載せる台板を作り、板の裏側には敷居すべりを取り付けてあるので、

重たいミシンが軽く取り出せたり、しまえたりする。

又ミシン台の下側には穴が開いているので、カーテンのような大きいものを

縫った場合には縫っていくうちに後ろの穴の中へ縫ったものが入っていくので、

ふわっとなって、下の板の上まで「約10センチ)しか落ちないので、家具が

なくてミシンの下の方まで布が落ちていくと、布の重みが掛かって、ひっぱら

れて縫いにくかったのであるが、それがなくなった。

机の面になる部分の手前には補助版が出るようにしてあるのだが、其の中には

編み機を収納でき、取り出せば取り付けて編むことが出来る。

下の大きい収納棚には椅子や、掃除機、カールセットなども入れられる。椅子の

上部はひっくり返せばアイロン台になる。又中にはアイロンがけを必要とする

衣類やクロースが入っている。

右下の上の引き出しにはトレーが二つ中に入っており、左右に摺動させて使える

が、三段に入れられるし、大きいものは立てて、端に入れておける。

大きいはさみなどは何もも仕切りのない上の浅いトレーに、小物はそれより少し

深めにしたトレーの取り外しも出来る仕切りを利用してきちんと整理できる。

取り外す事も簡単で、引き出しをあけただけでお裁縫箱になるので、ミシンを手前

に引き出せば、そこで、ミシンがかけられ、ミシンを奥に入れれば、小さいもの

など待ち針を打ったり、標しつけなども出来る。

右の一番下の深い引き出しにはアイロンやのり、霧吹き、たこ、などが入れられて

いる。

カーテンは例えば、何かを遣り掛けでやめなければならない時に出来れば扉の中に

入れてしまいたかったのだが、それではお値段的に高くなると思ったので、カーテ

ンをつけたらどんな具合だろうかと思ったのである。


家具と私(13)

2010-02-10 18:09:43 | 家具
 鏡のサイズについては、ずいぶん考えたが、取り外すことを考えて

いたので、あまり重い物では面倒になりやすいので、最低の幅で、

高さもなるべく低くして、なお、かつ、縫った物を着てみたとき

に全身が見えるようにしたかったので、いろいろ実験してみて大きさ

を決めたのである。

鏡の厚さは3ミリからあったが、3ミリでは時には顔がゆがむかもしれ

ないという話だったので、5ミリの物を選んだ。

それを希望のサイズに切ってもらい一枚買って木工所へ持って行き、

額縁を取り付けてもらったら、角が四角いものができ上がってきた。

家で自分で鏡の縁周りを削り、やすりや、サンドペーパーをかけて

綺麗に仕上げた後、塗装屋さんへ、ペンキの色をどのようにして作る

のか習いに行った。

近頃では薄いクリームでも何でもいろいろと混ぜたものが何種類も

売っているのだが、その頃にはベースになる色しかなかったので、

その混ぜ方を教えてもらいに行ったのだ。

薄いクリーム色にするには白、黒、茶色、黄色と赤を少々と言わ

れたように記憶しているのだが、とにかく白と黄色だけではクリーム

色にならないことを教えてくれて、いらない板を見つけて、それに

混ぜた色を端から何度も塗って、木工所で作ってもらった家事机本体

の色と寸分たがわない色を作り上げることができた。

それで鏡の縁周りとアイロン台兼椅子にする部分の色を塗って、何と

か出来上がった。

鏡はどうしても取り外しできる物にしたかったので、金物屋さんで

取り外しのできる蝶番を見つけてきて、取り付けた。

本体の左側でテーブル面のやや上になるところに、取り付けようと思って、

自分で椅子に坐ってみて、お化粧するときの高さにあわせて取り付けた。

取外しができる蝶番だから、取り外して立てかけると全身を見ることが

できるので、自分の洋服を縫っている時に、縫った洋服を着て見ること

ができて本当に便利になった。

私の物をどんどん入れていったら、すごい収納力で家中の物を綺麗に

片付けることができたのである。 こうして家事机のサンプルらしき物

が出来上がった。

 (つづく)

