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新国立劇場の「白鳥の湖」

2023-06-12 13:17:26 | バレエ
6月11日(日)の夜に新国立劇場でバレエ「白鳥の湖」を見る。白鳥/黒鳥を小野絢子、王子は奥村康祐、ロットバルトは中家正博。18時30分開始で、2階の休憩を挟み、終演は21時30分頃。休憩時間のロビーで見ると、飲食をする人もいて、マスク比率は随分と下がった印象。全体では6割ぐらいがマスクか。

今回の「白鳥」は9回公演だがほぼ満席だった。白鳥を踊るのは、米沢、小野、柴山に加えて、アーティストの吉田朱里が入っていて驚いた。木村優里が怪我で出られない事情もあるが、これまでよく踊っていた池田理沙子は外れている。ランク的にはコールドと同じアーティストで、主役を踊るのはすごい抜擢でないかと思う。以前に「ジゼル」のミルタ役で踊ったのを見たことがあるが、ぜひ次の機会に見てみようと思った。

今回の配役では、ハンガリーやポーランドの王女が初役で、ファースト・アーティストが踊っていたが、正直なところまだこれからという感じで、今後の期待。ベテランの小野の表現力はさすがで、2幕の経緯説明のマイムも説得力があって、堪能した。しかし、ベテランだということもあり、3幕のグラン・フェッテになると、きちんと踊って入るのだが、迫力は感じられない。可能であれば、白鳥は小野、黒鳥は米沢といったキャストで見てみたい気がする。奥村は踊りに問題があるわけではないが、もう少し王子然としたところが欲しい。

ロイヤルのピーター・バラカン版は、今回が2回目だと思うが、どうも好きになれない。先ず、装置や衣装が良くない。王子は国王の死で喪に服しているためか、全身黒の衣装だが、背景も暗いので、脚の動きが見えにくいので困る。衣装も妙に豪華に作ってあるが、3幕の各国の踊りの場面では、それぞれの国のムードが出ない。特に各国の王女の衣装がどれも同じに見えるのは問題だ。

また、3幕で黒鳥が現れた後にスペインの踊りとなるが、それが始まるときに、王子と黒鳥が一緒に下手に引っ込むのもおかしい演出。ここはオーソドックスに、王子が黒鳥に近寄ろうとするのを遮る形でスペインの踊りが始まって欲しい。

「白鳥」に関して言えば、以前の新国立の牧阿佐美監修版の方が、全体としてよくできていた印象がある。無理にロイヤル版に変えるよりも先に、新作を持ってくるようなことにお金を使ってほしいと思う。結構観客が入っているのに、お金が足りなくなり、大劇場でのバレエ公演が年6回から5回に減ってしまったのは、お金の使い方に問題があるのではないかと思う。コロナの影響もあるだろうが、工夫を望みたい。

日曜日の夜なので、食べる店がなく家に帰って食事。イワシのオーブン焼き、キャベツのサラダ、アンチョビ・オリーブ、カマンベール・チーズなど。飲み物はカヴァ。

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