三多摩の鐘

The Bells of San Tama -関東のキリスト教会巡り-

聖霊降臨後第10主日の聖餐式

2014年08月23日 | 聖公会の礼拝
大正ロマンが漂う立教大学モリス館の廊下
(住所:東京都豊島区西池袋3-34-1)

69回目の敗戦記念日を迎えた8月15日、今年も安倍晋三は全国戦没者追悼式で「不戦の誓い」を表明せず、またアジア諸国に対する加害への「深い反省」も言及しなかった。なんという傲慢で恥知らずな国なのか、ニッポンは。「過去に対して眼を閉ざす者は、結局は現在に対しても盲目となります」。ヴァイツゼッカー氏(旧西ドイツ大統領)のこの警句は、頑なに「敗戦」と「加害責任」を認めず、排外的国粋主義の怒号と大量の放射能汚染水をまき散らしている「傲慢で恥知らずな国」には届かない。

8月17日(日)、立教大学チャペル(日本聖公会)で聖霊降臨後第10主日の聖餐式に参列した。午前10時、振り香炉と十字架を先頭に、司祭団が厳かに入堂。福音朗読は、「カナンの女の信仰」(マタイ15・21-28)。市原信太郎司祭は、「信仰とは神への信頼を示すこと。『ただ病気を治す人ではなく、全面的に信頼する人として、私はあなたにすがっています』。その時、イエスとカナンの女性の関係は、三人称(客観的な関係)から二人称(私とあなた)の関係に変化し、奇跡が起きたのです」と話された。

「69年目の8月15日や世界各地の紛争に対して、私たちはカナンの女性のように、二人称の関係で理解しようとしているか。イエスは平和を与えようとされるが、私たちはそれを必死に求めているか。本日の福音は様々な枠組や属性を超えたところに、お互いを理解し合う『私とあなた』という世界への希望を伝えています」。市原チャプレンの説教は示唆に富んでいた。「私とあなた」を忘れ、ただ「ニッポン人であること」に固執し、「ニッポン人か否か」を詮索することなど、実に瑣末な「枠組と属性」だ。


この学窓を去った戦没学生に永遠の平安を。
“ 先に逝く友も われらは覚える・・・(聖歌293) ”

<付記>
この日の奉献聖歌は「たたえの調べを」。この気高い旋律の作曲は、19世紀英国の教会音楽家ジョン・ゴス(John Goss:1800-80年)。本作は珠玉の英国聖歌で、キングス・カレッジ聖歌隊のCD(下記参考盤)の冒頭を飾っている。少年合唱の澄んだ歌声が秀逸。“ Alleluia! Alleluia! Praise the everlasting King... ”

◆聖餐式で歌われた聖歌:
ミサ曲譜3(キリエ、大栄光の歌、サンクトゥス、アニュス・デイ)、入堂聖歌:445「いさおなきわれを」、続唱聖歌:477「恐れにとらわれ」、奉献聖歌:309「たたえの調べを」、陪餐聖歌:531「いやし主イェスの」、派遣聖歌:540「やさしき息吹の(Amazing grace)」。(番号は「日本聖公会聖歌集」による)

◆主な参考文献・CDなど:
・「過去の克服・二つの戦後」 ヴァイツゼッカー著、山本務訳(日本放送出版協会・1994年)
・CD「キングズ・カレッジ合唱団の讃美歌集」 キングズ・カレッジ合唱団(London:POCL-5070)
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