風竿の「人生の達人」烈伝

愛すべき友、仕事・趣味の磯釣り・ゴルフ・音楽、少しの読書などにまつわるあくまで「ヒト」に重点をおいたブログです

おとうさんのべんとうばこ

2010年12月06日 22時00分00秒 | 風竿日記
おとうさんがびょうきでなくなってから三年、ぼくは小学一年生になりました。

おとうさんにほうこくがあります。きっとみてくれているとおもうけど、ぼくはおとうさんのおべんとうばこをかりました。

ぼくは、きのうのことをおもいだすたびにむねがドキドキします。

ぼくのおべんとうばことはしがあたって、すてきなおとがきこえました。きのうのおべんとうは、とくべつでした。まだ十じだというのに、おべんとうのことばかりかんがえてしまいました。

なぜきのうのおべんとうがとくべつかというと、それはおとうさんのおべんとうばこをはじめてつかったからです。おとうさんがいなくなって、ぼくはとてもさみしくてかなしかったです。

おとうさんのおしごとは、てんぷらやさんでした。おとうさんのあげたてんぷらはせかい一おいしかったです。ぼくがたべにいくと、いつもこっそり、ぼくだけにぼくの大すきなエビのてんぷらをたくさんあげてくれました。そんなとき、ぼくはなんだかぼくだけがとくべつなきがしてとてもうれしかったです。あれからたくさんたべて空手もがんばっているのでいままでつかっていたおべんとうばこではたりなくなってきました。

「大きいおべんとうにしてほしい」とぼくがいうと、おかあさんがとだなのおくからおとうさんがいつもしごとのときにもっていっていたおべんとうばこを出してきてくれました。

「ちょっとゆうくんには、大きすぎるけどたべれるかな」といいました。でもぼくはおとうさんのおべんとうばこをつかわせてもらうことになったのです。

そしてあさからまちにまったおべんとうのじかん。ぼくはぜんぶたべることができました。たべたらなんだかおとうさんみたいに、つよくてやさしい人になれたきがして、おとうさんにあいたくなりました。いまおもいだしてもドキドキするくらいうれしくておいしいとくべつなおべんとうでした。

もし、かみさまにおねがいができるなら、もういちどおとうさんと、おかあさんと、ぼくといもうととみんなでくらしたいです。でもおとうさんは、いつも空の上からぼくたちをみまもってくれています。

おとうさんがいなくて、さみしいけれど、ぼくがかぞくの中で一人の男の子だから、おとうさんのかわりに、おかあさんといもうとをまもっていきます。おとうさんのおべんとうばこでしっかりごはんをたべて、もっともっとつよくて、やさしい男の子になります。

おとうさん、おべんとうばこをかしてくれてありがとうございます。
 
 
この子は素晴らしい大人になることでしょうね。感動をありがとう。