青春タイムトラベル ~ 昭和の街角

昭和・平成 ~良き時代の「街の景色」がここにあります。

ミル・マスカラスの華麗なる世界!

2021-01-24 | スポーツの話題

今日は仮面貴族を懐かしんでみたいと思います。プロレスに興味の無い人でも、昭和生まれの方なら知っていると思います。千の顔を持つ男・仮面貴族ミル・マスカラスを。

毎年夏休みに来日し、全国の子供ファンを喜ばせたマスカラス・・・。1971年2月19日に初来日。記念すべき初戦を星野勘太郎相手に見事な内容で飾ったミル・マスカラスは、それまでの「正体不明の覆面レスラーは悪役」という定説を打ち破りスーパースターへの階段を上り始めます。

マスカラスは猪木・馬場の所持するインタータッグに挑戦。猪木とのシングルマッチも名勝負となり人気は沸騰し、華麗なる空中殺法と正攻法のファイト、毎試合マスクを変えて登場する「千の顔を持つ男」は、来日の度に人気が上昇してスーパーヒーローとなり仮面貴族と呼ばれるようになりました。新日本プロレスの初代タイガーマスクのような存在だったと思って頂ければ結構です。それまで背広組だけだった試合会場に、子供の姿を見かけるようになりました。

当時のプロレス専門誌「ゴング」が、「ミュージック・ライフ」がクイーンを追いかけ売り出したように、マスカラスを来日前から何年にも渡り追い続け売り出した為、「まだ見ぬ強豪」としてマスカラスは日本のファンに定着しました。そして日本プロレスが「ファンの見たいレスラーを来日させる」という企画を募り、猪木と馬場の2枚看板で黄金時代を築いていた日本プロレスに、マスカラスが初来日することになりました。

そして「ゴング」が、日本でのマスカラスの人気が定着した時に、満を持して発売したのが、僕が秘蔵しているマニア泥酔の1冊、昭和48年1月発売のゴングの増刊号「ミル・マスカラスの華麗なる世界」です。特定のレスラーを1冊丸ごと特集したのはこれが初めてでした。日本のファンが知らない本国メキシコでのスーパースターぶりや、マスカラス本人の全面協力を得たこの本は充実した内容で、あっという間に完売。この後数年に渡って「譲って下さい」のコーナーに入手を求めるファンが投稿を続けていたものです。

この本の大成功により3年後に出したゴング増刊号の「燃える闘魂 アントニオ猪木」と共に、この本はゴング誌の最高傑作と言われています。

来日の度に人気が上がっていくマスカラスでしたが、1977年には更に人気が急上昇します。入場テーマ曲として「スカイ・ハイ」が採用され、プロレスの枠を超える勢いになったのです。もともとは映画「The Man From Hong Kong」(1975年、香港・オーストラリア合作、主演:ジミー・ウォング)の主題歌の映画音楽として作曲された、イギリスのロックバンド、「ジグソー」の「スカイ・ハイ」でしたが、映画もこけ、サントラも売れていませんでした。ところが、ミル・マスカラスの入場テーマ曲に使用されたことで、大ヒットを記録しました。関西の深夜放送「ヤング・リクエスト」では何週間にも渡り1位に居座り、シングル・レコードのジャケットは、映画の写真からマスカラスの写真に変わりました。レスラー、ボクサー、格闘家の入場時にテーマ曲が流される現在のスタイルが定着したのは、彼が最初だったと言っても、過言ではありません。

マスカラスは入場の際、覆面を2枚被っており、オーバーマスクをリング・インと同時に客席に投げ入れた為、その争奪戦は凄まじいものがあり、本物の覆面を手に入れるのはファンの夢でした。TV放送していた日本テレビも、マスカラスのマスクのプレゼントを行い、ファンはこぞってハガキで応募しましたが、当選者の発表は発送をもって・・・で、誰が当たっているのやら、宝クジのようなものでした。しかし3年前、僕の友人が意外な情報をくれました。当時そのプロレス放送のアナウンサーだった○光アナウンサーの子供が、僕の友人の友達で、「彼の家には何枚もマスカラスのマスクがあり、お父さんが持って帰ってくれる」と、自慢していたと!(当時は現在のように覆面は市販されていません。)これが何を意味するのかは、ご想像にお任せしますが、中傷や暴露ではなく、TV局なんてそういうものなんです。(納得いかない方は、クイズ$ミリオネアマスターズのプレゼントの記事参照のこと。)

覆面レスラーは悪役という定説を覆し、華麗なる空中殺法という新しいファイトスタイルを生み出し、ドロップキック17連発の伝説を作ったマスカラス。猪木とのシングルの他にもJ・鶴田との試合やデストロイヤーとの覆面世界一決定戦を通じて、ヒーローとしての姿勢を貫き、ファンを満足させる試合を提供してくれました。

華麗なるコスチューム、試合内容、見事にビルドアップされた身体は忘れられませんが、今でも現役で相変わらず見事な身体を維持しているのには、ただただ驚くばかりです。