今日は3つの言葉、「映画界の3R」についてご紹介したいと思います。いつの間にか、こんな言葉が一般化して来ました。使い分けが出来ないといけないということではなく、知っていれば損はないという言葉です。その3つの言葉は、
“Remake”
“Reboot”
“Reimagination”
今や映画界を見渡すと、過去の名作のリメイクが目につきます。僕が学生の頃のお気に入りは「天国から来たチャンピオン」(“Heaven Can Wait”1978)でしたが、この作品はそもそも「幽霊紐育を歩く」(“Here Comes Mr. Jordan”1941)のリメイクでした。ところが最近では、僕が学生の頃製作された作品のリメイクが登場するようになり、僕も歳を取ったのかなと感じるようになりました。
さて、ここで3つの“R”ですが、最近は“remake”ではなく“reboot”、つまり「作り直す」ではなく、「再起動する」という言葉をよく見かけるようになりました。リメイクは再映画化という意味で、皆さん違和感のない言葉だと思います。それに対してリブートは「世界を再構築する」ということ。元の映画を自由に変えて、新しい作品にするという意味です。リメイクがただの焼き直しで、リブートは新しく生まれ変わったものだと言われています。リブートは、そもそもIT用語の「コンピューターに再起動をかける」という意味で、今あるものを断ち切るニュアンスがあるので、リメイクよりも元ネタに遠慮がない映画化だと、私は思っています。具体的な作品は、バットマンを再構築した「ダークナイト」です。リブートには、「新鮮な切り口」が不可欠です。
更に、リブートの先を行くもの。基本設定だけはそのままに、新たな映画として作るモノ。「再創造」を、リ・イマジネーションと呼んでいます。ティム・バートン監督が、自身の「猿の惑星」をそう呼んでいます。
リブートとリ・イマジネーション、僕にはその垣根が明確ではありません。しかし、そもそもこういう言葉自体が、他との差別化のため、作品に付加価値を持たせるために作られた言葉であることを考えれば、いろいろな言葉が今後さらに出現する可能性があると思われます。
ヒット作の続編、そしてシリーズ化、リメイク、リブート・・・ヒットを見込める作品にお金を掛けるのも構いませんが、新しい撮影技術ばかりを発展させるのではなく、全く新しいストーリーを創造してほしいと願います。出来れば大人も楽しめる骨太ドラマを、僕は期待して止みません。特撮技術の素晴らしさだけを見せつける作品は、もう結構です。