「私もリストラされたんですよ、」
酔っ払ってたんで、
どういう話の流れから、そういう話になったか、
一瞬で忘れてしまっていた。
昨夜のねぶた観覧は、
後半、少しばかり雨に当たった。
運行も、何だか中途半端に終わった様な気がする。
国道渡って、
テクテクと歩き出す。
ああ、
飲み過ぎだな、おしっこがしたくなった。
まあ、
自宅近くのコンビニまで我慢すっか。
平和公園に向かっての通りは、
観光バスの駐車場と化している。
のたのた歩く団体さんを掻き分けて往く。
国道に向かっての車線には空車のタクシーが多いのだが、
山手に向かっては、
中々タクシーが見当たらない。
と、
停まっているバスとバスの間にタクシーを発見、
窓を叩く。
「横内十文字までね。」
タクシーの運ちゃんも、
良く喋る人と、全く喋らない人に大きく分けられるだろう。
彼は前者か。
問屋町にあった会社に勤めていたと。
景気の良い時代は、
ホテルで展示会を催して、10億円の売り上げがあったと。
粗利益で10%、1億円。
招待客の接待、宿泊等の経費が3千万円。
だから、上がりが7千万だと。
酔っ払いの私より饒舌だ。
それが、
盛岡にある会社に買収され、
どんどん首切りが進み・・・・・・
良くある話だ。
さあて、
何で、こういう話題になったっけ?
まるで思い出せん。
それでも長男は公立大学を卒業し、
某マ○ダに就職したと。
今では順調に出世しているらしく、
手取りが二十数万円だと。
いやぁ~、それだけ貰ってれば十分だよね、
なんて、合いの手を入れる。
それに引き換え、
次男は建築系らしく、
手取りで十一万円程だと。
う~ん、
今の若い人は、それ位の人が殆どだよ、
と私。
どうやら、聞き役は私らしい。
一族が短命らしい。
親兄弟も、60前後で亡くなっていると。
自分は60過ぎたから、大丈夫だと。
本人は現在、
糖尿で、インシュリンを打っていると。
悩みの種はそこらしい。
タクシー乗って十数年。
今、62歳。
年金貰うまでは、ね・・・・・・・
と。
ホンの十数分の乗車時間、
彼の半生が劇場化された。
ショートムービー、
タイトルは、「タクシードライバー」