風竿の「人生の達人」烈伝

愛すべき友、仕事・趣味の磯釣り・ゴルフ・音楽、少しの読書などにまつわるあくまで「ヒト」に重点をおいたブログです

弁当ぬくめ

2010年12月29日 22時00分00秒 | 風竿日記

小学生の頃は、今よりとても寒い日々が続いていた。

道は舗装などされてなく、霜柱をサクサクと踏みしめながら、通学したものだ。

当然軒先にはつららが垂れ下がり、悪ガキ共は青鼻を垂れながら通ったものだ。

それでも全然寒かった記憶はない。

教室は低学年だけ石炭式の「ダルマストーブ」が焚いてあった。

ダルマさんが真っ赤になって怒っているように、赤々と燃え盛っていた。

冬の間だけ「弁当ぬくめ」があった。

それぞれのお弁当を大きな蒸し器のような木箱で温めるんである。

煮立った漬物の匂いがプーンと漂うとお弁当の時間。

当時の日本は一般的にとても貧しく、その分今よりずっと心は優しく、そして逞しかったように思える。

オカズの少ないいわゆる日の丸弁当の子供も多かった。

そんな子は決まって弁当箱の蓋を立てて、隠して食べるので、格好の標的にされたものだった。

「ワーイ空弁当今日も空弁当!」

囃子立てる悪ガキも、実は日の丸弁当に近い中身であった。

まあ日の丸を象徴する梅干しと、コンブの佃煮にタクアンが3切れくらいのハナシ。

       

塩クジラが入っていれば充分食は進んだし、ウインナーなんて無かった時代。

卵焼きの入っているお弁当はそれなりに裕福な家庭であった。

豪華なお弁当も、オカズの少ないお弁当も、日の丸弁当も

みな仲良く平等に、全部一緒に温めた「弁当ぬくめ」、

・・・・・・・なんかいいよね。

         

昭和33年頃のお話なんでありますが、

文字通りほのぼのとした、温かい思い出なんである。