家具と私(12)

2009-12-23 14:40:11 | 家具
 以前載せました引き出しの中の仕切りは、実は

実用化になったものの引き出しに入っていたもの

だったのですが、中々今は忙しくて描けないので、

解りやすいようにと思って実物を載せたのですが、

最初に、私が使う家具の引き出しに入れるものを

考えたときにはどんな材料で作ろうかと散々考え

たり、材料を探しに行ったりしたのです。

できれば、プラスチックの成型でやりたいとは思

いましたが、大量に作らなければ、型代もでない

と思って止めたのですが、仕方がないので、プラ

スチックの板の1・5ミリ厚さぐらいのものを買っ

てみたのですが、切ることは切れたのですが、へ

なへなで見栄えがあまりよくありませんでしたの

で、厚さ3ミリのベニヤ板で作りました。

添付の図は椅子兼アイロン台、兼、物入れ(アイロ

ンがけをしなくてはならない物を一時的に入れてお

くため)ですが、上の高いところのものをとる時の

踏み台にもなるようにと考えたのです。

結構大きさがあるので大きなシーツも何枚も入りま

すし、アイロン掛けするものが入りきれないという

ことがないようにしたので、たくさん入れてしまう

と重くなりますので、軽く動かすためにキャスター

をつけたのですが、四個つけてしまうと、するする

動き過ぎますので、もし踏み代替わりにしたときに

非常に危険だと思い、手前側の下は板のままで、奥

側にだけキャスターをつけることにしました。

ですから動かしたいときにはちょっとハンドルを

持ち上げ気味にして動かすと、キャスターが付い

ているので、楽に動かせますし、動きすぎて危険

ということもなくなりました。

この時には椅子の座の部分を裏返せばアイロンが

けに使えるようにしようと思って、其の当時

ビニールを布にコーテイングしたような布を売って

いたので、それを表の布に使い、中に綿を敷きつめ

ることを考え、其の反対側には、白いキャラコを使

ってアイロンの台として使えるように中にはべビー

毛布を四つ折にして入れました。それらの貼り際を

綺麗に見せるために模様の付いた綺麗なテープを買い

求め、ビス止めにしました。


(つづく)


家具と私(11)

