三多摩の鐘

The Bells of San Tama -関東のキリスト教会巡り-

信心生活の入門

2011年03月03日 | 本を読む
「聖フランシスコ・サレジオの信心生活の入門」
戸塚文卿訳 ◇ 日本カトリック刊行会・1931年
(祖父の遺品のロザリオとともに)

小金井教会の追記となるが、今回は戸塚文卿神父の訳書「聖フランシスコ・サレジオの信心生活の入門」をご紹介したい。原著者のフランシスコ・サレジオは、ドン・ボスコが創立したサレジオ会を通して、日本でも知名度の高い聖人の一人となっている。目黒の碑文谷教会(注)を始め、サレジオの名を戴いた学園や福祉施設は多い。ドン・ボスコがこの聖人の名を選んだ理由は、「サレジオの穏やかな優しさをもって、人々をイエスへ引き寄せるため」であった。

フランシスコ・サレジオ(1567-1622年)は、反カトリック派からも敬愛された柔和の聖人。その代表的著書が「信心生活の入門」である。本書はフィロテアという名の弟子に諄々と諭す形式を取っているが、実際はサレジオが一夫人に宛てた霊的助言の書簡集を再構成したもの。日常生活の場面を通して、「信心の泉」を見いだす示唆と実践方法が、平易な文体で詳述されている。戸塚神父は本書を「大学の医局時代に、医学論文はそっちのけで」訳了したという。

私の手元にあるのは、1931年の普及版(文庫判)。未信者の私が本書を読むには、時期尚早かもしれない。何しろ、カテキズムの基本も知らないのだから。だが、独りで祈ることが多い私にとって、サレジオの説く黙想の方法は貴重な指南となっている。また、フィロテアに語る言葉は、「敬虔なる生活」への箴言でもある。「絶えず、十字架上のイエズス・キリストに眼をそゝぎ、信頼と単純とを以て、しかも、聡明に用心深く、主に仕へ奉らんが為に努力してゆかう」。


サレジオ神学院本館:東京都調布市
“真の謙遜は、謙遜の仮面をつけず、謙遜の言(ことば)を発しない”
聖フランシスコ・サレジオ

(注):碑文谷の教会堂名は「江戸のサンタマリア」だが、一般的には「サレジオ教会」の名で親しまれている。
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