金木に車庫証明を出しに行った。
郡部の警察署宜しく、
緊張感の無い雰囲気。
車庫証明は此処で良いのかと聞くと、
さあ、出せという女性職員。
聞いただけだよ。
まだ完成していないからと、
免許証の更新用の机で地図を作製し始める。
カウンターにはお婆ちゃんが一人。
「だからね、ここでは出来ないの・・・・」
さっきの女性職員が言っている。
どうやら免許の更新がなされていない様で、
失効した様だ。
その手続きについて、
青森に行かなくてならないと。
ああ、
青森署か免許センターかなんだろうな。
しかしながら、
あのお婆ちゃんが、
単独でそこに行く事が出来るのだろうか?
件の女性職員は、
私の後ろを通り過ぎ、奥の方へ。
戻って来たら、
「ここにコピーとったから、この通りに手続きしてきて・・・・・」
みたいな事を、婆ちゃんに言っている。
返事は無い。
うっかりか、
チョッと、ボケが入っているのか、
病気だったかもしれないが、
それでも気が付いたのだから、
まあ、大丈夫だろう。
この金木に暮らしてりゃ、
病院だってクルマが無けりゃ行けない。
買い物だって。
私が書類を作成している間に、
婆ちゃんは居なくなっていた。
こんな警察署の窓口だ。
たがか書庫証明でもすんなりとはいかない。
やれ、
この地図では担当者が確認に行けないと。
ネットから印刷したものだったが。
おいおい、
本当に添付の地図で現場確認に行っている担当者って居ないだろ。
皆、
ナビ使ったり、
住宅地図やネットで調べて行ってるだろ。
「やあ、住宅地図、無かったんでね。」
したら、
住宅地図を持って来た。
周辺地図を開き、
「何か目標になる物が無いと、行けないから・・・」
だと。
ねぇよ!
何にもランドマーク、ねぇよ!
リンゴの木と、畑しかねぇよ!
人も歩いてねぇよ!
ああ、
家が何軒あるかって?
おめぇ、
手元の住宅地図見てるだろ、
その通りだよ!
目ぇ、見えねぇのか?
あ”あ”?
書き込めって?
家、何軒あるかを?
おめぇ、バカか?
その住宅地図、コピーすりゃいいだろ!
さっきの婆ちゃんとの遣り取りを背中で聞いたんでな、
多分、
難癖付けるのは予想できた。
テキトーに四角を書き入れてやった。
どうせ、
これ見て現場行くわけじゃないし。
「これでいい?これで分かるはずだよ!これで行けなかったら、唯の方向音痴だよ!」
周囲が振り返るような大きな声になっちまった。
書類は受理された。
出口に向かうと、
途端に、彼女らの話が聞こえてきた。
「ホントに、やっと帰ってくれた・・・・」
・・・・・?
私の事ではない様だ。
さっきの婆ちゃんの事だった。
青森署だったら、
もう少し丁寧に説明したかもな。
こういう地域だからこそ、
地域住民に親身であって欲しいのだがね。
残念な地域だ。