2009-11-29 06:00:14 | 家具
 近所の木工所へ自分で使うための家事机を頼むことにした

のですが、どうもなんだかアイデアを盗まれそうな気がした

のです。それでいろいろ考えて、本体だけを発注することに

しました。

鏡は別に鏡を買っていって額縁だけ取り付けることにして

もらい、引き出しの中と、アイロン台を兼ねる椅子の部分

は自分で何とか作ることにして本体だけの図面を描いて

頼みに行きました。

其のとき、そこの社長が、まだ40台くらいの人を紹介し

てくれて、この人なら図面がよくわかるからといって、担

当にしてくれたのです。

私はミシンをスライドさせる部分のことを相談してみたの

ですが、直ぐに、ああ、それなら、下に敷居すべりを貼れ

ばいいと言ってくれました。其の頃敷居すべりはまだ発売

されたばかりだったのです。

私はほっとして、この人ならうまくいくかなと思って帰っ

てきて直ぐ、敷居すべりを買ってきて、家でありあわせの

板に取り付けて、敷きいいすべりの力がどのくらいのもの

か試してみたのです。

敷居すべりは満足できるものでした。

二、三日して、其の木工所へ行ってみました。ちょうど

10時のお茶の時間だったようで、職人さんたちが、木屑

の間に坐って世間話をしながらお茶を飲んでいたようでし

たが、私が入っていったら、急に変な空気が流れたのを感

じました。

この前、お願いした職人さんがいませんでした。家事机は

本体の外枠が立ち上がってはいましたが、まだ中は殆ど手

がつけていなかったのですが、どうもおかしい雰囲気だと

思って、直ぐ社長室へ飛んで行ったのですが、まずいなあ

という顔をしてしぶしぶ出てきたのですが、

 ”あいつは田舎へ帰ったよ。” と、言うので、

 ”え。どうして、この間は何もそんなこと言っていなか

  ったのに。 田舎って何処なの?”と聞くと

 ”群馬だよ。”と言う答えでした。

 私は、その場の雰囲気から、多分彼が私のアイデアを持

 って田舎へ帰っていったのだろうと想像したのです。

 この時には、其の後の仕事をちゃんとしてくれるように

 だけ頼んで帰ってきましたが、内心全部頼まなくて、よ

 かったなあとほっとしていたのです。 其の職人さんの

 ことはほっておきましたが、後年、群馬のある家具工場

 へ家事机を実用化してくれるように、お願いの手紙を出

 したら、うちにもよく似たものがあると言って断られた

 のです。勝手に想像するのはよくありませんが、でも、

 家事をしない男の方にミシンが重たくて、軽く出し入れ

 したいなんて考えが浮かぶなんて、とても思えませんで

 した。

   (つづく)

家具と私(10)

2009-11-22 17:12:08 | 家具
 家事机を少しでもお安く上げるためには手間のかかる引き出しを少なく

する必要があると言う事と、ひとつの引き出しの中にお裁縫箱の機能を

持たせるにはと私が考えたのは深い引き出しの中にトレーを入れて、

中を2段か三段に使うようにすることでした。

それまで私が長いこと時間をかけて色々の物の大きさを調

べてきたのは、一つには、引き出しの深さをどれくらいに

したら一番いいかということのためでもありましたが、其

のお蔭でトレーの深さや仕切りの作り方を決めることがで

きました。

写真の左側のトレーは、小型のものですが、これは机の上

部の引き出しの奥行きが狭いので、それに入れるためのも

ので,一つの引き出しに一つづつのトレーを入れました。

中の仕切りはそれ自体簡単に取り外しができますし、しき

りの間の仕切り板も取りはずせますので、お好きなように

しきりの中の大きさを変えられるようにしてあります。

引き出しの中の左右には同じ高さに桟を取り付けて、其の

上をトレーが摺動するように考え,机面の上部になるとこ

ろには奥行きの狭い引き出しを三段作りました。

上から薬品入れ、大工道具入れ(小型の道具類で、錐や金

槌、ドライバーだの釘などや、換えの電池なども入れるこ

とにしました。)

その下は化粧品を入れて、家事机の机面の左側の上部に鏡

を取り付けて、角度を変えられたり、取り外しができるよ

うな風にして、鏡台の代わりとして使うことも考えたので

す。

机面の下は奥行きも広く深い引き出しを作りましたが、上

の方はお裁縫箱として使えるように、中に色のついたト

レー(仕切りのないもので、これには大きい裁ち鋏とか

の道具類をいれる)と仕切りの取り外しのできるトレーと

2段にトレーを入れ、つまり深さを三段階に利用すること

を考えたのですが(仕切りのあるものには、針差しと針類、

指貫などの小物などが分類されて入れられるようにしまし

た。

それそれのトレーは自由に左右に動かせますので、お裁縫

するときには、ほとんどのものが一目で何がどこにあるか

わかるようにし、引き出しを開けたままで、お裁縫をすれ

ば、取り出したり片付けたりの手間が省けるようにしたの

です。

その下の引き出しには仕切りは一つも入れずに、アイロン

とか、アイロンかけに必要な糊や霧吹き、お裁縫に使うた

こなども入れて置けるように考えてみました。

(つづく)

家具と私(9)

