まかてさんの近作「白光」を面白く読んだ。
聖像画家”山下りん”の波乱に満ちた生涯を活写した評伝小説。文藝春秋社刊、463頁の大作。
明治6年、16歳の「りん」は絵を学びたい一心で笠間(茨城県)を出て江戸(東京)へ向かう。ダメ画家の元を転々とした後、ロシア正教会との縁を得る。
そして、同教会から帝政ロシアの首都サンクトペテルブルクに派遣され精進するも、教会の育成方針と対立。気苦労から病に倒れる・・・。
そうした逆境の中にあっても正教会に復帰し、聖像画家への道を歩む。他方、ロシア国内の政変や日露戦争等で正教会の地位が相対的に弱まる中にあっても、イコン(聖像画)の制作に生涯を捧げる。ご一読をお勧めします。(お勧め度:★★★)