【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「ザ・ファイター」

2011-04-26 | ★橋63系統(小滝橋車庫前~新橋駅)

クリスチャン・ベールといえば、「ダークナイト」とか「ターミネーター4」とかで主役を張るものの、どうも押しに欠けて脇役に食われてしまう感があったんだけど、こんどの映画は、これまでの弱腰イメージを打破して、とうとう脇役でありながら主役を食う側に回った。
脇役?「ザ・ファイター」は、クリスチャン・ベールが主役じゃなかったの?
脇役のくせして主役みたいな目立ち方をしてるけど、アカデミー賞でもちゃんと助演男優賞になっている。
まあ、クリスチャン・ベールは兄弟ボクサーの引退したほうの兄を演じてて、実際リングで戦うのは弟のマーク・ウォルバーグのほうだもんね。
マーク・ウォルバーグがまた、役柄上、控え目な演技に徹するから、なお一層クリスチャン・ベールが目立っちゃう。
愚兄賢弟を絵に描いたような兄弟。
というほど、賢弟じゃないんだけど、兄が兄だからね。
意味なくテンション高すぎ。
でも、まあ、そんなどうしようもない兄だけど、ボクシングに関しては的を得たアドバイスをしたりするから、なおやっかい。
そこに二人の母親や口うるさい姉妹や恋人たちがからんできて、てんやわんや。
エイミー・アダムスが、いつもながら日の当たる場所とは縁遠い女を好演している。
ボクシング映画というより、プアなアメリカ人のファミリー映画みたい。
チャンピオンを目指してストイックに練習に励むなんていうような品のいいスポーツ映画じゃない。
クリスチャン・ベールも胆をすえたのか、とにかく演技の飛びっぷりが凄い。
お前は、ロバート・デ・ニーロか、ダニエル・デイ・ルイスか、っていう油ぎらぎらの演技。
ひと皮むけるにはこれくらい思い切らないといけなのかもね。
ああ、「3時10分、決断のとき」の思い切りの悪いクリスチャン・ベールが懐かしい。
なあに、誉めたいの、貶したいの?
もちろん誉めたいんだけど、これから彼はこっち系の俳優になっちゃうのかと思うと寂しくもある。
なんだか、あなたこそ思い切りが悪いわねえ。




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