2009-11-18 18:32:12 | 家具
 発明展の後、夫が自分で使うものを作ってもいいと

言ってくれたので、改めて一から考え直してみようと思った。

 それで、まだ、まだ、いろいろな道具を調べて見なけれ

ばいけないと思って暇さえあれば、調べに行ったのである。

ミシンや編み機はミシン屋さんへ行っても、一社の製品し

かおいていないし、デパートは行ってもなかなか置いてい

ないことの方が多く、たまに催し物があっても、あまり多

くの物を展示していないので、何時もチラシなどに気をつ

けて、何時どこへ行ったら、何が見られるかと心を配って

いた。もう一つ困ったのは、編み機には大抵売り子さんが

ついていて編み方まで説明されていたので、どのくらいの

高さまで編み機を使うときには上の方をあけておかなけれ

ばならないか、また、奥行きはどのくらいのスペースを見

ておけばいいかとかはわかったが、他の機種は大抵箱の中

で見られなかったのである。

それと、鏡やさんへ行って鏡の事をいろいろ調べてみた。

厚さによって、品質の違うことを知ったが、確か3ミリ

程度の薄いものでは、お値段はおやすいが、いびつに映っ

てしまうので、5ミリの物を使う方がいいと言うことがわ

かった。また、鏡はとり付けただけでなく、簡単に取り外

せるようにできる金物が欲しいと思って家具専門の金物屋

さんへ行ったり、家具につけるコンセントつきライトを探

しに行ったりもした。

一方、薄い引き出しが多ければ、細かい物を重ならないで

収納できるわけで、何がどこに入っているか一目で見られ

るので便利だろうと思って引き出しの数を多くしようとし

ていたのだが、引き出しを作るのにはとても手間が掛かる

ことを思い出し、引き出しが増えれば増えるほど、家事机

の値段が高くなって、一般の主婦向けの価格になかなかで

きないだろうと考えたのである。

何とか、かかる手間を少なくして、しかも便利に収納する

方法を考えようと思っていた。

 (つづく)

家具と私(8)

2009-11-14 09:57:33 | 家具
 何とか3月31日ぎりぎりで特許庁へ出願し、その後、

発明展にも出品することができたが、発明展ではびっくりのし通し

だった。

 私は労働大臣賞をいただけたことは、嬉しくないわけではなか

ったが、それでも、他人様のように有頂天には到底なれなかっ

たのである。これから、まだまだ改良しなければいけないところ

が山済みであるし、そんなに簡単に実用化のできるわけがないで

はないかとも思っていたのである。

 ただ、発明展を見に来られる方々の反応が知りたくて毎日発明

展の会場へ詰めていたが、本当にいろいろな方がおられて、びっ

くりもし、恐ろしくもなったのであった。

 私が立っていると、いかにご自分のアイデアで損をしたかとい

うことを話される方が何人もおられ、それが決して半端な額のお

金でなかったのである。億単位のお金を簡単に投資できる方が

私には、全く理解できなかった。

また気になったのは、本当にご自分のアイデアに惚れ込み過ぎ

ている方の多かったことであった。

自画自賛もいいけれど、もう少し冷静にならないとどんな罠に落

ち込むかと思われる方もある一方で、罠にはめるというと言い方

は悪いが、おだてあげて、自分の工場で物を作らせて、お金を払

ってもらえれば、後は野となれ山となれで、売れようが売れまい

がわしゃ知らんと嘯いているような人達もいたのである。

申し訳ないが、本当にうぬぼれ癖のある方はこちらで見ていても

はらはらさせられたが、そういう御仁にそうっと大損された方が

先ほどこんなことを言っておられたと言ってみても、ご自分のア

イデアはすごい物だから、すぐにでも目の前に大金が転げこんで

くるようなお話になるので、危ない、危ないとひやひやさせられ

たものだ。

その殆どが、悪いけれど、そんなにすばらしいとは思えなかった

のである。

(つづく)
 

家具と私(7)

2009-11-13 18:11:49 | 家具
この家事机はこの前に書かせて頂いたように特許庁へ

出願したもので、発明展に出品した物はミシンの上に

本棚をつくった。12の高さと同じに棚を設けてあった。

5の溝の上には鏡を兆番で取り付けていた。

1〕はライト

2)はコンセント

3)はミシンを載せる台で、ミシンを使用するときには5と5’

