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三多摩の鐘

The Bells of San Tama -関東のキリスト教会巡り-

正教勝利の主日の聖体礼儀

2014年03月15日 | 東方正教会
日本正教会 東京復活大聖堂教会
(住所:東京都千代田区神田駿河台4-1-3)

3月9日(日)、東京復活大聖堂教会(通称ニコライ堂)で正教勝利の主日聖体礼儀に参祷した。「正教勝利の主日」とは何か。「正教会の歴史の中で、イコンの是非が問われた時期がありました。イコンは、十戒の『刻んだ像を造ってはならない』に反するという主張が続出。『聖像破壊論争』の期間は8世紀から百年以上も続きましたが、結局イコンは正当なものと認められました。そのことを大斎の第一主日に『正教勝利の主日』と称してお祝いします」(『正教会の手引』から要約)。

正教会では先週から大斎(おおものいみ)が始まった。大斎を「正教徒は特に力を入れて取り組み、大斎の前に4週間の『準備週』(肉類などを食べ尽くす)があり、40日の『大斎』に続いて『受難週』があります」「大斎の期間、肉食をできるだけ避けます。魚肉も食べないようにします。乾酪類(乳・卵製品)も食さないようにします。酒類は、土曜・日曜以外、節制します」(『正教会の手引』から要約)。(ものいみ)とは「節制と自省によって神に心を向け、祭を祝う準備の時」なのである(注)

午前10時、聖体礼儀の開始を告げる鐘と共に、ダニイル府主教と司祭が厳かに入堂。福音経の誦読は、フィリップ(フィリポ)とナファナイル(ナタナエル)が弟子となった場面(ヨハネ1・43-51)。大川満神父は「大斎は悔い改めの期間。節制を通して、『神の言葉で生きる』のです」と話された。領聖後、東日本大震災犠牲者の永遠の安息を祈るリティヤ(死者のための祈祷)が行われた。私は「孤調の哀歌」の切々たる歌声に耳を澄ませながら、3年前のあの日を思った。「永遠の記憶・・・」。


ニコライ堂境内の大聖堂教会事務所
(J・コンドル設計の旧門衛所。1891年頃竣工)

(注):「一ヶ月以上もお肉が食べられないなんて!」。異常なほど「飲み食い」に執着する「一般のニッポン人」にとっては、大斎(おおものいみ)が「苦行」と映るかもしれない。ただし、大斎の期間でも「成長期の子供や体力のない高齢者や病者などに斎(ものいみ)はすすめられません。また外食を余儀なくされる時、あまり細かく気にしすぎて思いわずらってはいけません。斎はタブーではありません。斎は体をいじめるためではなく、いたわるために行われるべきものです」(『正教会の手引』より)。

<付記>
亜使徒聖ニコライ祭に於ける北原史門神父の説教で紹介された『聖人ニコライ事蹟伝』(2,800円)。ようやく、私はニコライ堂境内の大聖堂教会事務所(上写真)で入手した。本書と中村健之介氏の評伝『ニコライ』(ミネルヴァ書房・2013年)を併読しよう。この日は日本正教会訳聖書(A6判・1,500円)も入手。この『我主イイスス・ハリストスの新約』はニコライ大主教と漢学者の中井木菟麿(なかい・つくまろ)による歴史的な「共訳」(1901年刊)。ただし、読破するには「漢籍の素養」が求められるかもしれない。

◆主な参考文献など:
・「正教会の手引」 水口優明編著(日本ハリストス正教会教団・2013年改版)
・「ギリシア正教入門」 高井寿雄著(教文館・1980年改版)
・「日本の光照者 亜使徒聖ニコライの歩み」 及川信著(日本ハリストス正教会教団・2013年四訂版)
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