或る日、私は意を決して夫や子供たちの前に予てから思っていた
家事机の商品化の話を持ち出した。
夫と長男はは即座に反対を唱えたが、次男は
”僕はお母さんが一生懸命やっているのだからやらせてあげてもいい
と思うよ。”と言ったのである。
私は家事机の説明をして、私がこれだけ便利になったし家の中も片づ
いたのだから、狭い住宅で苦労されている全国の団地の主婦たちは
喜んでくれると思うわ。それに、ミシンが簡単に使いやすくなった事で
お母さんの手作りで喜んでくれるお子さんが増え、それが いい親子
関係をつくってくれると思う。
私は発明展でお金を掛けすぎて損をしている人たちを大勢見ているから、
いきなり大金を賭けるような馬鹿な真似はしないわよ。そんなお金も
ないし。
あちこち実用化をしてくれそうなところを探してみるからと言った。
すったもんだの末、夫の許可が出た。
それから、私は毎日計画を練っていった。
まづ、どういう風に先方さんの会社にアプローチをしたらいいのだろうか?
それまで、外国の会社ばかりで日本の会社に一度も勤めた事がなかった私
だったので、日本の会社の様子が全くわからなかった。
どういう風にしたらいいのだろうかと毎日悩んでいた。
一番下の弟が、
”日本の会社では名刺がものをいう事が多いから、誰かに紹介状を書いて
もらうのがいいと思う。”とアドバイスをしてくれていた。
でも、私が考えたのは、出来るだけ他人様にご迷惑をかけないでやろうと
言う事だった。
と言うのは、其の少し前に友達に話をしたら、
”今度女学校の友達が何人か集まるので、あなたもいらっしゃいよ。
デパートへ婦人服を作って入れている人が女学校のクラスメイトに
いるから、話をしてみたら。”とご親切に言ってくれたのである。
ところが、其の日、其の女性は私が小学校のサマースクールで一緒で、
私の斜め後ろで、お互いに楽しくやっていた人だったのにもかかわらず、
間に立ってくれた友達の言葉にも全く耳を貸してはくれず、こちらを
見向きもしなかったのである。
其の時、私は考えた。
デパートへ商品を出すと言う事がどんなに大変な事なのかと思ったし、
彼女の家は資産家だから、お金がたくさん掛かったのかもしれない
無言のうちにあなたにはとても無理でしょう。やめときなさいよ。と
言っているのかもしれないと思ったのである。
だから、私は決心した。
今後は一切他人の力に頼るまいと思ったのである。もし他人さんのお蔭で
何かが出来たとしても、その人に一生頭が上がらない。そればかりでなく、
もし商品化しても、何かまづいことが起これば間に立ってくれた方に
迷惑が掛かってしまうし、私の家具は大きいものだから、そう簡単に
商品化は決まらないと思った。
間に入っていただく方にちゃんとものが言えない関係だったりしたり
変な思惑があったら、ことは決してうまくいかないだろうと考え、
例えどんな苦労があっても一人でやり抜こうと決心したのである。
(つづく)
家事机の商品化の話を持ち出した。
夫と長男はは即座に反対を唱えたが、次男は
”僕はお母さんが一生懸命やっているのだからやらせてあげてもいい
と思うよ。”と言ったのである。
私は家事机の説明をして、私がこれだけ便利になったし家の中も片づ
いたのだから、狭い住宅で苦労されている全国の団地の主婦たちは
喜んでくれると思うわ。それに、ミシンが簡単に使いやすくなった事で
お母さんの手作りで喜んでくれるお子さんが増え、それが いい親子
関係をつくってくれると思う。
私は発明展でお金を掛けすぎて損をしている人たちを大勢見ているから、
いきなり大金を賭けるような馬鹿な真似はしないわよ。そんなお金も
ないし。
あちこち実用化をしてくれそうなところを探してみるからと言った。
すったもんだの末、夫の許可が出た。
それから、私は毎日計画を練っていった。
まづ、どういう風に先方さんの会社にアプローチをしたらいいのだろうか?
それまで、外国の会社ばかりで日本の会社に一度も勤めた事がなかった私
だったので、日本の会社の様子が全くわからなかった。
どういう風にしたらいいのだろうかと毎日悩んでいた。
一番下の弟が、
”日本の会社では名刺がものをいう事が多いから、誰かに紹介状を書いて
もらうのがいいと思う。”とアドバイスをしてくれていた。
でも、私が考えたのは、出来るだけ他人様にご迷惑をかけないでやろうと
言う事だった。
と言うのは、其の少し前に友達に話をしたら、
”今度女学校の友達が何人か集まるので、あなたもいらっしゃいよ。
デパートへ婦人服を作って入れている人が女学校のクラスメイトに
いるから、話をしてみたら。”とご親切に言ってくれたのである。
ところが、其の日、其の女性は私が小学校のサマースクールで一緒で、
私の斜め後ろで、お互いに楽しくやっていた人だったのにもかかわらず、
間に立ってくれた友達の言葉にも全く耳を貸してはくれず、こちらを
見向きもしなかったのである。
其の時、私は考えた。
デパートへ商品を出すと言う事がどんなに大変な事なのかと思ったし、
彼女の家は資産家だから、お金がたくさん掛かったのかもしれない
無言のうちにあなたにはとても無理でしょう。やめときなさいよ。と
言っているのかもしれないと思ったのである。
だから、私は決心した。
今後は一切他人の力に頼るまいと思ったのである。もし他人さんのお蔭で
何かが出来たとしても、その人に一生頭が上がらない。そればかりでなく、
もし商品化しても、何かまづいことが起これば間に立ってくれた方に
迷惑が掛かってしまうし、私の家具は大きいものだから、そう簡単に
商品化は決まらないと思った。
間に入っていただく方にちゃんとものが言えない関係だったりしたり
変な思惑があったら、ことは決してうまくいかないだろうと考え、
例えどんな苦労があっても一人でやり抜こうと決心したのである。
(つづく)
