奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その2523)

2023-07-21 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「人がつくった川・荒川~水害からいのちを守り暮らしを豊かにする(長谷川敦著・旬報社2022刊)」を読んだ。長谷川敦(はせがわあつし1967生れ)氏は、大学生の時に/出版関係会社でアルバイトし/そこで就職した。26歳で/“世の中で起きている/色んな問題の原因や解決策を/自分で調べ/考え/書く仕事がしたい”と思い/会社を辞めてフリーライターとなる。著書に“日本と世界の今が分かる遡り現代史/世界史と時事ニュースが同時に分る新地政学”がある。-----------

この本「人がつくった川・荒川」の目次は次の通り。“時代と共に/変化した川/荒川(生活を豊かにするために川の流れを変えた/人々を水害から守るため/新しく川を作った)”、“荒川があったから/江戸も農村も発展した(日本一広い平野/関東平野の中を流れる/縄文時代の頃/関東平野の大部分は海だった/江戸は川のお陰で昔から栄えていた/土木技術の発達で田んぼがどんどん増えていく/江戸に築かれた二つの堤防/日本堤と隅田堤/舟運のために川をくねくねと曲がらせる)”、“東京を水害から守る/荒川放水路の建設(放水路のために家や土地を手放さなくてはいけなかった人たち/日本一の川幅と横堤が荒川の氾濫を防いでいる)”、“今の時代の荒川と私たち(ダム調節池放水路で街を水害から守る/流域全体で水害を防ぐ流域治水の考え方/地域を支えていくのは小学生と中学生)”、“荒川と世界の未来のために出来ること(隅田川が汚くなり過ぎて花火大会が中止になる/荒川のプラスチックごみも世界の海を汚している)”-----------

この本「人がつくった川・荒川」の内容紹介文は次の通り。首都圏を貫き/流域に1000万人が住む荒川は/人の手で作られた川であることを知っていますか。嘗て/荒ぶる川=荒川の流れを変えることで江戸の繁栄は生み出され/度重なる洪水から人々を守ってきました。川の歴史と流域の暮らしの変化を丁寧に追いかけながら/荒川の過去現在未来を旅します。----------

長谷川敦氏は、第2次ベビーブーム世代ではないので就職氷河期に遭遇されたのではない筈だが/出版不況が進む中で/フリーとなってしまわれた。それでも何とか頑張っておられるようだ。この本「人がつくった川・荒川」は視点が優れていると思った。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その2522)

2023-07-20 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「ACEサバイバー~子ども期の逆境に苦しむ人々(三谷はるよ著・ちくま新書2023刊)」を読んだ。三谷はるよ(みたにはるよ)女史は、2014阪大大学院(人間科学研究科)博士後期課程修了/博士(人間科学)。阪大助教/龍谷大学(社会学部)講師を経て、2020から同大学准教授。専門は福祉社会学/家族社会学。福祉/家族/子どもを巡る問題や実践について/社会調査による実証研究を行っている。----------

この本「ACEサバイバー」の目次は次の通り。“序章(人生に傷を残すACE)”、“ACEの心身への影響”、“ACEの社会経済的地位への影響”、“ACEの人間関係への影響”、“ACEによる悪影響を断ち切るには”、“ACEサバイバーが語る人生”、“終章(ACEサバイバーが不利にならない社会へ)”---------

この本「ACEサバイバー」の内容紹介文は次の通り。ACE(エース)はAdverse Childhood Experiencesの頭字語であり/“子ども期の逆境体験”と訳される。18歳になるまでに受けた虐待/ネグレクト/家庭の機能不全(家族の依存症/精神疾患/DV)に曝される体験のことである。云わば“しんどい子ども時代を過ごし/今生き延びている人たち”のことを本書では“ACEサバイバー”と呼んでいる。しんどい子ども時代を生き抜き/累積される不利を被りながら人生の歩みを進めるACEサバイバーは/“エース級の秀でたサバイバー”とも云える。アダルトチルドレン/毒親/最近では親ガチャといった言葉が流布し/多くの人が自らのしんどさを語ってきた。本書を通じて筆者が伝えたかったのは/ACEが成人後の心身の疾患/失業や貧困/社会的孤立や子育ての困難に至るまで/長期的に悪影響を齎すということだ。つまり偶々(たまたま)生を受けた家族の境遇の格差が/生涯に亘る多面的な格差に繋がっている/と云うことである。

三谷はるよ女史は、“人間皆トントン”と笑い飛ばす輩(やから)に/鉄槌を下し/厳しい見方を示している。現在の民主社会では/自分の思う通りに生きられると簡単に言うが/それは無理だとも云うのだ。その事実をこの本「ACEサバイバー」に詳しく論じている。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その2521)

2023-07-19 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「人口減少時代の農業と食(窪田新之助&山口亮子共著・ちくま新書2023刊)」を読んだ。窪田新之助(くぼたしんのすけ1978生れ)氏は、明治大学(文学部)卒、日本農業新聞記者を経て/フリー農業ジャーナリスト。山口亮子(やまぐちりょうこ)女史は、京大(文学部)卒/北京大学修士課程(歴史学)修了。時事通信社記者を経て/フリージャーナリスト。----------

この本「人口減少時代の農業と食」の目次は次の通り。“データで見る農と食の今とこれから”、“危機にある物流”、“待ったなしの農業関連施設の再整備”、“大規模化への備え”、“外国人/都市住民からロボットまで”、“消費者が迫る変化/日本文化を世界へ”----------

