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オペラ、バレエ、歌舞伎、文楽などの鑑賞日記です

国立劇場の「伊勢音頭恋寝刃」

2021-10-05 15:56:54 | 歌舞伎
10月4日(月)の昼に国立劇場で「伊勢音頭恋寝刃」を見る。12時開演で、35分間の休憩をはさんで、終演は15時。驚いたのは客席がガラガラなこと。1割も入っていない。5パーセントぐらいではないか。これでは演じるほうも気分が乗らないだろうし、見ているほうも面白みが感じられない。こうなると、コロナの影響とかいう前に、もっと根本的に見直さないと、公演が持続できないのではないだろうか。

人が呼べる役者が出ていないこともあるだろう。梅玉と時蔵が中心で、この二人が演じている場面はよいが、ほかのメンバーはまだ若手、中堅といったところで、少し演技も心もとない。としても、あまりにも客が入らない。開演時間から見直してはどうだろうか、平日の昼の12時からというのは、35分間の昼食休憩で食堂で食べてもらうためだろうが、あまりにも中途半端な時間だ。年金生活者は暇だろうからということなのかもしれぬが、12時から始められては午前も午後もほかのことは何もできずに、1日がつぶれてしまう。せめて午後2時からにするとか、夜の公演も増やすとか、料金も当日売りは半額にするとか、いろいろとやりようがあるだろうと思う。客よりも出演者やスタッフ、劇場従業員のほうが多いという感じでは、いくら芝居好きの僕でも、何か気乗りがしなくなる。

演目は「伊勢音頭」の通しで、4幕構成のうちの1幕と3幕を上演した感じ。2幕の大々講と、4幕のお峰の家は省略されている。本来であれば、大々講もやるのだろうが、コロナで上演時間を短くしているせいか、カットされている。普段は3幕の油屋の10人切りの場面しか見ないので、1幕の発端部分が入ると話の流れはよくわかるが、よくわかると出来の悪い作品だということがかえって目立つ。そう思わせるのは役者の芸の力が足りないからだろう。

劇場の食堂などはもう時代遅れで、そこで食事する人は少ないので、維持するだけでも大変なのではないだろうか。上演時間が長く丸一日というなら別だが、そんなに長くはやらないので、この際食堂を廃止して2時開演や夜の7時開演としてほしい気がする。

それにしても、国立劇場も松竹ももう少し客が入るように、お互いに協力し合わないと、公演がなくなってしまわないかと心配だ。そう思いながらスーパーで買い物して帰り、水菜のおひたし、レンコンの甘辛炒め、親子丼などを作って食べる。飲み物は純米吟醸。

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