三多摩の鐘

The Bells of San Tama -関東のキリスト教会巡り-

からし種と絹の道

2012年06月18日 | 多摩の風景
八王子から輸出用の生糸を運んだ「絹の道
(住所:東京都八王子市鑓水)

6月16日(土)、八王子の緑濃き山間にある「絹の道資料館」を訪ねた。八王子は養蚕と織物が盛んであった。その生糸は海外から珍重され、幕末期に横浜へ運ぶ「絹の道」が開通。資料館がある鑓水(やりみず)地区は、生糸商の豪邸が並んでいたという。だが、生糸バブルが崩壊し、商人たちは次々と没落。鑓水地区は再び静かな里山になった。この資料館も生糸商の屋敷跡に建っている。館内は絹の道や鑓水商人に関する資料が展示されている。

館内の一角に、「西洋文明の道」というコーナーがある。「生糸が運ばれた道をたどって、横浜から各地にキリスト教の布教が行われました。多摩地方では、最初に福音を伝えたのは、カトリックのテストヴィド神父で、1877年のことです。神父は翌年、布教の拠点として、下壱分方村に、聖マリア教会(泉町教会)を設立しています」(展示パネル)。鑓水には当時の古道が今も残っている。ここを往来したであろう、テストヴィド神父と山上卓樹の姿が偲ばれる。

資料館を見学した後、八王子教会で年間第11主日のミサ(土曜日夕方の子どもミサ)に与った。福音朗読は、イエスのたとえ話「からし種」の場面(マルコ4・26-34)。主任司祭の辻茂神父は、「イエス様は神の国を大自然の営みにたとえられた。神様に支えられ人は育つ。私たちはその力に委ねていくことを教えられています」と話された。閉祭の歌を子供たちと一緒に歌う。絹の道を通って蒔かれた種が、八王子に大きな枝を張っている、と歴史浪漫に浸る。


絹の道資料館は入館無料です。
(住所:東京都八王子市鑓水989-2)

◆この日のミサ中の主な歌:
ミサ曲2(典礼聖歌207-210。感謝の賛歌のみ上村幸一郎詩・曲)、入祭:子供の歌「祈ってごらん わかるから」、奉納:子供の歌「先ず神の国を」、拝領:子供の歌「あかしびと」、閉祭:子供の歌「心をつないで」。
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