
カトリック五日市霊園の聖母像
(住所:東京都あきる野市伊奈1)
(住所:東京都あきる野市伊奈1)
JR五日市線の武蔵増戸(むさしますこ)駅で下車。奥多摩の山々に囲まれ、秋川が流れるあきる野市は、1995年に五日市町と秋川市が合併して誕生した。中学校の遠足で秋川を訪れて以来、私には今も五日市の名が懐かしい。さて、線路沿いに西へ歩くこと10数分、右側の丘陵に棚田のようなカトリック五日市霊園が見えてきた。カトリック府中墓地と共に、東京大司教区が管理している墓地だ。霊園の入口には、大きな三角屋根のあきる野教会がある。
1969年、五日市霊園の第一期工事が完成。翌年には着座されたばかりの白柳誠一大司教を迎えて、死者の月の追悼ミサが行われた。日当たりの良い急斜面に、墓石や十字架が整然と並んでいる。何と、最上段に昇るためのリフト(車椅子用?)があった。お線香の匂いが漂わず、卒塔婆を見かけないのが、いかにもカトリックの墓地らしい。霊園内には聖堂(兼集会所)もある。草創期のあきる野教会は自前の聖堂がなく、ここでミサを捧げていたという。
五日市におけるカトリックの歴史は古い。明治前期、五日市の有力者・内山安兵衛は、カトリック信徒で民権運動家の山上卓樹(泉町教会献堂に尽力)の知遇を得て受洗、内山邸には聖堂が置かれた(安兵衛関連の記事はこちら)。第二次大戦後、秋川に臨む古い別荘跡にカトリック秋川荘が設立され、ここに間借りする形でカトリック五日市教会が創立(1967年)。その後、約30年を経て閉鎖されたが、明治以来の信仰の灯はあきる野教会に継承されている。

霊園遠景

<カトリック五日市霊園聖堂>
◆主な参考文献など:
・「カトリック東京教区年表」 高木一雄編(カトリック東京大司教区・1992年)