青春タイムトラベル ~ 昭和の街角

昭和・平成 ~良き時代の「街の景色」がここにあります。

ホラー映画ブームの終焉!

2021-01-28 | 青春・名画劇場

80年代の映画の宣伝の上手さを物語る1つの材料として、「ゴースト血のシャワー」という映画がありました。見所はただ1つ。女性が船内のシャワーを浴びるシーンで、水が血に変わり悲鳴をあげるというシーンのみ。原題は「デス・シップ」。アメリカのチラシと日本のチラシを比較すれば、どれだけ面白くない映画を面白く化粧を施すかという作業に、日本の配給会社が長けていた事がご理解頂けると思います。

しかし中には、スタンリー・キューブリックが監督した「シャイニング」のように、独特の恐怖と映像美を追求したホラーもあり、またナスターシャ・キンスキーの「キャット・ピープル」のような有名女優を使ったリメイクもまだまだ残っていました。

そして根強いゾンビ人気に支えられ、「サンゲリア」「ゾンゲリア」など、ゾンビものでも題名で区別がつかなくなるような作品が多く公開されました。とにかく美女がキャーキャーと悲鳴を上げて逃げる!突然の殺人鬼の登場で、館内の女性が驚けば良かったのです。お化け屋敷ですから。(笑)ブギーマンというキャラクターで「ハロウィン」シリーズもありました。

さて、このようにこれまでの大作は、やはり神と悪魔の対決。根底にキリスト教が流れる映画が作られていましたが、やや流れが変わってきました。ホラー映画と言いながらも、霊魂や悪魔とは一線を引く人間、つまり犯罪者の実話に基づく映画が多く作られるようになりました。呼び物は特撮による残酷描写と、血しぶき・・・その総称も新たに「スプラッター・ムービー」と呼ばれるようになりました。

そのパイオニアとなり、大ヒットしたのが「死霊のはらわた」でした。1983年の作品。新人のサム・ライミ監督の作品。月並みなプロットをカメラワークに凝りまくることで斬新な作品に仕立て上げました。この作品はホラーとスプラッターの境界を初めて意図的に取り外した作品としても、エポック・メイキングな作品でした。

これ以降の多くのホラーは、劇場ではなくビデオでリリースされるものが多くなりました。残酷描写にウエイトが置かれるようになり、女性客が、このお化け屋敷を良しとせず、劇場から遠ざかって行ったのです。「恐い」映画から「気持ち悪い猟奇的殺人」映画へと移行してしまった為に、劇場がもはやお化け屋敷ではなくなってしまったのです。当然カップルが足を運ばなくなり、ホラーオタクのお兄ちゃんが1人で来るようになっては、観客動員も見込めません。こうしてホラーは確実に劇場から衰退し始めました。

「地獄の門」「ビヨンド」「死霊のしたたり」「ミミズバーガー」「スクワーム」「悪魔の沼」「血のバレンタイン」「面会時間」・・・・こういう流れは僕は嫌いでした。嫌悪すら覚えたものです。お化け屋敷は大勢で、カップルで楽しく肝試しとして楽しむイベントです。それが自室で1人で楽しむものになった先には、変質的にこういう映画に興味を抱くものが現れると言う恐れを抱きました。案の定、この後「宮崎事件」「酒鬼薔薇聖斗事件」というような事件が世の中に起きて行くのでした。

ここに紹介したような映画を鑑賞しようと思えば、マニア向けの少し高額のDVDを購入するか、品揃えの豊富なレンタル店を回るか、深夜のローカル局をチェックすることになると思います。真夜中にこの手の映画を観るのは気持ちが悪いかも知れませんが、ご夫婦で懐かしく見ることがあるかも知れませんね。

その時はご安心下さい。テレビにはコマーシャルが入りますので、恐怖心も半減します。特に大阪のサンテレビなどでは、下のような関西ローカルのCMが流れますから。(笑)(この項終わり)