  の溝を使って前後にスライドさせるというもので、3〕の台

  の下は板がないので、3)を前に出すと、後ろの下側に10

  につながる空間ができるので、ミシンでカーテンなどの大

  きなものを縫った場合にはその後ろの空間に徐々に布が

  入っていくことになるので、布自体の重さで引っ張られて

  縫いにくくなることがないように考えた。もし、大物を縫

  っているときに、布が下まで急にすとんと落ちるようで

  あれば生地自体の重さで引っ張られて縫いにくくなるし、

  もし、背板との間に空間がなければ、大きなものはかさば

  ってくるので、縫いにくくなるのを考えたのである。 
 
4)はミシン台のとって。

 5及び5’)は溝でミシンの台が軽くすべるようにした。

   また、テーブル面に疵がつかない工夫。

 6〕は普段は机としてノートなども十分載せられる場所。

 7 及び7’)は 8の補助板をつけてある蝶番。

 8〕は補助板 机面を広く使うためで、これを出すと子供の物

   や、ブラウスを やスカートなどの印付けや待ち針を打つ

   など裁縫の仕事にもつかえるようにした。

   (勿論このときはミシンは後ろに摺動させておく)

 9)は 8の支えになるもの

 10)は後ろの背板までつながる空間ができるように考えら

   れた物で、編み機を入れることができる。

   編み機はテーブルの補助板を出して取り付けることはで

   きたが、長い間編んでいくうちにどうしても編み機を取

   り付けている金物がだんだん緩んできて外 れやすくな

   っていくことがわかり、危険だと思って編み機の使用が

   できるとは書かないことにした。一つには編み機を使う

   人が割と少なかったためでもあった。

 11)は椅子兼物入れの箱と小型の掃除機が入るように考えた。

   その物入れは蓋の表面にはビニールを貼り、坐れるようにし、

   裏面には芯にべびー毛布を折りたたんでいれ、白い木綿布で

   覆って、アイロン台とした。箱の中にはアイロンをかけたい

   ものを一時的に収納できる場所とした。

 12)は本棚

 13以下 22までは引き出しである。

    13~19には、家庭薬品、ちょっとした小さい大工道具、

    文房具、小物類、20には化粧品をいれ、この図にはない

    が、5の溝の上に鏡を蝶番でつけて、角度が変えられるよ

    うに設定し、鏡台の役目を持たせた。

    21はお裁縫箱、22はアイロンやアイロンがけ用のスプ

    レー糊や、お裁縫のたこなども入るように考えてあった。

    こうして、机、本棚、鏡台、物入れ、お裁縫箱、ミシンの台

    アイロン台の一台七役ができることになった。



家具と私(6)

2009-11-12 15:23:12 | 家具
 兎も角、家事机の見本をつくるはめになったわけだが、

大工仕事は不器用な私にとって、図面を描くよりは多少

ましではあったが、大事には違いなかった。

近頃では大工道具や材料を売っているところへ行けば

サービスで、希望する大きさに切ってくれるが、其の

当時は、勿論そういうサービスは望めなかったので、

ねじり鉢巻(?)をしながら、鉛筆で印をつけ、慣れ

ない手つきで鋸や金槌を駆使(???)して、あちこ

ち傷だらけになって日夜3月末を目標にがんばっていた。

そうそう、言い忘れたが、一辺の大きさを1/3にして

厚さ12ミリのベニヤ板を使って本体を作っていたが、

一番大変だったのは引き出しだった。引き出しは確か

3ミリのベニヤを使ったと思うが、それでも苦労した。

夫の机の引き出しを持ち出して、どのように作ってあるの

かと見ることにしたのだが、臍を切って組み込んであって、

なかなか私ごときの手に負えない代物であったが、そこは

それ、持ち前の駄目元精神で自分流にアレンジして、接着剤

という世にもありがたい物のお世話になることにしたのだが、

そうは言っても、小さいものはなかなか工作がしにくくて参

った。きちんと作らないと引き出しが引き出せないという訳

なのだが、今から考えればそんなところに力を入れる事とは

全くなかったのだが、どう考えても要領の悪い私であった。

添付の図面は特許庁に出願したものの一部であるので、展覧会に

出品したものはミシンの上部に本を入れる棚板をつけていた。

  (つづく)