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ルドルフ・ヌレエフの「豚の湖」

2017-11-26 19:35:39 | バレエ
「20世紀ダンス史」は、振付家中心だが、振付した作品を丹念に一つひとつ説明している本だというのが有難い。ルドルフ・ヌレエフの項では、マーゴ・フォンテインと一緒に踊った話だけでなく、子豚と踊った話が出てきた。

一緒に踊ったのは「白鳥の湖」(スワン・レイク)、ではなく「スワイン・レイク(豚の湖)」だ。どんなものだろうと気になったので、さっそく動画共有サイトで検索してみると、カラーの画像で出てきた。アメリカの人気テレビ・シリーズである「マペット・ショー」に出たときのもので、カエルのカーミットが最初に前口上を述べて始まる。

ヌレエフが「白鳥の湖」の王子の格好で出てきて2幕の場面を踊り始めて、ひとしきりピルエットとジャンプをやり、パントマイムで美女を示す顔をなでるようなしぐさをすると、後ろから豚が登場する。マペット・ショーだから、カーミットの恋人の豚のミス・ピギーが、思いっきりバレエ・メイクしてクラシック・チュチュで登場、抱腹絶倒のパ・ド・ドゥを踊るが、驚いたことに、きちんとトゥで立ち、脚もきちんと上げる。ちゃんとしたクラシック・バレエの訓練をミス・ピギーが受けていたとは知らなかった。

アメリカやイギリスの良いところは、こうしたクラシックの巨匠みたいな人物が大真面目でふざけた企画に付き合う所だ。そうした意味でヌレエフは、十分西側に適合した印象を与えたのだろう。

スワインという言葉は知らなかったので、辞書で調べてみると、イノシシとか雄豚のような響きらしいので、ミス・ピギーに対して使うのが良いかどうか疑問だが、スワンならぬスワインというのが面白かった。

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