この本「人口減少時代の農業と食」の内容紹介文は次の通り。人口減少で日本の農業はどうなるか。農家は勿論/出荷や流通/商品開発など危機と課題/新たな潮流やアイデアを現場取材/農業の今を報告する。日本農業にとって人口減少は諸刃の剣と云える。これまでのあり方を一部で壊してしまう一方で/変革の推進力にもなる。農産物の生産や流通は/総じて人手不足で/生産者と流通/販売/消費の間の溝やズレも明らかになっている。ピンチをチャンスに変えるべく/こうした課題に立ち向かう現場がある。生産から出荷までの合理化/消費者と直接つながる商品の開発/物流のルール変更への対応。世間で思われているほど暗くない/日本農業の未来を報告しよう。----------

窪田新之助氏も山口亮子女史もフリージャーナリストだが/前者は現場から/後者は少しばかり高みからこの問題を論じている。良いコンビネーションでこの本「人口減少時代の農業と食」は書かれている。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その2520)

2023-07-18 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「目でみる方言(岡部敬史著&山出高士写真・東京書籍2023刊)」を読んだ。岡部敬史(おかべたかし1972生れ)氏は、早大(第一文学部)卒。出版社勤務後/文筆家/編集者として活動。山出高士(やまでたかし1970生れ)氏は、梅田雅揚氏に師事後/1995よりフリーランスカメラマン。---------

この本「目でみる方言」の目次は次の通り。“北海道/東北/関東(北海道の方言/サビオ/青森県の方言/傘をかぶる/岩手県には/じぇじぇじぇ/の碑がある)”、“北陸/東海甲信/近畿(新潟県の方言/飴が泣く/富山県人はあまり/きときと/と言わない/石川県の方言/かたがる)”、“中国/四国/九州/沖縄(鳥取県人はアリジゴクをコモコモさんと呼ぶ/島根県の方言/ばりん/岡山県の方言/しわい)”---------

この本「目でみる方言」の“はじめに”には次のように内容紹介されている。本書は日本各地の方言を取り上げて/その言葉が使われる地域で何を意味しているのか/どのような状態を表しているのかを/写真で見てみよう/と云う試みの本です。一例を挙げると/沖縄県の方言として/ぜんざいを取り上げています。対応する写真は/一見するとかき氷です。それは/沖縄のぜんざいがかき氷スタイルで提供されるが故なのですが/他県民からすると/この言葉と写真の差に“え?”と思うのではないでしょうか。このギャップを楽しんで貰えたらなと思っています。このように方言を写真で見ること。そして全国の方言に纏わる興味深い話をコラムで紹介することで/この本は構成されています。幅広い世代の人に楽しんで貰いたいので/出来るだけ今でも使っている言葉から選ぶようにしました。北から南まで順番に配列していますが/気になる処から読んで頂ければと思います。原稿は岡部敬史が担当し/写真は主に山出高士が担当しました。この本で方言の話に花が咲きますように。-----------

年齢が2歳差で/お名前も揃って“たかし”であり/息の合ったお二人による/文だけでなく豊富な写真を交えた本だ。言い古された話題の“方言”だが/それなりに面白い本に仕上がっている。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その2519)

2023-07-17 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「図説・常陸武士の戦いと信仰(茨城県立歴史館編・戎光祥出版2023刊)」を読んだ。---------

この本「常陸武士の戦いと信仰」の目次は次の通り。“常陸武士の合戦(鎌倉北条氏と常陸武士の相克/伝統的武士団の関氏/下河辺氏/下妻氏が没落した宝治合戦/鎌倉幕府の崩壊で北条氏から離反する常陸武士)”、“北畠親房と常陸合戦(北畠顕家の侵攻とその管轄国となった常陸にも戦線が拡大する/南朝の重鎮北畠親房が常陸へ入り東国経営の拠点に/籠城戦となった関城大宝城の戦いと北畠親房の苦悩)”、“室町から戦国へ/常陸武士の新たな戦い(鎌倉府を苦しめた小山義政と若犬丸の乱/宍戸氏は何故難体山城に籠城したのか/小栗満重の行く末と説教小栗判官ものがたり/公方足利一族が壮絶な最期を迎えた結城合戦)”、“常陸武士の信仰と流通(佐竹氏小田氏が信仰したのが武士の禅ともされる臨済宗/結城氏が広めた只管座禅する道元の曹洞宗/常陸国赤浜を拠点に展開した日蓮宗/常陸北下総に大きく広まった空海を開祖とする真言宗)”、“中世の霞ヶ浦と水運網(内海の領主たちが足利公方に献上した自然の恵み/数多くの湊と水運が担った海夫と津の風景/北下総に広がる利根川を利用した水運と古い街道)”----------

この本「常陸武士の戦いと信仰」の内容紹介文は次の通り。2014“常陸南北朝史/そして動乱の中世へ”を新たに再構成/再編集し/激しい戦いを繰り広げた常陸武士の相克を分り易い文章と多くの写真/図版で解き明かす。----------

茨城県立歴史館編のこの本「常陸武士の戦いと信仰」を書いているのは/茨城県立歴史館(博物館&文書館)の機能を司(つかさど)る調査研究を担うために配された茨城県の職員(特別職)たちである。良い本に仕上がっていると思った。箱物展示の博物館を拝観するだけではその値打ちを知ることは出来ない。このような書籍が其処で売られていれば/教養を高め/愉しめること請け合いだろう。

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