日本聖公会 聖路加国際病院 聖ルカ礼拝堂
(住所:東京都中央区明石町10-1)
(住所:東京都中央区明石町10-1)
1月26日(日)、聖路加国際病院の聖ルカ礼拝堂(日本聖公会)で顕現後第3主日の聖餐式に参列した。午前10時30分、司祭と奉仕者が厳かに入堂。パイプオルガンの壮麗な音色が響き渡る。福音朗読は、イエスの宣教開始の場面(マタイ4・12-23)。ケビン・シーバー司祭は「イエス様が宣言された“天の国”とは、神の憐れみのもと、この世で人々が円満に生きる社会。私たちはそれを実現する救い主と共に歩みましょう、険しい道のりにも喜びと平安があります」と話された。
この日は聖ルカ礼拝堂聖歌隊によって、美しいアンセム「アヴェ・ヴェルム・コルプス」が奉唱された。作曲者のエルガー(1857-1934年)は数多くの楽曲を手がけたが、代表作は行進曲「威風堂々」とヴァイオリン曲「愛の挨拶」であろうか。個人的には序曲「コケイン(首都ロンドンにて)」も挙げたい。中学一年生の時、たまたまFMラジオで耳にしてから、ずっと愛聴している。エルガーの作風は気高くて、どことなく郷愁的だ。そして、この聖ルカ礼拝堂の厳かな空間に調和している。
礼拝後、築地界隈を散策。聖路加看護大学の一角に、「芥川龍之介生誕の地」の説明板がある。1892年当時、龍之介の生家は牧場付きの牛乳販売業「耕牧舎」を営んでいた(注)。「私は築地の何とか云ふさびしい通で生まれたのでした。家のうしろが小さな教会でこンもりした柊の木立の間から、古びた煉瓦の壁が見えて、時々やさしい歌の声が其中からもれて来た」(芥川未定稿)。私の関心は昔の牧歌的風景よりも、その近くの「小さな教会」だ。今度、古地図で調べてみよう。
聖ルカ礼拝堂内観
“ なぐさめの声こそ 旅路行く人の力・・・(聖歌512) ”
(注):『築地外国人居留地』(雄松堂出版・1988年)の著者・川崎晴朗氏の調査により、龍之介の生家「耕牧舎」跡地は聖ルカ礼拝堂の北辺であることが判明した。詳細は雄松堂書店HPの関連記事を参照。
◆聖餐式で歌われた聖歌:
ミサ曲譜(キリエ、大栄光の歌、サンクトゥス、アニュス・デイ)、オルガン前奏:「主の祈り」(メンデルスゾーン)、参入聖歌:514「主の声に応え」、続唱アンセム(聖歌隊奉唱):「アヴェ・ヴェルム・コルプス(尊きみからだ)」(エルガー)、奉献聖歌:525「世の波さわげど」、陪餐聖歌(聖歌隊奉唱):553「主を慕いゆく」、陪餐奏楽:「主の祈り」(バッハ)、派遣聖歌:512「み使いのたたえ歌は」。(番号は「日本聖公会聖歌集」による)
◆主な参考文献・CDなど:
・「この人を見よ 芥川龍之介と聖書」 関口安義著(小沢書店・1995年)
・CD「エルガー:行進曲≪威風堂々≫他」 メニューイン指揮/ロイヤル・フィル(Virgin:VJCC-23110)
・CD「エルガー:ヴァイオリン協奏曲」 チョン(Vn)、ショルティ指揮/ロンドン・フィル(London:POCL-3154)