最近少しづつ時間を作り、DVDを観ることが出来るようになりました。最近人気がある男優は僕から見れば、マッチョ系ではなく中性っぽい、優しそうな外見の男性という傾向があるような気がします。でも見た目ではなく、男の生き様、男の美学を描かせたら、誰も右に出る者がいない名監督がいます。それが僕の大好きな、ロバート・アルドリッチ監督です。日本では彼の作品がなかなかDVD化されていませんが、名作選には彼の作品が必ず推薦されています。
「ベラクルス」「攻撃」「飛べ!フェニックス」「特攻大作戦」「北国の帝王」「ロンゲスト・ヤード」「合衆国最後の日」「カリフォルニア・ドールズ」などが代表作。いずれの時代においても人間の執念や憎悪などをダイナミックに描き、骨太の映画を撮り続けました。蛇足ですが、この監督はニューヨーク州知事や、第41代合衆国副大統領を務めたネルソン・ロックフェラーの従兄弟に当たり、父親も政治家でした。
硬派な監督の作る映画ですが、女性が観ても楽しめる映画ばかりです。なのに、面白いことに、彼の作品には女優の出演が少ない事でも有名。刑務所の話である「ロンゲスト・ヤード」はもちろん、「北国の帝王」では男の友情の話、「合衆国最後の日」には大統領夫人は出てこない、「飛べ!フェニックス」はスチワーデスも女性乗客もいない。その悪口が聞こえたのか遺作となった「カリフォルニア・ドールズ」は女子プロレスラーの物語。彼は男同士の極限状態での鬼気迫る演出を最も得意としました。初期の『攻撃』は、スピルバーグの「プライベート・ライアン」に大きく影響を与えましたが、脚本の出来は「攻撃」の方が明らかに映画としては上で、戦争映画史に残る傑作と言われています。
最近の男性は、フィジカルにもメンタルにも軟弱な男性が多いので、古い映画と言わず、「こういう男もいるんですよ」と、女性にも彼の作品を見てほしいと思います。